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NEC、ピーク時数万件/秒の処理が可能な高速トランザクション処理システム


同社執行役員の富山卓二氏

PSAの特長

PSAの位置づけ
 日本電気株式会社(NEC)は9月26日、大規模・高速のトランザクション処理を実現するシステムアーキテクチャ「Parallel Stream Architecture(以下、PSA)」を確立したと発表した。あわせて、PSAに基づいた「WebOTX Parallel Stream Monitor(以下、PSM)」「InfoFrame Table Access Method(以下、TAM)」の2製品を同日より販売開始すると発表した。

 PSAは、バッチ処理方式とオンラインリアルタイム処理方式の双方の利点をあわせ持ったシステムアーキテクチャ。「バッチ処理方式は、トランザクションデータを一括収集して一度に処理できることから、1件あたりの処理コストが低くなるのが特長。しかし、一定量蓄積するため、リアルタイム性では劣ってしまう。一方、オンラインリアルタイム処理方式では、イベント発生のタイミングで処理を行えるが、入力メッセージごとに処理が行われるため、処理コストがかかる」(同社執行役員の富山卓二氏)と、これまでは利用目的に応じて使い分けざるを得なかったと説明。「しかし、サービスの多様化や端末利用数の増加、扱われるデータ量の増大により、膨大なデータを即時処理する必要性が高まっている。こうしたニーズに対応できるのが、今回発表したPSA」(富山氏)とした。

 PSAでは、到着するデータを一定単位でまとめてスケジュール化することで、トランザクション処理での逐次処理を効率化しているのが特長。処理ステージごとに処理プロセスをストリームとしてあらかじめ起動しているため、バッチ処理のように処理ごとに起動することなく対応できる。また、トランザクション処理中に次のトランザクションデータ入力を並行して行えるため、トランザクション処理時間を短縮でき、処理のリアルタイム性も確保している。

 また、メモリ型データベースを採用することで、処理性能そのものも向上。コスト面でも、ディスクベースのデータベースと比べてデータアクセスに要するCPU単位コストを10分の1に低減している。そのほか、メモリ型データベースは、分散構成のサーバーに配置することができるため、システム全体でデータ分割に応じてサーバー増設が容易になっているのも特長だ。

 富山氏は、「今回発表したPSAにより、ピーク時に1秒あたり数万から十数万件の処理が可能になる。また、拡張性にも優れているので、新サービス開始時など、小規模システムからスタートし、サービス利用が飛躍的に増大した際にもシステム拡張が容易に行える。次世代SCEM(サプライチェーンイベントマネジメント)システムや、双方向番組連動システム、次世代ITSシステム、ポイントなど企業通貨流通基盤として利用できるのではないか」と、新たなサービスに対応するアーキテクチャである点を強調した。


スケジューリング方式により即時性を実現 メモリ型データベースにより処理コスト低減を実現 処理のステージ化により高拡張性を実現

 PSAに基づいて開発されたPSMは、大量データの高速トランザクション処理を行うミドルウェア。複数トランザクションデータの一括入力・一括コミットにより、トランザクション処理のオーバーヘッドを低減しながらシステムのスループットを向上できるのが特長。また、仮想化技術を採用することで、サーバー追加時にサービス無停止で拡張することもできる。そのほか、トランザクションデータ処理において二重化を行うことで高可用性も実現している。価格は、260万円(税別)から。

 一方のTAMは、大量データをメモリ型データベースに保持・アクセスするためのミドルウェア。メモリ型データベースにより、従来のデータベースと比べてレコード更新処理製品で約15倍の高速処理を実現。また、リソース競合を排除しているため、CPUを増設することでリニアな能力向上も可能となっている。そのほか、ジャーナルおよびレプリケーションにより、メモリ型データベースの欠点であるデータ消失リスクを解消。また、物理回線を複数同時に使用することで、回線ごとの転送データ量の平準化と回線障害時への対応を実現している。価格は、260万円(税別)から。

 同社では、今後3年間で30システムの販売を見込んでいる。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0709/2601.html

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( 福浦 一広 )
2007/09/26 14:31

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