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EMCジャパンがストレージ向け重複除去ソフトを発売、データ量を平均1/300に削減

最大1.8PBを格納可能な仮想テープライブラリも発売

EMC Avamarの管理画面イメージ

Avamarの重複除去の概念図

EMCジャパン 執行役員 事業開発室長の藤生徹氏
 EMCジャパン株式会社は6月7日、バックアップデータ最適化ソフトウェア「EMC Avamar」、大容量仮想テープライブラリ装置「EMC Disk Library 6000シリーズ」、バックアップソフトウェアの新版「EMC NetWorker 7.4 日本語版」などを発表した。これらによって、次世代のバックアップ環境を提供するとしている。

 新製品のうちAvamarは、バックアップデータの重複する部分をまとめることによって、データ容量の削減を図るソフトウェア製品。現在でも、フルバックアップを一度取得した後、変更されたファイルのみをバックアップする差分バックアップは広く用いられているが、この手法では、あるファイルのうち変更された部分がたとえ1カ所であっても、そのファイルを丸ごとバックアップすることになる。しかしAvamarなどの重複除去(deduplication)製品では、バックアップするデータを小さなパーツに分解し、重複するパーツのバックアップを省略するため、最終的にストレージに保存されるデータを、平均1/300にも小さくできるという。

 Avamarならではの特徴は、分割するパーツの大きさを動的に変更可能なこと。あるパーツが更新され、そのサイズが変わってしまった場合、変更前と同じサイズごとにパーツを区切ったのではズレが発生してしまい、更新しなくてはいけない部分が多くなる。ところが同製品では、パーツのサイズの変更を検知して、パーツの区切り方を変更できるので、更新する部分を最小限にとどめることができるという。

 実際の製品は、バックアップ元のサーバーに入れ込むエージェントプログラムと、バックアップ先となるAvamarサーバーを構築するサーバーソフトウェアから構成される。Avamarでは、すべてのデータを転送した後にサーバー側でバックアップするパーツを選別するのではなく、クライアント側のエージェントプログラムがデータを細かく分割し、サーバー側に存在しないパーツのみを送信する方式を採用しているので、リモート拠点からのWAN経由など、回線が細い場合でもバックアップを有効に行える。

 また1台の物理サーバー上に多数の仮想サーバーが運用されている環境でのバックアップでも、データ分割後、必要なパーツのみをバックアップサーバーへ吸い上げる運用が可能。仮想サーバーによって共用されている物理的なリソースに対して、負荷をかけずにバックアップする環境が実現する。

 こうした特性を生かして、EMCジャパンではこの製品を、ブランチオフィスなどのリモート拠点の集中バックアップや、VMwareをはじめとする仮想サーバーのバックアップ、といったソリューションに対して、積極的に活用していく考え。「センター側だけしか考えられていなかったバックアップをブランチオフィスにまで拡大できる」(EMCジャパン 執行役員 事業開発室長の藤生徹氏)。

 料金体系は、バックアップ対象となるデータ容量分のライセンスを購入するという方式を採用。最小1.5TBから0.5TB単位で、必要に応じてライセンスを購入する。価格は1.5TBの最小構成時で362万円。


EMC DL6300

EMC NetWorker 7.4の管理画面イメージ
 2つ目のDisk Library 6000シリーズは、最大1.8PB(3:1圧縮時)の大容量を格納可能な仮想テープライブラリ。自社のハイエンドストレージシステム「EMC Symmetrix DMX-3」をべースに開発されており、11TB/時以上のデータをバックアップ可能なパフォーマンスを持つ。ラインアップには、RAID 5構成のHDDを最大1440基を搭載できる「EMC DL6100」と、RAID 1構成で最大2400基のHDDを搭載可能な「EMC DL6300」の2製品が用意された。前者は最大1.8PB(3:1圧縮時)、後者では最大1.7PB(同)の容量を格納できる。HDDにはLC-FC(低コストファイバチャネル)ドライブを採用している。

 最後のEMC NetWorker 7.4は、Windows、Linux、UNIXの各環境に対応可能なバックアップソフトウェア。新版では仮想テープライブラリやNASなどの連携機能を強化したほか、複数のリテンションポリシーのサポート、ディスクストレージからの同時リストア機能対応といった新機能で、柔軟性、リカバリ速度などを改善した。また、ユーザーインターフェイスの改善によって、操作性を高めている。加えて、256ビットのAES暗号化機能もサポート可能だ。価格は、Windows/Linux向けが15万8000円から、UNIX向けが56万8000円から。

 なおAvamarはもともと、2006年11月に米EMCが買収した米Avamar Technologiesの製品。EMCのソフトウェア・プロダクト・マーケティング担当シニア・ディレクターのロブ・エムスレイ氏は、この買収を「規模は小さかったが、戦略的にはとても重要だった」と振り返る。EMCでは、この製品が持つ重複除外技術を戦略的に重要なものととらえており、各製品へ積極的に投入する予定。Disk Library 6000シリーズをはじめとする仮想テープライブラリには、2008年の早い時期に機能を追加するとしている。またNetWorkerとの管理機能の統合を、2007年後半に実施する意向である。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://www.emc2.co.jp/
  ニュースリリース
  http://japan.emc.com/news/emc_releases/showRelease.jsp?id=5151&l=ja&c=JP
  http://japan.emc.com/news/emc_releases/showRelease.jsp?id=5152&l=ja&c=JP
  http://japan.emc.com/news/emc_releases/showRelease.jsp?id=5153&l=ja&c=JP
  http://japan.emc.com/news/emc_releases/showRelease.jsp?id=5154&l=ja&c=JP


( 石井 一志 )
2007/06/07 15:24

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