|
代表取締役社長の大木稔氏
|
イージェネラ株式会社は5月8日、仮想化およびディザスタリカバリ(DR)を実現する製品の大幅な値引きと、同社の仮想化技術とハイパーバイザーとの統合を実現するソフトウェア新製品「vBlade」の販売開始を発表した。これらの施策により、災害バックアップソリューションのパッケージ化と販売強化を行い、日本市場への訴求を図っていく。
「ターゲットはミッションクリティカルな市場」と代表取締役社長の大木稔氏が語るように、同社は特に金融分野の大規模ユーザーを中心に、ブレードサーバー製品や独自の仮想化技術の市場を開拓してきた。設立以来、5年間で40社の顧客を獲得するなど、市場もにわかに盛り上がり始めたところで、「今後は通信・公共・製造などの分野にも積極的に進出していく。それが当社の新たな戦略だ」(大木氏)という。
今回の製品価格の値下げは、こうした戦略のさらなる推進を狙っての施策となる。「創立後の2年間は、米国においても金融分野のユーザーがほとんどだったが、製品や技術が確かな評価を得るにつれ、公共などの分野においても実績が現れ始めている。そうした流れの一方で、コストの高さが原因で訴求力に欠けてしまう場合もあった。そこでより幅広いユーザー層にアピールするために、今回、価格の大幅引き下げに踏み切った」のだと大木氏は説明した。
価格に関しては、ブレードサーバー製品「BladeFrame」の仮想化機能によりDRを実現する方式をパッケージ化し、必要なハードウェア・ソフトウェアを一式そろえた形で、大幅な値引きを行う。例えば、完全二重化構成と仮想化ソフトウェアの最小構成(筐体、仮想化ソフトウェア、サーバーブレード×2)では、従来約2300万円だったところを、約999万円で提供。この構成にDRも追加した構成(上記に含まれるハードウェア・ソフトウェア×2、災害パックアップソフトウェア)では、従来約4600万円だったところを、約2300万円で提供する。いずれも50%を超える値引き率だ。こうした価格変更は、イージェネラの代理店を通じて5月中をめどに実施する予定とのこと。
発表会では、BladeFrameに関する簡単な説明も行われた。同製品には、24枚のブレードを挿入できる「BladeFrame EX」と、6枚のブレードを挿入できる「同 ES」がある。同 EXでは、IntelおよびAMDの最新CPUを筺体当たり最大192コア、メモリを768GB搭載することが可能。さらに2007年後半には、筺体当たり最大384コア、2304GBを搭載できる製品の投入も予定している。大木氏は「まさにミッションクリティカル領域に展開するにふさわしい高性能、高スケーラビリティを備えた製品」とアピールした。
|
|
BladeFrame EX
|
BladeFrame ES
|
さらに今回、これらのハードウェアと併用して、効率的に仮想化環境を構築するためのソフトウェア製品も発表。イージェネラ独自の仮想化技術とハイパーバイザーとの統合を実現した「vBlade」を5月8日から投入するとした。VMware用も今後リリースを予定しているが、今回はXenに対応したもの。単一の管理システム「PAN(Processing Area Network)Manager」によって、Xenハイパーバイザー上に仮想化された環境を統合管理することが可能になるほか、N対1フェイルオーバーや資源の動的再利用なども実現する。ライセンス価格は、2ソケットブレード用が18万7500円。4ソケットブレード用が37万5000円。
また、災害バックアップソフトウェア「PAN Portability Software」も発表。これはBladeFrame上で仮想化された構成要素すべての定義情報をXML化し、その情報をメインシステムからバックアップシステムに自動的にコピーするもの。これによりユーザーが意識することなく自動的にメインシステムとバックアップシステムの同期が保たれる。従来から提供してきた機能だが、今回これをPAN Portability Softwareという名でパッケージ化し、販売強化に当たるとのことだ。価格は、2ソケットブレード用が96万7000円。4ソケットブレード用が173万2000円。
同社では、今回発表した施策により、2008年末までに40社の導入をめざす。
■ URL
イージェネラ株式会社
http://www.egenera.com/jp/
( 川島 弘之 )
2007/05/08 16:43
|