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WebSphere事業部長の山下昌夫氏
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日本アイ・ビー・エム株式会社は7月19日、SOAプラットフォーム「IBM WebSphere Business Services Fabric V6.0.2」を発表した。7月20日より日本語版メディアの出荷を開始する。
Business Services Fabricは、2006年に買収した米Webify Solutionsの製品をベースにした、ビジネス指向の設計・開発・実行のためのSOAプラットフォーム。最大の特長は、独立したビジネス機能を定義した「ビジネスサービス」を、動的に参照してシステムを構築できる点。このビジネスサービスを複数組み合わせた「コンポジットビジネスサービス(CBS)」を利用することで、システム構築時間の短縮と、柔軟なソリューションの構築が可能となっている。
ビジネスサービスについて、同社WebSphere事業部長の山下昌夫氏は、「アプリケーションパッケージと既存ITリソースの間で提供されるもので、ビジネスユーザーに対してわかりやすい単位でサービスを提供するもの。ビジネスサイドから定義できるのが特長で、より業務に近いレイヤーのサービスになる」と紹介する。
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Business Services Fabricの特長
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ビジネスサービスの位置づけ
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最新版の特長
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Business Services Fabricの構成製品
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Business Services Fabricは、このビジネスサービスのモデリング・組み立て・実行・管理、のライフサイクルをサポートするスイート製品。ビジネスサービスの作成・管理、テストを行う「Composition Studio」、サービスを動的に選択してパーソナライズする「Business Service Dynamic Assembler」、ビジネスサービスメタデータ、ポリシー、サブスクライバを管理する「Business Services Repository」、ビジネスサービスの利用資格の制御と自動化を行う「Business Services Subscriber Manager」、SLAに対する性能監視とレポートを行う「Business Services Performance Manager」、ビジネスサービスメタデータへのライフサイクルの変更管理を行う「Business Services Governance Manager」により構成される。
Composition Studioは、Eclipseベースの開発ツール。ビジネスプロセスを表現する場合、プログラミングを行う必要があったが、Business Services Fabricではビジネスサービスをポリシーベースで利用できるため、Composition Studioではポリシーの宣言を行うツールとなっている。「ビジネスプロセスをSOAに落とし込む場合、従来はBPELで定義するのが一般的だが、どうしても元のビジネスプロセスとは違った形態に変化するため、ITとビジネスの間でギャップが発生していた。Business Services Fabricでは、業務プロセスに視点を置いているのが新しい点で、ITとビジネスのギャップを埋められる」(同社WebSphere事業部マーケティング・マネージャの渡辺隆氏)と、利用するメリットを説明する。
Business Service Dynamic Assemblerは、設定されたポリシーに基づいてエンドポイントを選択するための実行エンジンで、Websphere Process Server上で稼働する。SOAガバナンスを実現するのが、Business Services Governance ManagerとBusiness Services Performance Manager。Business Services Governance Managerで、ビジネスサービスの変更リストの発行やライフサイクルの承認・否認の管理、変更履歴のトラッキングと監査を行える。Business Services Performance Managerでは、性能と利用状況のメトリクス表示、課金情報などの表示が行える。
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製品構成図
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Composition Studio
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Business Service Dynamic Assembler
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Industry Content Pack
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また、Business Services Fabricの特長として、業種別の「Industry Content Pack」が用意されている点が挙げられる。このIndustry Content Packは、Webサービスのインターフェイスやデータのひな形、ワークフローなど、業界固有のメタデータを定義したテンプレート集。これを利用することで、SOAを利用したアプリケーションの構築期間を短縮できるとしている。
Industry Content Packは、銀行の決済業務用の「IBM Banking Payments Content Pack」、保険企業向け損害保険業務用の「IBM Insurance P&C Content Pack」、医療保険企業の支払者プロセス用の「IBM Healthcare Payer Content Pack」、通信企業の請求・フルフィルメント・保証業務用の「IBM Telecom Operations Content Pack」の4種類が用意されている。
「Business Services Fabricでは、実行環境とテンプレートを提供するのみで、アプリケーションそのものはユーザーもしくはSIerが開発することになる。あくまでも基盤を提供するビジネスが中心」(山下氏)と、同社でアプリケーションまでは開発するわけではないと説明する。
価格は、Composition Studioのみが含まれる「IBM WebSphere Business Services Fabric Tools Pack V6.0.2」が、1ユーザーあたり207万4000円(税別)から。Composition Studio以外の管理・実行環境が含まれる「IBM WebSphere Business Services Fabric Foundation Pack V6.0.2」が、1CPUあたり3360万5000円(税別)から。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/20070719001.html
( 福浦 一広 )
2007/07/19 15:30
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