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ベリングポイント、日本版SOX法に向けた「経営者のための評価支援サービス」

“有効性評価”の重要性が見過ごされている

マネージング ディレクターの新井聡氏
 ベリングポイント株式会社は10月2日、日本版SOX法に対応した「経営者のための評価支援サービス」を発表した。価格は500万円から

 同サービスは、日本版SOX法が求める“経営者による内部統制の有効性評価”を確実に実施できるよう支援するソリューション。経営者が、重要な欠陥があるにもかかわらず、内部統制は有効であると誤って判断してしまう評価リスクへの対策となる。

 マネージング ディレクターの新井聡氏は、「顧客にヒアリングしてみると、文書化への対応は進んでいる一方、有効性の評価に対しては対策が不十分で、工数があまりかからないと誤解している企業も多い。内部統制において重要な問題が発生するのも、この評価段階であり、実は非常にスキルを要するという認識も低いように思われる」と、内部統制における有効性評価の重要性を指摘した。

 評価を行うにはまず評価基盤を確認し、評価計画を策定。その後、実際に評価手続きの実施に入る。日本版SOX法では、経営者が自ら財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、報告することを求めている。経営者は、重要な欠陥があればその内容を内部統制報告書において開示するのだが、この内容に重要な虚偽記載があれば、監査人より不適正意見を受けることになる。

 このように定める日本版SOX法だが、実際は、この評価作業を経営者1人で実施することは困難。そこで、経営者の指揮の下、評価作業を行う部署の設置や関連部署との協力が不可欠となる。ところが、有効性の評価手法についてはまだ不明点が多く、企業は評価に必要なスキルを確保できない恐れがある。


ディレクターの山本浩二氏

 ここに内部統制において重大な危険性が潜んでいると、ディレクターの山本浩二氏は指摘する。内部統制において第1に挙げられる失敗点は、環境構築が十分でなく、内部統制自体が有効でないこと。「だがこれは、不十分な点を認識して対策していけばいいこと。報告書にも“有効でない”と自ら記載して監査人に提出すれば、報告書に対する監査結果としては“適正”という判断が下る」。

 もちろん会社として悪いことに変わりはないため、この場合も“全取引に対して会社による再照合を行い、必要な修正はすべて連結財務諸表に反映しなければならない”と、「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(公開草案)に記載されており、ペナルティがないわけではない。

 しかしこれよりも最悪なのが、評価結果から経営者が欠陥を発見できず、内部統制が有効でないにもかかわらず、有効であるとして、監査人から監査を受けてしまった場合だ。報告書には当然、判断ミスによる重要な虚偽表示が含まれていることになる。この結果、監査人の監査結果として“不適正”のらく印を押されてしまうのだ。

 この場合は、全件の契約条件の再照合が必要となり、コストとしてはあまりに膨大なものとなる。米国では、これにより株価が下落するといった事例も起きているという。

 このように「評価」は内部統制において重要な比率を占めるのだが、現状ではまだ、文書化で終わり、という誤解がはびこっている。山本氏には、有効性評価の重要性をもっと認識してほしいという思いがあるようだ。「内部統制のためには、有効性の評価を適切に行う体制が重要。具体的には、評価の前提となる基盤、適切な評価計画、確実な評価実施が必要となる。このことの認識が驚くほどに低い。当社としては認識拡大に取り組んでいかなければならない」。


内部統制の失敗例。最悪なのは、内部統制の欠陥を発見できなかった場合 特に注意すべき重要な欠陥

 そこで今回発表されたのが、有効性の評価にフォーカスした「経営者のための評価支援サービス」である。

 「評価基盤の確認」「評価計画の策定支援」「評価手続きの実施支援」の3つから構成されており、ユーザーは自社の実情に応じて、すべてのサービスを受けることも必要な部分のサービスのみを受けることも可能。

 評価基盤の確認では、有効性の評価に当たって必要となる手続書類や評価対象の文書を確認し、評価が実施可能かどうかを診断。期間は1~3カ月で、価格は500万円から。評価計画の策定支援では、評価のためのガイドラインなどを策定し、評価長所の様式や体系など評価の計画段階で必要な項目をチェック。期間は2~4カ月で、価格は2000万円から。評価手続きの実施支援では、評価の実施指導や評価調書のレビュー、評価チームの編成・教育・訓練などを支援。期間は3~12カ月で、価格は3000万円からとなる。

 このサービスの結果、判明した欠陥については「経営者のための改ざん支援サービス」で対応する。評価計画の策定も一度で終わるものではなく、「評価の特定の段階ではなく、前期の評価の終了段階から始まり、都度修正しながら、登記の評価の終了まで継続する連続的かつ反復的なプロセス」と山本氏は語った。


経営者のための評価支援サービスの内容 基本的なアプローチ、およびスケジュール 評価計画の策定と見直し作業の流れ


URL
  ベリングポイント株式会社
  http://www.bearingpoint.co.jp/


( 川島 弘之 )
2007/10/02 17:17

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