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SRA OSS、セキュリティとサポートを強化した「PowerGres」新製品


米SRA OSS ,Inc. 日本支社の石井達夫取締役支社長

PowerGres+securityにおける、コミュニティと各社の役割
 米SRA OSS ,Inc. 日本支社(以下、SRA OSS)は9月13日、オープンソースデータベース「PowerGres」にセキュリティ機能を追加した新製品、「PowerGres+security」を発表した。あわせて、現在販売中のベーシック製品「PowerGres on Windows」「PowerGres on Linux」、およびミッドレンジ向け製品「PowerGres Plus」のバーションアップ版「V5」も発表している。いずれも本日より販売を開始し、10月1日から評価版のダウンロードを行う予定で、出荷開始は10月10日となる。

 新製品発表にあたり、石井達夫取締役支社長は、「当社では、オープンソースソフトウェア(OSS)のパッケージ製品を販売するだけでなく、トレーニング、コンサルティング、導入、サポートまで、OSSに必要なすべてのサービスを提供している。なかでもサポートについては、1999年から蓄積してきた優れた技術力、豊富なノウハウをもっており、現在では売り上げの大きな柱にもなっている。今回発売する新製品、バージョンアップ製品では、この充実したサポート力を生かし、より満足度の高いOSSの実現を目指した」と述べている。

 新製品のPowerGres+securityは、NTTデータが今年4月に公開したオープンソース・データベース「PostgreSQL 認証版 Linux版 V8.1.5」をベースに、SRA OSSのもつQA対応、障害対応などのサポートを提供するサブスクリプションパッケージ。これによって、セキュアなデータベースシステムの構築がスムーズに行えるようになる。

 ベースとなるPostgreSQL 認証版 Linux版 V8.1.5は、PostgreSQL V8.1.5にパスワード強度検査、監査ログ表示・閲覧機能などを追加し、セキュリティ関連機能を強化したもので、国際的なセキュリティ規格であるISO/IEC 15408認証を世界で初めて取得したオープンソースデータベース。追加されたセキュリティ機能により、データベースの不正アクセスの防御、および検知などに活用することが可能となる。

 このセキュリティ機能に加え、PowerGres+securityでは、さらにビジネスシステムを運用するうえで欠かせないサポートを充実。障害対応を始め、設定、利用上でのテクニカルサポートも付属し、導入から開発、運用まで、すべてのフェーズを支援する。これにより、顧客情報や経営情報の管理、また内部統制目的など、セキュリティ面の不安から、今まで採用されにくかった分野へのPostgreSQLの市場開拓を目指す。

 価格は21万円で、PostgreSQL 認証版 Linux版 V8.1.5、PostgreSQL 認証版 配布証書、1年間のサポート権利が含まれる。SRA OSSが販売とサポート窓口を担当し、NTTデータではSRA OSSへの技術支援を行っていく。


PowerGres V5の構造
 一方、バージョンアップ版のPowerGres V5では、エントリー向けPowerGres on Windows、PowerGres on Linux、およびミッドレンジ向けPowerGres Plus、の合計3製品を、最新版のPostgreSQL 8.2に対応させ、大幅リニューアル。PostgreSQL 8.2は、多くの機能追加や性能向上が行われており、ソート処理の改善による使用メモリ量の減少、効率的なロックによるマルチCPU環境下での性能向上、監視・ログの取得や性能のチューニングを行うための機能追加などを図っている。

 また、管理ツールの機能を大幅に強化。PowerGres on WindowsとPowerGres on Linuxの管理ツールを、GTK+を使用した共通のクライアント・アプリケーションとして統合した。これによって、Windows、Linuxの違いを意識することなく、同じ操作でデータベースの管理が行えるようになった。新機能としては、PostgreSQL 8.2から実装されたオンラインバックアップ機能「PITR(Point in Time Recovery)」を簡単に実行できる機能を搭載。複雑なPITRの操作も、管理ツールを使えば3ステップで実行することができるという。

 さらに、よりサポートを受けやすくする「サポートアシストツール」を新たに提供。このツールでは、データベースやシステムのログ、プロセスやメモリなどシステムの動作状況、およびデータベースの統計情報や不要領域に関する情報など、障害時のサポートで必要となる情報をボタン1つで取得することができ、この情報を送ることで、より迅速なサポート対応が可能となる。

 このほか、ミッドレンジ向け製品のPowerGres Plusでは、トランザクションログを二重化して異なるディスクに書き込むようにPostgreSQLを拡張。これにより、データベースクラスタが存在するディスクが破損しても、最新の状態まで復旧することが可能となり、PostgreSQLよりも高い信頼性を実現している。

 価格は、PowerGres on Windows V5とPowerGres on Linux V5が各5万400円。初年度年間サポート付きが各13万4000円。初年度年間サポートODBCオプション付きが各15万5400円。PowerGres Plus V5は、1CPU年間サポート付きが23万9000円、2CPU年間サポート付きが39万6000円。

 なお、今回の新製品および新バージョンの発売にともない、PowerGresを利用してシステムインテグレーションを行うシステムインテグレータを対象にした「PowerGresパートナープログラム」を新設。営業、技術、教育の面から、パートナーのPowerGres活用をさらに支援していく。あわせて、「ISVプログラム」をリニューアル。「PowerGres Plus」も対象に加え、製品購入の特別仕切りを始め、製品組み込みのための技術支援などを行っていく。



URL
  米SRA OSS ,Inc. 日本支社
  http://www.sraoss.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.sraoss.co.jp/company/press/2007/0913.php
  http://www.sraoss.co.jp/company/press/2007/09132.php


( 唐沢 正和 )
2007/09/13 16:49

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