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Dynamics AXの画面イメージ
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Dynamics AXのターゲット市場
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マイクロソフト株式会社は6月20日、同社初となるERPソフトウェア「Microsoft Dynamics AX 4.0」(以下、Dynamics AX)を発表した。同社のビジネスアプリケーション「Dynamicsシリーズ」の、国内第2弾となる製品。同日より販売を開始する。
Dynamics AXは、会計管理、生産管理、人事管理といった各種基幹業務の処理機能を備えたERPソフトウェア。この製品はもともと、デンマークのNavisionが開発した製品で、2002年の米Microsoftによる同社買収後、Microsoftのビジネスソリューションズ部門から提供されるようになった。ベース製品は、すでに9年を超える販売実績を持ち、顧客数が7500社を数えるなど、国外では豊富な販売実績がある。このため、ERP製品が備える基本機能はほとんど網羅されているという。
現行版は米国では2006年6月から出荷されているが、日本語のサポート、日本独自の商習慣への対応などを行っていたため、米国より約1年遅れて、同日より国内での展開が本格的に開始された。主に、年間売り上げが50億~500億円程度の中堅企業における基幹システム、または大企業における部門・支社・子会社向けのサブシステム、という2つの異なる利用形態を想定している。
特徴は、「人を重視したERP製品」(代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏)である点。Dynamics AXではユーザーが使い慣れたOutlookライクな専用クライアントツールを用意しており、直感的な操作を行える。しかも、実際にDynamics AXを利用するエンドユーザーが自ら、表示項目の表示・非表示を設定したり、表示の配列を変えたりと、自分の使いやすいように変更する機能を備え、各ユーザーひとりひとりに対して“専用画面”を提供できる。
また標準機能で、経営者が現在の状況を詳細に確認可能なWebポータル機能を備えるほか、Word/Excel/OutlookなどのMicrosoft Office製品との緊密な連携を実現。それらの製品へデータを出力して、加工したデータを再度Dynamics AXへ取り込むことや、入力インターフェイスとして用い、入力した情報をじかにDynamics AXへ反映することも可能になっている。
マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 MBSプロダクトマーケティング本部のAXプロダクトマネージャ、國持重隆氏は「実際にDynamics AXを利用しないユーザーも、マイクロソフト製品との連携で分析などが行える。社員全員が不自由なく使えるERPシステムだ」とこれを評す。
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代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏
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またヒューストン社長は、「Dynamics AXは技術志向の製品ではない。技術がとてもすばらしいがきちんと利用できていない、というのでは投資が無駄になるし、自分たちのやり方をまったく変えねばならない、ということでも同様だ。Microsoft Office製品と共通するインターフェイスを持ち、何を使っているのかわからなくなるくらいOffice製品とも統合されているこの製品では、人々が必要な情報にアクセスして、重要な判断を行うのをサポートできる」と話した。
さらにDynamics AXでは、「.NETの技術で、ビジネスニーズにあわせて製品をカスタマイズできる」(ヒューストン社長)点も特筆すべき点という。しかもDynamics AXは全8階層からなる階層構造を採用しており、標準機能の部分と、後から加えた部分が分かれているため、サードパーティによるアドオン追加やユーザーによるカスタマイズを容易に行えるほか、標準機能が更新されてもそうした部分をそのまま引き継ぐことが可能になっている。
こうしたパートナーが参入しやすい特徴もあり、またDynamics製品群共通の戦略もあって、マイクロソフトではパートナーとの協業を緊密に行っていく考え。すでに、大塚商会、OBC、NEC、日立などERP分野で豊富な実績を持つ16社のパートナー企業が対応を表明しており、対応ソリューションが順次提供される予定となっている。
ラインアップには、フル機能を備えた「Advanced Management Edition」と、会計まわりの部分のみに機能を絞った「Business Essentials Edition」を用意した。参考価格は、前者のファウンデーションパック(サーバー)が47万7545円、同時使用ユーザーライセンスが21万5025円から。後者のファウンデーションパックが27万10円、同時使用ユーザーライセンスが12万1450円から。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
プレスリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3101
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( 石井 一志 )
2007/06/20 15:43
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