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シトリックス、“オフライン”でもアプリが使える「Presentation Server」最新版


マーケティング本部長の柳宇徹氏

ストリーミングデリバリーの使用方法の流れ
 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は4月11日、Windowsアプリケーションを仮想化するソリューション「Citrix Presentation Server」の新版、「同 4.5」を発表した。販売パートナーを通して同日から販売を開始する。

 Presentation Serverは、Windowsアプリケーションを仮想化することにより、高パフォーマンス、高セキュリティ、低コストを実現するアプリケーションデリバリー製品。データセンターなどにアプリケーションやデータを集約することで、“クライアントにデータを残さない”根本的なセキュリティを提供する。

 今回の新版では、従来の仮想化によるアプリケーションデリバリーに加えて、ストリーミング技術によるデリバリー手法を統合した。この手法では、実行環境ごとにパッケージ化されたアプリケーションをクライアントにストリーミングすることで、ユーザーはオフラインでも必要なWindowsアプリケーションを利用することが可能になる。

 仕組みとしては、管理者が利用させたいアプリケーションを有効化し、クライアント側でアプリケーションの更新を行う。すると、アプリケーションデータをインストーラーごとパッケージしたものが配信され、このデータをローカルにキャッシュすることで、オフライン時での利用を可能にしている。そして再びネットワークに接続したときに、新規のアップデートやパッチ、ロールアップを自動的に適用されるという流れだ。

 これを実現したのが「Isolation 2.0 分離テクノロジー」。管理者がグループごとに必要なアプリケーションセットを定義できるため、「例えば、学校の教室ごとに個別のアプリケーション環境を提供する」(マーケティング本部長の柳宇徹氏)ことも可能だ。こうした2つのデリバリー手法を提供することで、「利用方法に選択肢が生まれる。それが狙いだった」と柳氏は語る。

 なお、今後はクライアントにキャッシュされたデータを、自動で削除するような仕組みも実装していく予定。

 発表会では、実際にこのストリーミング機能を使って配信された「Adobe Reader」をオフラインで使用するデモが行われた。


管理画面でAdobe Readerを有効化 クライアント側でアプリケーションの更新を行うと、アプリケーションのパッケージが配信される その後、ネットワークを切断。オフラインでAdobe Readerを起動

代表取締役社長の大古俊輔氏
 新版ではさらに、より多くのアプリケーション資産が活用できるよう工夫がされた。具体的には、Isolation 2.0 分離テクノロジーでアプリケーション互換性の問題を解決し、これまでより多数のアプリケーションに対応したほか、画像表示のパフォーマンスを引き上げる「SpeedScreen プログレッシブ表示」機能を実装。画像を多用する医療用システムや地理情報システムなどのアプリケーションを快適作動させることが可能になった。最大20倍のパフォーマンス改善が実現するという。

 同時にセキュリティ機能も強化。「Citrix Access Gateway」のSSL VPN機能を統合し、セキュアなリモートアクセスを可能にしたほか、「SmartAccessテクノロジー」による柔軟なポリシー設定にも対応。印刷、保存、編集、ローカルHDD利用の許可といった細かいレベルでのアクセス管理が可能となった。また、「Citrix Password Manager」のシングルサインオンも統合した。

 代表取締役社長の大古俊輔氏によれば、「これまではこうした機能を個別製品で対応してきた。2005年4月の個人情報保護法の施行以来、同製品へのセキュリティに関するニーズが高まってきたため、パッケージ統合という形で包括的なソリューションを提供することにした。今後はさらに機能レベルでの統合を行っていく方針だ」という。


モニタリングできるデータの分類
 そのほか、管理機能も拡張。2006年5月の企業買収によりラインアップされたパフォーマンスモニタリングツール「Citrix EdgeSight」の統合により、アプリケーションの使用状況を監視、記録することが可能になっている。サーバーの稼働状況をチェックして、問題発生時に自動でリカバリを行う「ヘルスアシスタント機能」も備えるため、製品の信頼性そのものを向上させるとともに、管理者の介在を最小限にとどめることが可能という。

 価格は、メディアキットを含んだ5ユーザー同時接続が可能な最小構成で、「Platinum Edition」が51万7500円から、「Enterprise Edition」が34万8500円から、「Advanced Edition」が30万2500円から。なおPlatinum Editionは今回新たに用意されたもので、アプリケーション仮想化およびストリーミングやその他基本的な機能に、パフォーマンスモニタリング、ポリシー管理、シングルサインオンを加えた包括的なエディションとなっている。

 柳氏によれば「顧客がどのツールを導入すれば良いか分からないという問題があったため、分かりやすく包括的にパッケージした」とのこと。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20070411_01.html


( 川島 弘之 )
2007/04/11 17:27

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