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米IBM ロータスソフトウェア ジェネラルマネージャーのマイク・ローディン氏
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Lotus Notes/Domino 8の4つの特徴
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Lotus Notes以外のアプリケーションとの連携例
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日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は7月31日、コラボレーションソフトウェアの新バージョン「IBM Lotus Notes/Lotus Domino 8」日本語版(以下、Notes/Domino 8)を、9月11日からダウンロード提供開始すると発表した。メディア版は10月10日から提供開始する予定。
製品発表にあたり、米IBM ロータスソフトウェア ジェネラルマネージャーのマイク・ローディン氏は、「Lotusブランドの製品は、ワールドワイドで10四半期連続で成長を続けている。この第2四半期に関しても、世界市場で13%の伸びを達成し、事業は好調に推移している。今回、このLotusブランドにおける、次世代のコラボレーションを実現するプラットフォームとしてNotes/Dominoの新バージョンを発表する。これによって、コラボレーションのレベルがさらに1段上がることになるだろう」と述べた。
今回の新バージョンの特徴は、1)オープンソース開発環境の「Eclipse」に準拠、2)新しい開発手法の採用による使いやすさ向上、3)オープンなファイル形式「ODF」に対応したオフィスソフトの機能を搭載、4)すべてのNotes資産を継承、の大きく4点に集約される。
日本IBM ロータス事業部 事業部長の澤田千尋氏は、「4つの特徴のうち、もっとも重要なポイントはEclipseに準拠したこと。従来までのバージョンは、クライアントの作り込みによって開発されていたが、今回のバージョンはEclipseを基盤として構築したJavaのコンポジットアプリケーションとなっている。これによって、NotesアプリケーションとほかのJavaアプリケーションやWebサービスとの通信・連携が簡単に行えるようになった」と説明する。
具体的には、Notes上の取引先情報と、インターネット上で提供されているニュースや株価、地図などの情報を連携し、Notesの画面上にあたかも1つのアプリケーションのように表示させることが可能となる。こうした連携により、企業の営業担当者が顧客企業へ出向く前に、取引内容、顧客企業の最新ニュース、取り扱い製品の情報などをNotes上からすぐに確認できるようになり、情報収集にかかる時間を削減できるという。
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日本IBM ロータス事業部 事業部長の澤田千尋氏
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新しい開発手法の採用としては、ユーザーの視点に徹し、そのニーズを直接反映させるため、「ブログ」と「ペルソナ手法」という2つの開発手法を採用。ブログでは、全世界のNotes/Domino 8開発者のうち、日本人数十人を含む数百人が自身のブログを立ち上げ、各ブログを通じて得たユーザーからの要望や意見を製品開発に反映させた。一方のペルソナ手法は、仮想的なユーザーを詳細にデザインし、そのユーザーが使うことを想定して製品開発を進める手法。今回は、日本も含め、全世界で2000以上のユーザーに対して実施した。
これらの新手法によって、「ユーザーの思考を中断させない“ながら”オペレーションを追求し、インターフェイスと操作性の大幅な向上を実現。カレンダーやアドレス帳など、さまざまなプラグインをNotes画面の右側に配置することで、情報を見ながらメールや文書を作成できるようにした。また、メール機能も強化し、スレッド表示の改良、送信メールの取り消し機能、メールアドレス先行入力機能の搭載などを行った」(澤田氏)と、ユーザーにとってさらに使いやすいアプリケーションに進化したことを強調した。
XMLに基づいたオープンなファイル形式「ODF」への対応としては、Notes上で「ODF」に対応したワープロ、表計算、プレゼンテーションをそのまま利用できる機能を標準搭載。これにより、ほかのオフィス・アプリケーションソフトを購入・導入することなく、Notes/Domino 8上のみでオフィス文書を作成・編集できるようになる。
4つ目の特徴である、すべてのNotes資産の継承については、Eclipse準拠、ODF準拠といった製品技術の抜本的な改造を実施しながら、顧客がもっている既存のNotes資産は手を加えることなく、新バージョンでもそのまま稼働するように設計したという。
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Lotus Notes/Domino 8の主なライセンス名と価格
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Notes/Domino 8 日本語版の価格は、サーバーライセンス「IBM Lotus Domino Enterprise Value Unit」が3825円/Value Unit、クライアントライセンス「Notes with Collaboration License」が2万600円/ユーザー、Webクライアントライセンス「Domino Web Access Collaboration User」が1万6100円/ユーザーとなっている。
新バージョン投入にともなう営業戦略としては、新たなパートナー支援策「Notes/Domino 8 Readyプログラム」を9月11日から実施することを発表した。このプログラムは、Notes/Domino 8対応のパッケージアプリケーションやソリューションを構築したビジネスパートナーと共同でマーケティングプランを作成し、実施していくもの。パートナー企業の参加費用は無料。
このプログラムに参加することで、パートナー企業は、顧客向けセミナーやWebサイトを通じた販促活動を日本IBMと共同で行うことが可能となる。また、Javaプラグインや複数アプリケーションの連携といったコンポジット・アプリケーションの機能を搭載したアプリケーションを開発するパートナー企業については、「Notes/Domino 8 Ready コンポジットアプリケーションパートナー」として認定され、通常の支援内容に加え、IBM大和ソフトウェア開発研究所の技術者からの開発支援も提供する。
同社では、年内に50社の参加パートナーを見込んでおり、Notes/Domino 8対応アプリケーションの拡大を目指す。
さらに、新バージョンの投入を機に、Notes技術者の育成にも注力していく考えで、今年11月から開始する「Lotus Notes/Domino 8 認定試験」の合格を目指すパートナー向けに教育支援セミナーを提供開始する。まず、無償の「Lotus Notes/Domino 8 テクニカルセミナー」を、9月14日から月1回程度、技術者向けに開催。10月からは、「Lotus Notes/Domino 8 アップグレードセミナー」(東京・大阪)および「Lotus Notes/Domino 8 コンポジット・アプリケーション開発研修」を月1回程度開催する予定。受講費用は、両コースとも1人につき約5万円となる。
これらのセミナーによって、「旧バージョンのNotes資格保持者のアップグレードを促進するとともに、Java技術者に対してNotes技術者資格の取得を訴求し、Notes技術者のさらなる拡大を目指す」(澤田氏)としている。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/20070731003.html
( 唐沢 正和 )
2007/07/31 17:18
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