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日本HP、SOAの課題を解決する「HP Software」ポートフォリオ

ガバナンス、品質、管理の視点で横断的対処

HPソフトウェア事業本部 ソフトウェア・マーケティング部の転法輪浩昭氏

ガバナンス、品質、管理3つの視点からSOAライフサイクル全体を最適化
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9月12日、ガバナンス、品質、管理の3つの視点からSOA実装の課題に対処する新製品ポートフォリオを発表した。SOAの品質を向上するテストツールとして9月3日からすでに販売済みの「HP Service Test 9.0」および「HP Service Test Management for Quality Center 9.2」に加え、今回新たに、SOAガバナンスを確立するための「HP Systinet 2.51」、運用を効率化するための「HP SOA Manager 2.5」を発表。10月1日から提供を開始する。

 日本HPのSOAポートフォリオは11の製品シリーズに分類される。企画・戦略立案段階では、「Project&Portfolio Management Center」「SOA Center」といったシリーズが用意されており、特にCIO(Chief Information Officer)やCTO(Chief Technology Officer)向けのものとなっている。続いて開発段階では、「Quality Center」「Performance Center」「Application Security Center」の3つ、実装後の運用段階では、「Business Availability Center」「Operations Center」「Network Management Center」などをはじめとした計6種が用意されている。

 今回発表されたHP Systinet 2.51とHP SOA Manager 2.5は、このうち企画戦略段階のSOA Centerに位置づけられる。それぞれ、ガバナンスを確立してサービスポリシーなどを管理し、各サービスの制御を行うものと、サービス同士が連携した際にそのパフォーマンスなどを管理するものだ。9月3日から発売済みの両製品は、開発段階のQuality Centerに含まれている。

 そもそもなぜ、SOAを実践するに当たってこうした製品が必要となるのか。HPソフトウェア事業本部 ソフトウェア・マーケティング部の転法輪浩昭氏は、「SOAにおける各プレイヤー同士が立場によって相反する思いを抱いていることが、SOA推進の上で大きな障害となっている」と話す。

 何らかのシステムを自社に導入する時を思い浮かべると、そこには企画部門、サービス提供者、サービス利用者の3すくみの関係性が常に存在する。「正しいサービスを実現したい」という企画部門の思惑、「どうしたらその価値を提示できるか」というサービス提供者の思惑、「その価値を本当に信用して良いのか」という利用者の思惑。戦略立案、開発、運用いずれの場面においても、3者はそれぞれに違った思いを抱き、微妙に異なる方向を見ており、これが導入の妨げとなる。「SOAを実装する際にもそれは同様なのだ」(同氏)。

 3者の思惑がどうしても相いれない場合どうなるか。SOAの利点が、全社的に横展開しやすいモジュール化された「再利用性」や「変更の容易さ」にあるにもかかわらず、結局、部門ごとなどに別個に利用を開始して、サイロ化されたSOAを実現してしまうのがオチとなる。

 「SOAがうまくいっている企業ではおおむね、企画部門の一貫したSOAガバナンスの下、開発時には品質確保を、運用時には効率的な管理を行う体制が確立されている」(同氏)。


SOA導入における課題。立場によってなかなか相いれない3者の思惑 SOAがうまくいっているケース。日本HPが今回の製品群で実現しようとするのが、まさにこの形である

HP Systinet 2.51概要

HP SOA Manager 2.5の概要
 こうした効率的で確かなSOAを実現するために日本HPが提供するのが、今回の新ポートフォリオに含まれた新製品群というわけだ。

 ガバナンスのHP Systinetでは、各サービスを統合管理し、メタデータや結果、サービス同士の依存性、影響分析などを行う。また各サービスがどの場面で利用されているのか、こういう場面ではどのサービスを利用すべきかといったポリシーを管理することもできる。「例えばSOAを利用して、一見うまくいっているように見えても、実は多くのサービスが重複していて再利用されていなかったりする場合があるが、HP Systinetを使えばそうした無駄も省ける」(同氏)という。

 またHP Systinetで管理しているポリシーに従ってテスト要件を決定、各種テストツールで実行することもできる。「この他製品との連携性も大きな特長だ」(同氏)。

 HP Systinet 2.51は、日本初提供となる製品で、10月1日から提供が開始される。価格は840万円から。

 SOA Managerは、サービス同士の通信の間に入ってパフォーマンスなどを監視するプロキシの役割を担う。「またサービスをモジュール化して組み合わせるという考え方のSOAでは、まったく異なるドメインをまたがって1つのサービスを形作る場合も多い。SOA Managerでは、そうした場合のパケットのペイロード検査や、セキュリティが必要な通信が平文で流れているような場合に暗号化を施すといったことも行う」(同氏)。つまり通信を監視して問題の特定をするだけではなく、サービスを連携させた際の足りない機能を補足してくれるというわけだ。

 HP SOA Manager 2.5は、新版リリースとなる製品で、提供開始は同じく10月1日から。価格は533万7150円から。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2007/fy07-158.html

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( 川島 弘之 )
2007/09/12 14:57

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