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マイクロソフト、組み込みデバイス向けOSの最新版

プロ以外に開発環境を広げる新施策「SPARK」も開始

 米Microsoftは11月14日、組み込みデバイス向け最新OS「Windows Embedded CE 6.0 R2」を同日より世界に向けて提供開始することを発表。パシフィコ横浜で開催中の「Embedded Technology 2007 組み込み総合技術展」にあわせ、日本で記者発表会を行い、新製品の概要とともにWindows Embeddedグローバル戦略などについても説明した。

 記者発表会ではまず、マイクロソフト日本法人 モバイル&エンベデッドデバイス本部の梅田成二本部長が、日本市場におけるWindows Embedded CEの概況について、「2006年11月にWindows Embedded CE 6.0日本語版を発表してから約1年が経つが、この短い期間のなかで、早くも同OSを採用した組み込みデバイスが市場に登場している。ビジネスパートナーも急速に拡大しており、1年前に比べて18社が新規パートナーとして参加し、4社がシルバーパートナーにレベルアップしている。さらに、Windows Embedded CE関連のコミュニティも盛り上がりを見せており、日本市場での注目度は非常に高まっている」と述べた。


モバイル&エンベデッドデバイス本部の梅田成二本部長 急成長するスマート、コネクテッドデバイスの市場

米Microsoft Windows Embeddedビジネス ジェネラルマネージャーのケビン・ダラス氏
 続けて、米Microsoft Windows Embeddedビジネス ジェネラルマネージャーのケビン・ダラス氏が、新製品発表にともなうグローバルでのWindows Embedded戦略について触れ、「ITデバイスの市場成長率をみると、汎用的なデスクトップPCやモバイルPCに比べて、コネクテッドコンシューマデバイスやコネクテッドエンタープライズデバイスといった組み込みデバイスは今後大きく成長することが期待されている。こうした市場背景のなか、当社では、コネクテッドコンシューマエクスペリエンス、コネクテッドエンタープライズエクスペリエンス、サービス指向型デベロップメント、サービス指向型マネジメントの4つの分野を重点的に取り組んでいく」と説明した。


Windows Embedded CE 6.0 R2の主な用途

Windows Embedded CE 6.0 R2対応表明パートナー(一部)
 新製品のWindows Embedded CE 6.0 R2は、高度な接続性とリアルタイム性を実現する組み込みデバイス向けOSの最新バージョン。Web Services on Devices API、VoIP電話機能、最新のシンクライアントテクノロジーなどを新たに提供することで、同OS搭載デバイスとWindows VistaやWindows Server 2008上で稼働するコンピュータおよびその他デバイスとの間のシームレスな接続を実現。これによって、企業だけでなく消費者も対象とした電子機器・端末の開発が可能となった。

 具体的な新機能および機能強化点としては、Windows Vistaと同等のWeb Services on Devices APIを提供し、その全機能が利用可能となるため、Windows Vista搭載PCを介して、間接的にネットワーク接続されたデバイスを直接接続されたデバイスのように扱うことが可能となる。これによって、OEMパートナー企業は、より豊富なエクスペリエンスをユーザーに提供したり、製品自体の差別化を図ることができる。

 また、新しいVoIP電話機能をサポートし、「Windows Embedded CE 6.0」をベースにした既存のデバイス設計に、VoIP、ビデオ、3ウェイオーディオなど、従来にないデバイスシナリオを迅速かつ容易に追加することが可能となった。

 Internet Explorerの機能強化も行っており、Internet Explorer上でWebページのレンダリングなどに要する速度を大幅に向上するとともに、Windows Media PlayerコントローラOCXにおいてバージョン7をサポート。Windows Media Player 11との互換性を提供することで、OCX7が埋め込まれたページをInternet Explorerで正確に再現できるようになった。

 さらに、追加可能なフォントエンジンのテクノロジーを新たにサポート。これにより、OEMパートナー企業は、デバイスを開発するにあたって、サードパーティ製のフォントエンジンを採用するなどして、フォントによる占有メモリの削減を図ることが可能となる。

 このほか、最新のシンクライアントテクノロジーコンポーネントをサポートしており、Windows Server 2008の最新バージョンの機能を自動的に検知し、シンクライアントとサーバー間のシームレスな接続を実現する。


米Microsoft Windows Embeddedビジネス マーケティングディレクターのイリヤ・バクシュタイン氏
 米Microsoft Windows Embeddedビジネス マーケティングディレクターのイリヤ・バクシュタイン氏は、「新バージョンでは、ユーザーから最も要望の多かったシナリオを重視して機能強化を行った。今回は、日本語版、英語版を含めた世界向けの製品発表会を日本で行ったが、当社にとって日本市場は非常に重要なマーケットで、日本のデベロッパーは世界でも最先端の技術をもっていると評価している。こうした方々に、いち早く新バージョンを提供して、組み込みデバイス開発に活用してもらいたい」と語っている。


 また、同社では、「Windows Embedded CE 6.0 R2」の発表にあわせて、複数のハードウェアメーカーとの連携のもとに、Windows Embedded CE 6.0とVisual Studio 2005を活用した組み込みデバイス開発のメリットをアマチュア開発者や教育関連コミュニティに提供するための新施策として「SPARK(スパーク)」を開始することも発表した。

 SPARKは、Windows Embedded CE 6.0およびVisual Studio 2005 Standardと、協力ハードウェアメーカーから選定・提供されるボードを含む開発用パッケージを、アマチュア開発者や教育関係者でも購入しやすい価格帯で提供することを目的とした新たなコミュニティ活動。SPARKの一環として、商用・非商用の目的を問わずに利用できるBSP認証の無償提供も開始する。

 この新施策によって、Windows Embedded CEが提供するエクスペリエンスを一式セットにして、プロフェッショナル以外の開発者なども含む幅広いコミュニティに提供することで、自分の思いつくデバイスを誰でも自由に開発できるような環境を実現していきたい考え。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3267


( 唐沢 正和 )
2007/11/14 18:27

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