データコア・ソフトウェア株式会社(以下、データコア)は6月8日、ストレージ仮想化ソフト「SANmelody」を活用して、低価格で災害対策を実現する「SANmelody Disaster Recovery Package(以下、SANmelody DRP)」を発表した。併せてSANmelodyの上位モデル「SANsymphony」の新版「同 V6.0」と、オプションのCDP(Continuous Data Protection)ソリューション「Traveller」も新たに提供を開始する。
■ ハードウェアとソフトを切り離すことで低コストのストレージ仮想化を実現
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取締役 セールスマネージャーの片山崇氏
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ストレージ使用率を向上する「Thin-Provisioning」機能
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SANmelodyは、IAサーバーをプラットフォームとして利用するため、ハードウェアに依存しないストレージ仮想化を実現するソフト製品。取締役 セールスマネージャーの片山崇氏は、「これまでのストレージ仮想化製品というと、専用のハードウェアにソフトを組み込んだ形で提供されるものが一般的」だったことに言及。その問題点として、「通常、ハードウェアは時間経過とともに価値が下がっていくが、ソフトは逆に価値が上がっていくもの。両者が一体化されたシステムだと、ハードウェアのリプレースとともに、ソフトウェアまで捨てることになり、非常にもったいない」と説明。データコアのストレージ仮想化製品では、共通プラットフォーム化することで、この問題を解決している点が大きなメリットだとした。
SANmelodyは、IAサーバーにインストールされたWindows Server上で動作する。Windowsが認識した物理ボリュームを仮想ボリュームとして提供するため、iSCSI、SATA、SAS、IDEなどあらゆるストレージリソースを利用することができる。
ストレージ仮想化の際には、「Thin-Provisioning」という手法を採用。これにより、物理HDDをまとめて「プール」化し、それぞれのハードウェア上に最大2TBの「仮想ボリューム」を作成することで、プール内の物理容量のシェアを実現している。ハードウェアとHDDを1対1でひもづけた場合と違って、あるHDDはまだ空き容量が豊富に存在するのに、別のHDDでは容量が足りないといった非効率さを無くすことが可能だ。
■ 低価格で災害対策を実現するSANmelody Disaster Recovery Package
今回発表されたSANmelody DRPは、SANmelodyを「少ない容量でいいから低価格で利用したい」というニーズに応えて、ライセンス体系を再編したもの。用途や最大容量に応じて「DR1」「DR2」「DR3」「DR4」「DR6」「DR7」の6種類のパッケージを用意した。
DR1、DR3、DR6は、ストレージ同期ミラーリングを行う「Auto-Failover」機能に対応。DR2、DR7は、非同期IPミラーリングを行う「AIM」機能に対応。AIMにより遠隔地にデータを複製する災害対策が実現する。DR4は、AIM追加オプションで、例えばDR1とDR4を併用することで、Auto-FailoverとAIM両機能が利用できるようになる。
■ 上位モデルのSANsymphony新版、より高い管理性と可用性を実現
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SANsymphonyの機能
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一方、併せて新版が発表されたSANsymphonyは、SANmelodyの上位モデルとなる。片山氏は、「これまでの仮想化が主にリソース統合などに主眼が置かれていたのに対し、当社は仮想化による柔軟な管理・運用性を追求してきた。今回の新版は、管理・運用性を自動化することでさらに効率性をあげたものだ」と説明した。
SANmelodyと比べた優位点としては、3台でのミラーリング機能や複数拠点へのリモートデータ転送、専用GUI、Travellerが利用できる点などが挙げられる。さらに新版では、最新のプラットフォームを搭載。リージョン、ドメイン管理の強化がなされたほか、リソースプール内でのホットスワップおよびRAID、グループオペレーション(一括自動設定)などが行えるようになっている。
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複数のストレージリソースを一元管理する専用GUI
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プールのパフォーマンス管理画面
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視覚的な管理が可能
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■ SANsymphonyで使える柔軟なデータ保護ソリューションのTraveller
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Travellerデータフロー
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SANsymphonyのみで使えるTravellerは、柔軟なリカバリー機能を備えたデータ保護ソリューション。ミラーリング構成化されたSANsymphony環境に、もう1台ストレージを用意することで、保存しているデータをシームレスに保護することが可能になる。仕組みは、まずTraveller利用開始時にすでに保存されているデータから「ベースデータ」を作成。その後、データが更新されるたびに、その差分をバッファに蓄積する。リアルタイムにデータの変化をキャプチャするため、Travellerを利用開始してからデータ保存期間内のどの時点にもリカバリーできるのが特徴だ。
「データ保護の手法としては、バックアップ、スナップショットといったものもあるが、これらの手法では、リストアポイントが制限される点とバックアップ・リストアに時間がかかり、サービスへの影響が大きい点がデメリットとなる。一方、Travellerでは連続したリストアポイントから、どの時点にでもロールバックできる上、サービスへ影響を与えないゼロインパクトが実現できる。またロールバックボリュームは、テスト・開発サーバーなどでも利用可能なので、データ保護のみならずさまざまな用途に使い回すこと可能だ」(片山氏)。さらに、リカバリーポイントをカレンダーとアナログ時計の形をしたGUIから直感的に指定できるのも特徴とのこと。
データコアでは、これらのソリューションを基に、インフラ全体を仮想化する効率的な仮想環境を実現する「Total Enterprise Virtualization」構想を打ち出している。
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TravellerのGUI画面。各仮想ボリュームの状況を一元把握できる
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リカバリーポイントの指定画面
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■ URL
データコア・ソフトウェア株式会社
http://japan.datacore.com/
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2007/06/08 19:33
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