|
Mission Critical and Advancedシステム部のマイケル・ダイクス氏
|
|
執行役専務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏
|
マイクロソフト株式会社は4月9日、サービス指向アーキテクチャ(SOA)導入のための方法論を体系化したと発表した。SOAを業務システムに適用する際の業務分析、ビジネスプロセスの可視化、サービスの抽出、適用における有効性評価までを体系化した分析手法を「Variability Isolation Methodology(VIM)」としてまとめ、SOA分析・設計段階のサービスを「クイックスタート」の名称で提供する。
Mission Critical and Advancedシステム部のマイケル・ダイクス氏は、「SOAの実現においてすべてを一括導入するビッグバンのアプローチは一般的でない。当社では、ビジネスモデルから段階的にトップダウンで導入するアプローチを採用した」と話す。VIMでは変化に強いビジネスモデルを作るため、変動性の低い要素と高い要素を分離して設計する点がポイント。また、他社でもよく取りあげられるサービスの抽出と整理だけでなく、メッセージ、プロセスの分析・設計にもフォーカスする。
今回提供されるクイックスタートはVIMのうち、SOAの適用分野・有効性を確認するための評価を行うもの。国内の大企業15社へ試験的に展開し、ノウハウを蓄積してきたという。具体的には、ビジネス側、IT側における戦略的(長期的)な有効性だけでなく、ここのビジネスや業務システムにおける短期的なメリットについても有効性を評価し、SOAを推進するためのロードマップを策定する。さらに、SOAの設計要素を理解し、SOAの分析設計手法を身につけるためのトレーニングもあわせて行う。
ここでポイントになるのは、このサービスではマイクロソフトの製品ありきではなく、中立的な視点で評価を行うこと。ダイクス氏は、「従来のベンダのアプローチでは、一般的なメリットの説明のみを行い、顧客の業務における有効性を語っていない。またはじめからそのベンダの製品ありきで説明されることも多い。評価する前に製品を決めることはできないはずで、他社のサービスではここにギャップがある」と述べ、自社製品にこだわらずに柔軟にサービスを展開する姿勢を示した。
なおVIMの方法論を提供するのは、日本が初めてという。ダイクス氏は、「本社側の手法ではビッグバン式がほとんどで、細かい部分まで落ちておらず、サービス粒度をどう再整理するかが定義されていなかった」と独自に開発した理由を説明。また執行役専務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏は、「エンタープライズ分野での取り組みは、日本がほかを一歩リードしている状況で、コアインフラの最適化をお手伝いするITガバナンスソリューションも日本発信で世界に展開されるもの。日本から新しいものを作って世界標準にしていきたい」と意気込みを述べた。
マイクロソフトでは、2年間で50社への導入を目指すとしており、そのために現在10名程度の人員を、1年以内に倍増させる計画である。あわせて、SOAの分析・設計段階、実装段階、運用段階におけるサービスについてもメニューを用意し、包括的なサービスの提供を行う体制を整えていくとのこと。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3015
( 石井 一志 )
2007/04/09 17:42
|