Enterprise Watch
最新ニュース

統合開発ツールの新版「CodeGear RAD Studio 2007」、4カ国版同時発売

.NETデータベースアプリの開発も容易に

CodeGear RAD Studio 2007

CodeGearマーケティングディレクターの藤井等氏
 ボーランド株式会社の開発ツール部門であるCodeGear事業本部は9月6日、Windows向けの開発ツールの最新版「CodeGear RAD Studio 2007」を発表した。英語版、ドイツ版、フランス版、日本語版を同日から発売する。

 CodeGear RAD Studio 2007は、「Delphi for Win32」「C++Builder」「Delphi for .NET 2.0」に対応した統合開発環境(IDE)を提供するRAD(Rapid Application Development)ツール。C/C++およびDelphi向けのネイティブWindows開発とDelphi向けの.NET開発を単一環境でサポートするのが特徴だ。この新版では、データベースを利用した高機能なWindowsアプリケーションやWebアプリケーションを高いコストパフォーマンスで構築できるようになっている。

 CodeGearマーケティングディレクターの藤井等氏は、同製品のコンセプトを「適材適所」と表現する。同氏によれば、「開発現場の現状を見ると、最先端の技術とネイティブ技術のはざまにあり、ほとんどの企業では限られた予算、人員、スキルでの開発の下、両技術を必要に応じて使い分けるような状況にある」という。また、「OSのサポート切れやデータベースのバージョンアップなどによりリプレースプロジェクトも増加しており、環境の変化にいち早く対応する必要性も生じている」(同氏)。

 CodeGear RAD Studioでは、OSバージョン、言語、プラットフォームを問わない開発が可能で、「例えば、Windows XPで開発したアプリケーションをWindowsのどのOSでも問題なく動作させることができる。言語もネイティブであろうと.NETであろうと同じ手順で開発することもできるし、データベースの種類に依存しないで開発することもできる。このため特定の技術に特化する必要がない」(藤井氏)と説明。つまりは「エンドユーザーが望むアプリケーションを、開発者が望む環境で開発することができる」と述べ、これが適材適所が意味する所だとした。

 こうした環境に依存しない開発を可能にするため、CodeGear RAD Studioでは、「VCL(Visual Component Library)」によりドラッグ&ドロップによる容易な開発を可能にし、同時にOSの差異も吸収できるようにしている。「ただし、簡単に開発できるからといって、簡単なアプリケーションしか開発できないわけでなく、オブジェクト指向のよるコンポーネントの拡張など、プロユースに耐えうる拡張性、柔軟性も実現している」(同氏)。


CodeGear RAD Studioコンセプト 新機能

.NET Frameworkのサポート

VCLにVista向けのコンポーネントが追加された
 今回の新版では、Win32向け開発と.NET開発の両立を実現。新たに「.NET Framework 2.0/3.0」をサポートし、Microsoft .NET 2.0(3.0互換)およびASP.NET 2.0による開発をDelphi言語で行うことを可能にした。またAjax対応のASP.NET 2.0開発、ならびにDelphi for .NETでのパラメータ化された型(ジェネリックス)などをサポートしている。

 VCLでは、Windows Vistaに対応。Aeroをはじめとした3D UI効果、アニメーション、Vistaファイルダイアログ、タスクダイアログ向けのコンポーネントなどが追加された。

 データベースアーキテクチャとしては、DBX4(dbExpress 4)をアップデートし、新たにADO.NET 2.0をサポートした。さまざまなアプリケーションに対応できるモジュール化されたコンポーネントにより、主要なRDBMSへの共通接続をサポートする。新版では、フルマネージドSQL準拠の組み込みデータベース「Blackfish SQL」のライセンスが標準で含まれており、DBX4を使ってこの組み込みデータベースとアプリケーションを接続させることも可能だ。そのほか主要なRDBMSとしては、Oracle 10g、SQL Server 2000/2005、Informix 9.x、IBM DB2 8.x、Sybase 12.5に対応する。

 そのほか、.NET 2.0向けのモデルドリブン開発(MDD)を実現するECCフレームワークも機能強化。VCL.NETに対応した「ECO IV」として提供される。これにより、VCLアプリケーションやASP.NETアプリケーション用に、ビジュアル操作で図を使ってオブジェクトの作成、リレーションやロジックの定義を行い、データの永続化ができるようになった。ロジックやプレゼンテーションレイヤーを維持したまま、モデルベースでメンテナンスが行えるようになるため、変更の多いアプリケーションのメンテナンス効率を格段に向上するとのこと。


DBX4データベースアーキテクチャで、ADO.NETをサポート Blacfish SQLを標準提供 MDDフレームワークのECO IV搭載

 製品ラインアップは、「Professional」「Enterprise」「Architect」の3種。Professionalは個人開発者向けで、価格は12万6000円。Enterpriseは企業開発者向けで、価格は33万6000円。Architectはすべての機能を網羅する上位版で、価格は39万9000円。



URL
  ボーランド株式会社
  http://www.borland.com/jp/
  CodeGear事業本部
  http://www.codegear.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.codegear.com/jp/article/36906/

関連記事
  ・ 「既存分野だけでなくRuby・PHPも注力」、CodeGearが今後の製品展開を説明(2007/08/27)


( 川島 弘之 )
2007/09/06 15:39

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.