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マーケティング統括部・製品企画開発部長の丹隆之氏
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日本テラデータ株式会社は11月13日、データウェアハウス(DWH)基盤の新版「Teradata 12.0」を発表した。12月初旬に出荷を開始する。
Teradata 12.0は、データベースエンジン「Teradata Database 12.0」やさまざまな管理ツールに、各種サポートサービスを合わせた、DWH構築のためのトータルソリューション。
新版のエンジンでは、大きく30項目の機能追加・改善がなされており、中でもクエリパフォーマンスが大きく向上。クエリを実行するための「オプティマイザ」と「統計情報」などを強化することで、最大で30%の性能向上が実現しているという。
Teradata Database 12.0では、テーブルのサイズやデータの分布といった統計情報を基に、与えられたSQL文の最適な処理手順をオプティマイザが自動的に確定して実行する。つまり、このクエリを実行するにはインデックスを使用すべきか、どのようなタイプのJOINを行うべきか、といったことをオプティマイザが判断するわけだが、「この際の予測コストの見積もりをより正確に行えるよう計算式を改善。併せて、統計情報も詳細化することで、効率よくクエリプランを生成できるようにした」(マーケティング統括部・製品企画開発部長の丹隆之氏)。さらに、「統計情報に含まれていない範囲外の統計を推定する技術も導入したことで、さらにクエリのパフォーマンスを向上している」とのこと。
同時に「クエリ・リライト機能」も強化。同機能は、実行依頼を受けたクエリを書き換えることで、クエリの意味を変えずに高速化できるような場合、Teradata Database 12.0の最適化ルーチンが自動的に書き換えて実行するもの。新版では、より多くの機会でクエリ・リライトが発生するよう改善が加えられた。
また、マルチレベル・パーティション・プライマリ・インデックス(MLPPI)が実装された。これはテーブルにパーティションを設定することで検索クエリのパフォーマンスを向上する機能。従来より、月単位などでパーティションを設定できる「PPI」が搭載されていたが、MLPPIではより細かく、パーティション設定できるようになっている。「例えば、月単位に加えて店舗単位でパーティションを設定しておけば、売り上げを検索する場合、ある月の特定の店舗に関する情報だけを検索できる」(丹氏)というわけだ。
管理ツールでは、システムリソースの管理を行う「Teradata Active System Management(TASM)」で機能強化を実現。同ツールは「Teradata Databaseに対するさまざまなリクエストをワークロードというグループに分類し、それぞれのグループに最適なシステムリソースを割り当てるツール。例えば、Web、コールセンター、データ分析などTeradata Databaseに対するさまざまなリクエストの交通整理を行い、信号機などを使って流量を制御し、道路というリソースの最適化を図る交通整理員のような役割を果たすものだ」(丹氏)。今回、同ツールでは、クエリ実行元をより詳細に分類する機能、他社製品に対応するためのオープンAPIなどが強化機能として提供される。
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代表取締役社長の吉川幸彦氏
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代表取締役社長の吉川幸彦氏は、「当社ではアクティブ・エンタープライズ・インテリジェンス(AEI)を推進している。AEIは、DWH内に蓄積された履歴や最新データを活用し、企業内のバックオフィスから現場の担当者までが、必要な時に最適な意志決定を下せるようにしようという考え方で、例えばクレーム情報を現場、経営者で共有して、より戦略的な意志決定が行えるようになる。Teradata 12.0に搭載された新機能や改善点などにより、このAEIをより強力に推進することが可能だ」とアピールした。
対応OSは、SUSE Linux Enterprise Server(64ビット版)、Windows Server 2003(32/64ビット版)、UNIX SVR4 MP-RAS(32ビット版)。価格は600万円からを予定。日本テラデータでは、初年度70億円の売り上げをめざす。
■ URL
日本テラデータ株式会社
http://www.teradata-j.com/
( 川島 弘之 )
2007/11/13 17:20
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