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日本オラクル、Oracle Databaseとの連携を強化したインメモリデータベース新版


常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏
 日本オラクル株式会社は3月7日、インメモリデータベースの新版「Oracle TimesTen In-Memory Database 7」(以下、TimesTen 7)を発表した。4月3日より出荷を開始する。価格はデータストアサイズに応じて変わり、2GBまでの場合、プロセッサライセンスで150万円(税別)から。

 インメモリデータベースとは、データをHDD上ではなくメモリ上へ保存することで、処理速度を向上させる高速データベース。TimesTenはこの代表的な製品で、もともと米TimesTenが開発していた製品だが、米Oracleによる同社の買収に伴って、Oracle製品のポートフォリオに加えられていた。

 今回のTimesTen 7は、買収後にOracleで開発された初めてのバージョンとなる。その新版では、まず、バックエンドのOracle Databaseとの連携機能が大幅に強化されたため、「Oracle Databaseを利用するアプリケーションとの連携時に、標準のSQLへ変更せずにすむようになった」(システム製品統括本部 営業推進部 Grid Computingグループ 担当シニアマネジャーの根岸徳彰氏)という。

 具体的には、DECODE、ROWNUM、COALESCEをはじめとするOracle Databaseの拡張関数を新たにサポートしたほか、表における最大列数の1000への拡大、MERGE分のサポートといったOracle 拡張SQLへの対応が行われている。あわせて、Oracle Databaseとのデータ型動作を一致させ、Oracle Databaseにおける主要なデータ型を利用できるようにしたことに加えて、マルチバイトに対応し、50以上の言語をサポートしている。

 また、オプション製品「Cache Connect to Oracle」利用時の動的キャッシュ機能を拡張。TimesTen 7のキャッシュに該当データがない場合に、自動的にバックエンドのOracle Databaseから必要なデータを拾いあげる「Automatic Load on SELECT」、キャッシュ上で古くなった、もしくは利用頻度の低くなったデータを判別して自動削除する「Automatic Data Aging」、の両機能を追加している。これによって「メモリ上のデータ配置、サイジングを考える際に、より簡単に行えるようになった」(根岸氏)とのこと。

 さらにTimesTen 7では、Oracle自社開発の製品になったため、Oracle Databaseと同様のサポートライフサイクルが適用されるようになったのもメリットという。製品には、出荷開始後5年間のPremier Supportと、その後無期限のSustaining Supportが提供される。

 常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏は、今回の機能強化について、「ふつうは、インメモリデータベースだけで完結することはなく、バックエンドのデータベースとのやりとりが発生する。TimesTen 7では、Oracle Database以外のデータベースとも連携が可能だが、実際には6~7割で同製品がバックエンドに利用されており、Oracle Databaseとの連携強化については、要望が高かった」と説明した。


ネットワーク機器などの組み込み用途も、開発モデルの変化によって有望な市場になっているという

膨大なトランザクションを処理する環境では、インメモリデータベースを有効に活用できるという
 三澤氏はまた、「顧客環境側の要因と、広大なメモリ空間を利用できる64ビットサーバーの普及などの、技術側要因の両面から、データをより高速に処理する技術が求められるようになった」との現状を指摘。ニーズの強い、タイムクリティカルな機器への高速データベースの組み込み用途と、基幹システムそのものを高速化するために利用するリアルタイムエンタープライズ用途を主な市場として、TimesTen 7を売り込んでいくとした。

 組み込み市場では、すべてのコンポーネントを自前で開発していたモデルから、標準技術を利用して開発コストの圧縮を図るモデルへの転換が進んでおり、インメモリデータベースにとって有望な市場という。三澤氏によれば、NECのNGN向けソフトウェアプラットフォームなど、すでにTimesTen 7の採用事例も出ているとのことで、2007年度(2006年6月~)に20名規模で発足した専任営業・技術組織などを通じて、NGNを見据えた通信機器の市場をはじめ、防衛、医療などの専用機器ベンダに対してアプローチを続けていく。

 またリアルタイムエンタープライズの市場に対しては、Oracle Database、Oracle Fusion Middlewareと連携した基盤を提案するほか、コミュニティの設立、パフォーマンス検証ツールの提供といった施策と合わせて、パートナーとともに展開する考え。三澤氏は、「膨大なトランザクションを処理するために、従来はアプリケーションの高速化ロジック部分を自前で作り込んでいたが、作成・メンテナンスにとても手間がかかっていた。ここをTimesTen 7に置き換えれば、工数の削減が可能。ユーザーはビジネスロジックの開発に専念できる」と述べ、この用途でのメリットをアピールした。主に、オンラインバンキングやeコマース、チケット予約、監視システムなどでの利用が見込まれるとしている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1705


( 石井 一志 )
2007/03/07 16:58

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