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日立、センサ技術で“コミュニケーションの活発さ”を地形図化する「ビジネス顕微鏡」


名札型センサネット端末

組織内のコミュニケーションや活動の状況を地形図のように図面化
 株式会社日立製作所(以下、日立)は6月22日、センサ技術を用いて、組織内のコミュニケーションや活動の状況を地形図のように図面化する組織活動監視システム「ビジネス顕微鏡」を試作したと発表した。

 ビジネス顕微鏡は、赤外線センサ、加速度センサ、マイクセンサなどを用いて、企業内での社員のコミュニケーション頻度や活動状況を測定するシステム。収集したデータを、「組織ダイナミクス像生成技術」というテクノロジを使って、地形図のような形で図面化できるのが特徴だ。

 社員同士の対面頻度や動きを測定するため、赤外線センサ、3軸加速度センサ、マイクセンサ、無線通信デバイスおよび小型電池を搭載した「名札型センサネット端末」を試作。重さ約60グラムの小型・軽量端末により、水平・垂直方向約30度、距離2メートルの範囲で、対面しているほかの名札型センサネットを検出できるという。

 組織ダイナミクス像生成技術で作られた地形図では、複数のメンバーで構成されている組織全体を“島”の形で表現し、社員のコミュニケーション頻度に応じて、つながりの強い人同士が集まった“山”を形成、等高線が表示される。大きなグループは高くすそ野の広い山、小さなグループは低い山として表現され、これらがつながりあってグループの複合的な関係による“山脈”ができあがる。

 対面時間だけではとらえきれない、社員間の行動や意思疎通の強さや影響の方向性は、加速度センサなどを利用して図面化するという。

 日立では同システムの試作した目的を、これまで目に見える形で把握することが難しかった組織内のコミュニケーション状況を可視化、問題点を抽出することで、組織運営に伴うリスクの低減や生産性向上などに役立たせることが期待される、としている。

 試作に伴い、今回、日立総合計画研究所と日立製作所基礎中央研究所の37名が、同システムを利用して実証実験を実施。その結果、マネージャや担当者間のコミュニケーション状況の変化から、開発プロジェクトの中で不具合が発生した際の組織状態の変化が認められたとのこと。日立では、さまざまな組織を対象とした生産性改善やリスク予測サービスの事業家に向けて、今後も実証実験を行っていく予定とした。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/06/0622.html


( 川島 弘之 )
2007/06/22 12:37

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