ターボリナックス株式会社は8月29日、wizpyを端末としてServer Based Computing(SBC)形式のシンクライアントを実現するソリューション「wizpy Style Secure Solution」を発表した。9月下旬から提供を開始する。併せて、11月下旬の発売を予定するサーバーOS新版「Turbolinux 11 Server」の概要を説明するとともに、今後のプロダクトロードマップおよびサポートポリシーを発表した。
■ wizpyで実現するシンクライアント-既存資産を有効に活用
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wizpy事業部長の中尾貴光氏
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wizpy Style Secure Solutionは、シンクライアントを低コストで実現するためのソリューション。2Xアルファ・ソリューションズが総代理店として提供しているシンクライアントソフト「2X ソフトウェア」を導入したサーバーで、企業内のデータやアプリケーションを集中管理。USB型の「wizpy Style TC703(以下、TC703)」をクライアントPCに挿すことで、クライアント側での処理を必要最小限に抑えるとともに、データのコピーやCDなどへの書き込み、印刷などを抑止する。
「通常のシンクライアントと異なり、既存のクライアントPCを利用できる」(wizpy事業部長の中尾貴光氏)のが特長。「オープンソースをベースにするため、導入コストも大きく低減。持ち運ぶのはTC703のみで済むため、フリーアドレスや社外からの利用にも柔軟に対応する」(同氏)とのこと。
製品構成としては、Windowsアプリケーションをリモートデスクトップに配信するためのサーバー「wizpy Style Secure Server powered by 2X(以下、Server powered by 2X)」、シンクライアント端末となるTC703のほか、負荷分散を行う「wizpy Style Secure Solution Loadbalancer(以下、Loadbalancer)」が提供される。
サポートサービスとしては、標準で年間アップグレードサービスが付随。オプションで、導入・運用サポートを行う「wizpy Style Secure Solutionサポートパック」、ソリューションのカスタマイズができる「同カスタマイズサービス」が提供される。カスタマイズにより、指紋認証などを追加することが可能だ。
価格は、Server powered by 2X×1ライセンス、TC703×10ライセンス、年間アップグレードサービスを含んだ基本構成で46万1650円。Server powered by 2XやTC703をより多く必要な場合は、個別相談となる。
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wizpy Style Secure Solutionシステム構成図
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USBポートに挿してあるのがTC703
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■ ZendのPHP製品も組み込まれる予定のサーバーOS新版
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事業推進本部長の森蔭政幸氏
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今回の発表会では、11月下旬の発売を予定するTurbolinux 11 Serverの概要が説明された。
登壇した事業推進本部長の森蔭政幸氏によると特長としてまず、現行サーバーOSと比べてWeb系のパフォーマンスが1.5倍強に向上されているという。基本スペックとしては、x86版32ビットおよび64ビットのCPU、最大32コアに対応。メモリは最大64GBをサポートする。対応ファイルシステムはext2、ext3、ReiserFS、XFS、ext4で、「XFS利用時には、最大ファイルサイズ・ストレージサイズともに8EB(エクサバイト:1TBの100万倍)にまで対応する」(同氏)とのこと。
価格は現行帯のままで、「他社製品のようなCPUソケット数によるライセンス制限も一切ない」(森蔭氏)。さらに、Zend CoreなどのPHP製品もバンドルされる予定だ。具体的にZendのどの製品が組み込まれ、価格がどうなるのかは未定としつつも、同氏は「なるべく標準価格での提供を考えている。低価格で最速PHPプラットフォームを実現したい」と述べている。
収録パッケージとしては、Webサーバー「Apache 2.2.x」、データベースサーバー「MySQL 5.x」「PostgreSQL 8.2.x」、「PHP 5.x」とZend Coreが収録されるほか、管理ツールとして新たに、セキュリティ管理ソフトと統合運用管理ソフトを追加する予定。新機能としては、負荷分散を実現する「Cluster LoadBalancer」が実装される。
■ ターボリナックスはOS事業を絶対やめない
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技術本部長の高橋功至氏
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プロダクトロードマップおよびサポートポリシーについては、技術本部長の高橋功至氏が発表。冒頭で、ターボリナックスはOS事業をやめるのではないか、といううわさを否定。「OSからソフトウェア、ハードウェアと事業を拡大してはいるが、基本となるのはOS。これは今後も絶対変わらない」と語った。
プロダクトポリシーに関しては、今後発表される製品すべてにおいてKernelおよびコアコンポーネントを共通化すると発表。こうすることで、サーバーOSとデスクトップOS間の差異を埋める狙いだ。同時に、従来は明確に取り決められていなかったメジャーパージョンアップのサイクルについても言及。「今後はサーバー製品、デスクトップ製品を1年交代、24カ月サイクルでバージョンアップを実施。その間には、新規ハードウェア対応のためのサービスパックなどを随時提供していく」(高橋氏)とした。
メンテナンスポリシーに関しては、「セキュリティホールやバグの修正していくのは当然とした上で、互換性はなるべく維持し、どうしても問題が発生する場合はいち早く互換性情報を提供していく」(同氏)。通常メンテナンス期間は、サーバーOSが発売開始から5年間、デスクトップOSが発売開始から3年間とし、それ以降はそれぞれ5年間、4年間の有償メンテナンスを提供するとした。
なお、こうしたプロダクトポリシーの適用は、2008年発売予定の時期デスクトップOSからとなる。Turbolinux 11 Serverが適用外となる理由は、「すでに11 Desktopが発売されてしまっている関係上、11 Serverで適用するのが難しいため」(高橋氏)とのこと。
最後に同氏は、「OS製品は長期的に安定して使えることが大切。今回のポリシーの発表は、継続的サポートを表明したもの。これはOS製品への当社のコミットメントでもある」と語った。
■ URL
ターボリナックス株式会社
http://www.turbolinux.co.jp/
ニュースリリース
http://www.turbolinux.co.jp/cgi-bin/newsrelease/index.cgi?date2=20070729133346&mode=syosai
( 川島 弘之 )
2007/08/29 16:32
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