Enterprise Watch
最新ニュース

日本オラクル、Linuxサポートサービス「Unbreakable Linux」を国内で開始


米OracleのLinuxエンジニアリング担当副社長、ウィム・コーカーツ氏

Unbreakable Linuxの概要
 日本オラクル株式会社は8月30日、Linux OSに対するサポートプログラム「Oracle Unbreakable Linux」を9月1日より国内で展開開始すると発表した。昨年10月の「Oracle OpenWorld」で米OracleのエリソンCEOが電撃的に発表したサービスが、いよいよ日本でもスタートする。

 Unbreakable Linuxは、日本オラクルが提供するLinuxのサポートプログラム。OracleのLinuxエンジニアリング担当副社長、ウィム・コーカーツ氏は、「バグの修正も、現在のバージョンに反映できないし、修正に時間がかかる。Red HatやNovellからのサポートは十分でない」という声が、特にハイエンドの顧客から上がっていると述べ、現在のLinuxにおける問題点を指摘。こうした課題に応えるためのサービスがUnbreakable Linuxだとした。

 具体的なサービスメニューとしては、パッチを日本オラクルから提供するエントリーレベルの「Enterprise Linux Network Support」と、それに24時間365日の技術問い合わせ対応を付加した「同 Basic Support」、最上位の「同 Premier Support」の3段階のサービスを提供する。Enterprise Linux Premier Supportでは、過去のバージョンにさかのぼったバックポート修正が提供されるほか、Linux訴訟に対する免責、日本オラクルのサポートポリシーにのっとったライフタイムサポートも提供されるという。

 このサービスにおいては、日本オラクルやOracleが新たにディストリビューションをしたり、特別な機能強化を行ったりすることはなく、あくまでもサポートの提供にとどまる。対象となるLinux OSとして、Red Hat Enterprise Linuxのクローンを日本オラクルが用意し、それに対するパッチが同社から提供される。

 日本オラクルの常務執行役員 システム事業担当 保科実氏は、「24時間365日のスピーディなバグフィクスの提供と、必要に応じたバックポートの提供」をこのサービスの特徴として挙げる。さらに、「Oracle製品ときちっとサーティファイされた形で提供できる」ことにも言及し、これまでの他社提供のパッチで問題となることがあった、適用によるOracle製品との互換性喪失は発生しないとした。

 またEnterprise Linux Basic Support以上のサービスを契約した場合は、管理ソリューション「Oracle Management Pack for Linux」も利用できる。これは、Oracle Enterprise Manager 10gをベースにしたツールで、データベース、アプリケーションサーバーの管理機能に加えて、Linuxのパッチ管理、状態監視、構成管理、プロビジョニングなども一元的に行えるようになる。


Unbreakable Linuxは、2つのビジネスモデルでユーザーに提供される

発表の場にはパートナー各社の代表も出席し、期待を表明していた。一番左は、日本オラクルの新宅正明社長
 販売形態は基本的にパートナー経由の間接販売で、ユーザーは日本オラクルの販売代理店とサポート契約を結び、1次サポートを代理店から受ける形となる。発表会では、CTC、デル、NSソリューションズ、NTTデータ先端技術、サイオスの各社が登壇し、サービス開始にあたっての期待を示した。この各社に加えて、日本オラクルの子会社であるミラクルリナックスも販売を行う。また単なる再販にとどまるこの「1st Line Support Model」に加えて、パートナーが独自のLinuxサービス上にUnbreakable Linuxのサービスを付加して販売する「Value Add Model」での提供も行われる予定。現在は、NECと日立がこの形態での提供を計画する。

 また日本オラクルでは、Linuxに対する取り組みを強化するため、Linuxカーネルの品質向上を目的としたサポートセンター「Enterprise Linux Joint Support Center」を、早ければ年内にも立ち上げる。ここでは、Linuxカーネルの不具合や障害を発見し、その分析やパッチ開発などを、NECや日立などのパートナー企業とともに行っていく考え。発見したバグについてはオープンソースコミュニティへ還元する。なお、カーネルメンテナーについては、ミラクルリナックスの技術者も参加するという。

 ハードウェアの互換性も、Enterprise Linux Joint Support Centerなどで検証していく予定。NECのOSSプラットフォーム開発本部 本部長、大宮虎徹氏は「Red Hatのクローンとは言っても、検証は必要だ」として、ハードウェアについてはRed Hatとは分けて対応認定する考えを示したが、Value Add Modelでの提供の場合はすでにあるサービスの延長という形になるので、別途認定する必要はないとした。

 日本オラクルではこれらの施策に加えて、トレーニングビジネス部門「Oracle University」でのLinux研修プログラム強化や、認定資格の新設、Oracle GRID Centerを活用した各種検証結果やベストプラクティスの公開などを行っていくとしている。

 Unbreakable Linuxの価格は、1st Line Support Modelでの提供の場合、Enterprise Linux Network Supportが1万2400円、同 Basic Supportが4万9900円(~2CPU)もしくは12万4900円(CPU無制限)、同 Premier Supportが14万9900円(~2CPU)もしくは24万9900円(CPU無制限)。Value Add Modelの場合は、各社のサービスメニューとして、独自の価格で提供される。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1776
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1777

関連記事
  ・ 米OracleエリソンCEO、“同じレベルで価格は半分以下”のRed Hat Linux向けエンタープライズサポートを発表(2006/10/26)
  ・ 日本オラクル、2007年初頭にも「Unbreakable Linux 2.0」事業を国内で展開へ(2006/11/14)


( 石井 一志 )
2007/08/30 18:27

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.