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顧客指向を追求した新版「Oracle Database 11g」-400以上の機能を強化


代表取締役社長の新宅正明氏

Real Application Testingによって、テスト期間の大幅な短縮が実現できる

バックアップサイトを有効活用する機能も搭載された
 日本オラクル株式会社は9月3日、RDBMSの最新版「Oracle Database 11g」を発表した。代表取締役社長の新宅正明氏は、発表の場で「お客様の声、カスタマバリューにつながる価値を直接製品に入れ込んでいこうということで開発された。アルファ版以前から国内の顧客の厳しい要求を取り入れて機能を拡張した部分もある」と述べ、顧客の声を最大限取り込んだということをアピールしている。出荷は、Linux版が10月23日より開始されるほか、年内をめどにほかのプラットフォーム向けの提供も開始される予定だ。

 最新版となるOracle Database 11gは、前バージョン「Oracle Database 10g」以来、3年ぶりのメジャーバージョンアップとなり、1500万時間のテストを含むのべ3万6000人月のリソースを費やして開発された。機能追加は実に400を超えるとのことで、その最大の特徴は、新宅社長もアピールしたように、「顧客の声を最大限取り入れたリリースである」(常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏)こと。三澤氏は、「Oracle Database 7以来の大きなバージョンアップ。今までテクノロジーでリードしてきたメジャーバージョンアップに対して、顧客が本当に困っているところに対して機能を追加してきた。日本企業の声も取り入れている」と述べ、Oracle Database 11gが課題に応えていくための武器になるという点を強調する。

 その、もっとも大きな強化点が、運用管理コストの削減を支援する機能だ。企業では本来、システムへのパッチ適用やバージョンアップ、ハードウェアの変更といった際に十分なテストを行う必要がある。しかし、テスト実施には工数や期間がかかるほか、人材の不足、テストツールを使いこなせないといった理由によって、思うようにテストを行えない企業が大半であるという。また、テストを実施できている企業でもコストや工数の増大という課題を抱えており、頭を悩ませている。そこで今回の新版では、オプション機能「Real Application Testing」によって、こうした問題を解決できるようにした。

 具体的には、本番環境で発生するワークロードそのものをキャプチャし、テスト環境で再現できるようにしている。この手順はすべて自動で行われ、人手を介さずに済むため、ワークロード作成にかかる時間を大幅に短縮できる。また、データベース同期オプションである「Oracle Data Guard」と併用すると、バックアップサイトでテストが行えるようになるという。

 「バックアップサイトは通常本番サイトと同じ環境を用意するが、ほとんど使われておらず、リソースがもったいない。これをテスト環境として使えるのは大きなメリット。また、本番機と同じテスト機が用意できず、十分なテストが行えないという課題もあるが、バックアップサイトを利用することでこれも解決できる」(三澤氏)。これらの技術を活用した結果、日本オラクルの社内検証では、従来140日かかっていたテスト準備期間が6日に短縮できたとのことで、三澤氏も画期的な機能だとアピールしていた。なお今回は同時に、バックアップサイトへレポーティングやバックアップ取得といったバッチ作業をオフロードする「Oracle Active Data Guard」オプションも、Oracle Data Guardの新機能として追加されている。


Oracle Partitioningを有効活用し、データベースのILMを実現する

常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏

パフォーマンス面も大幅に強化されている
 一方、増大するデータ量への対応として、ILM(情報ライフサイクル管理)の機能も拡張された。EMCジャパンをはじめとするストレージベンダでは、情報の持つ重みによって格納場所を動的に変更するILMをうたっているが、あくまでも管理できるデータはファイルデータにとどまっており、データベース内の情報には手が付けられていなかった。今回日本オラクルでは、Oracle Partitioningの機能によって時系列で表を分割。オンラインでデータを移動できるようにすることで、データベースのILMを初めて実現できたという。また、データが新たに入力された場合に、必要なパーティションを自動で作成する機能も備えており、極力人手がかからないように工夫されている。

 また、データ圧縮機能も強化された。「Oracle Advanced Compression」オプションを利用すると、「データウェアハウスだけでなくOLTPにも圧縮を適用可能」(三澤氏)。非構造化データを含めてすべてのデータタイプに対し、平均2~3倍の圧縮率を実現できる。また、データ量を小さくできることから、「ボトルネックとなるディスクI/Oの量を削減できるので、アプリケーションの高速化につながる」(三澤氏)とのこと。

 もちろん、基本性能の向上というもっとも重要な部分にも、十分手が加えられている。パフォーマンス面では、RACのパフォーマンスを70%向上させたほか、Javaのストアドプロシージャを高速に実行する「Java just-in-time Compiler」、コネクションプール機能をPHPで利用するための「Database Resident Connection Pool」をはじめ、多数の機能拡張がなされた。またこれ以外にも、メモリ/SQLの自動チューニング機能や、格納された非構造化データを高速に読み書きできるようにする「Oracle SecureFiles」の追加、XML DB機能のパフォーマンス強化、障害解析機能の自動化、暗号化機能の強化など、数多くの機能が追加・強化されている。

 なお、日本の顧客からの要望で実現した機能としては、「非常に単純なSQL文を処理するパフォーマンスが向上していること」があるという。これは、メインフレームからオープン系にアプリケーションを直接変換した場合に、有効に働くとのことである。

 価格は従来と同様で、最上位のEnterprise Editionが10万5000円/指名ユーザーもしくは525万円/CPU、中位のStandard Editionが3万9375円/指名ユーザーもしくは196万8750円/CPU、SMB向けのStandard Edition Oneが1万9530円/指名ユーザーもしくは65万5620円/CPU。オプション製品は、Real Application TestingとActive Data Guardがいずれも2万6250円/指名ユーザーもしくは131万2500円/CPU。Advanced Compressionは1万3125円/指名ユーザーもしくは65万6250円/CPU。これらはすべて、Enterprise Editionのオプションという位置付けになる。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1778

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( 石井 一志 )
2007/09/03 15:56

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