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サイオス、OSSサポートを一括して受ける新サービス「よろず相談室」


 サイオステクノロジー株式会社は5月24日、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用する際に生じる問題解決を支援する新サービス「サイオスOSSよろず相談室」を発表した。6月1日より提供を開始する。

 同社では従来から個別対応でLinuxをはじめ、オープンソースのミドルウェアソフトのサポートを行ってきた。今回の新サービスは、OSSのサポートを体系化し、契約したソフトのインストール、設定、機能、障害への対処方法など、さまざまな相談を一元的にサイオス側で受け付ける。顧客は問い合わせ先をサイオスに一本化できるうえ、レッドハット社がサポートを打ち切った古いバージョンなどのサポートを受けることも可能となる。

 実際に顧客からあがってくる要望も、従来はファイルサーバーやメールサーバーで利用するためのサポートが中心だったが、現在では業務システムで利用するためのアプリケーションレイヤーにまで拡大しているという。サポート実績を統計でまとめると、対象となるソフトの28%がFTPサーバー、NFS、NTPサーバーなど代表的なOSSソフト以外の分野で、難易度としてもソース解析が必要となるレベル以上のものが39%と高い割合に及んでいる。

 こうした背景を受けて、新サービスは対象となるソフトの範囲を広げ、高レベルのサポートを提供する。


サービスの最小構成 最小構成に比べサポート内容を厚くした場合の構成例 他社のサービスと比較した今回のサービスの特徴

山崎靖之CTO
 「OSSのサポートとしては、レッドハット社のようにディストリビューターが行っているスタックサービスが一般的。当社もディストリビューターにかわり、スタックサービスの提供も行っているが、対象OSSの種類、バージョンが固定されている。新サービスのサイオスOSSよろず相談室は、サポート対象のOSSを選択可能として、スタックサービスでは手の届かないサポートを提供していくものとする」(山崎靖之CTO)

 サポートの対象となるOSSは、OSはLinux、WebサーバーではApache、TUX、Webalizer、DBサーバーではPostgreSQL、MySQLなどサービス開始時点では約40種類。顧客のニーズなどに応じて対象製品の拡大も予定している。顧客はその中から、必要なものを選択し、年間で契約を結んでサービスを受ける。問い合わせの受付と回答はメールで行い、応答までの時間は契約内容によって異なってくる。

 料金は契約内容により異なってくるものの、最小構成の場合で月額30万円程度となる。

 新サービス開始前から前身となるサービスを提供し、昨年度は契約数10件、売り上げ1億円をあげていることから、新サービスは契約数30件、売り上げ3億円を目標としている。


喜多伸夫社長
 喜多伸夫社長は新サービスについて、「OSSのサポートサービスを提供する企業は他にもあるが、よろず相談室のような質、内容のサービスは他にはない。また、セキュリティ上の問題で利用が難しいバージョンを利用しているユーザーにはバージョンアップや、仮想化ソリューションを提供するといったことも計画しており、よろず相談窓口を切り口に、さらなるサービス提供を実現していきたい。今回のサービスは、今後の事業の柱となるようなものへと育て上げていく」との意向を説明した。

 また、喜多社長は2007年12月期第1四半期(2007年1月~3月)の業績とガバナンス強化策についても言及した。

 連結売上高は対前年同期比36%増の16億1800万円、営業利益は33%増の8400万円、経常利益は20%増の8300万円となった。

 ガバナンス強化として、昨年8月にサイオスの取締役として元コナミ・オブ・アメリカのCEO・郷坪智史氏を、社外取締役として日商エレクトロニクスの代表取締役専務執行役の福田敬氏が就任し、今年3月には日本IBM出身の藤枝純教氏が取締役に就任した。

 SteelEye社には5月10日付けで、オラクルのヴァイスプレジデントだったゼヴ・レイダーマン氏と、ベンチャーキャピタルや投資事業を行っているメリールー・L・スマルダー氏が社外取締役に就任した。

 「昨年買収した米国の子会社SteelEye Technologyとの合併による相乗効果もあらわれ、業績は順調に推移している。また、サイオスおよびSteelEye社のガバナンス強化を狙い、国内外のIT業界で活躍している経営者を取締役会に招聘した。当社は昨日、5月23日付で創立10周年を迎えた。節目の年ではあるが、まだまだ強化しなければならない部分もいろいろとある。今回、開始する新サービスのように、市場が本当に求めているサービスを提供していくことで、さらなる成長を目指していく」(喜多社長)



URL
  サイオステクノロジー株式会社
  http://www.sios.com/
  プレスリリース
  http://www.sios.com/news/press20070524.html
  http://www.sios.com/news/press20070524-2.html


( 三浦 優子 )
2007/05/24 15:10

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