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ネットスイート、SaaSアプリケーションの新開発ツール

業種向けにカスタマイズしたSaaSを再販可能に

米NetSuite ワールドワイドセールスアンドディストリビューション プレジデントのディーン・マンスフィールド氏

SuiteBundlerの動作イメージ
 ネットスイート株式会社は11月27日、SaaSアプリケーションの新開発ツール「SuiteBundler」および、SaaS型統合業務アプリケーションの新バージョン「NetSuite Global CRM」を日本向けに提供開始したと発表した。

 新製品の発表にあたり、米NetSuite ワールドワイドセールスアンドディストリビューション プレジデントのディーン・マンスフィールド氏は、グローバルでのSaaS市場の現状について、「今、SaaSには大きな注目が集まっており、今年の市場成長率も旧世代のソフトウェアが6%にとどまっているのに対し、SaaSは32%もの伸びを見せている。SaaSが成長している背景には、いつでもどこでもアクセスできるWebブラウザベース、成長にあわせて支払うサブスクリプション料金、複雑なIT運用をアウトソーシングできるマルチテナンシー、そしてすべての顧客を共通のリリースでカバーできる、といったメリットが挙げられる。これによって、より良いサービスを迅速かつ安価に提供することが可能となり、特に中小企業市場においてSaaSはさらなる成長を見せるだろう」と説明した。

 今回発表した開発ツールのSuiteBundlerは、この急成長するSaaS市場に向けて“Service as Software”という新たなビジネスモデルを提案する戦略的製品で、同社の開発プラットフォーム「SuiteFlex」の最新コンポーネントとしてNetSuiteサービスに組み込まれて提供される。SuiteBundlerを利用することで、SuiteFlexの各種コンポーネントを用いてNetSuite上に開発された、特定業種向けカスタマイゼーション、アドオンおよび外部サービス連携などをとりまとめて、再利用可能なパッケージ「SuiteBundle」として提供できるようになる。

 これによりネットスイートのサービスパートナーは、サービス提供に関わる経験や専門知識を生かしたSaaSベースの業種別アプリケーションを開発し、これを再利用、再販可能な独自の業種別SaaSソリューションとして、NetSuite上で構築、提供することが可能となる。マンスフィールド氏は、「SuiteBundlerは、NetSuiteでカスタム開発したソリューションを何度でも再利用、再販可能にする強力な開発ツール。米国のSIコミュニティから長年待ち望まれていたものであり、収益性を高めるツールとして非常に高い評価を得ている。日本のSIベンダーにも必ず受け入れられると期待している」と述べた。

 SuiteBundlerの具体的な機能としては、コンポーネントの選択からSuiteBundleの作成までを3ステップで簡単に行える「Bundle Builder」、SuiteBundleの配布形態をShared(商品として配布)、Private(試験用に配布)、Public(コミュニティに公開)の3種類のモードから選択できる「Bundle Distribution」、顧客に導入可能なバージョンのSuiteBundleを簡単に保管できる「SuiteSource Bundle Repository」、SuiteBundleを導入する顧客向けの「Bundle Installation」などを備えている。


 一方、同時に発表したNetSuite Global CRMは、ワールドワイドでの営業管理の一元化を実現できるSaaS型統合業務アプリケーションの新バージョンで、「NetSuite CRM」と「NetSuite CRM+」をベースに開発されたもの。グローバルな販売組織向けに、販売割当額、販売予測額、受注金額、販売手数料などについて、国ごとに現地通貨ベースの管理を実現する。

 これによって、現地の販売部門と本社とのスムーズな情報交換を可能とし、各国の動向を単一のシステムで把握できるようになる。海外拠点側では、販売割当額や販売手数料に関する本社の管理指標を自国の通貨単位で管理することで、現地通貨をベースに、本社から見た業績内容や管理を簡単に行うことができる。また、本社部門では、販売割当額、販売予測額、受注金額、販売手数料のデータを全地域、全分野で集計し、地域や分野に応じた通貨単位の変換を行いながら、各拠点の実績を把握することが可能となる。さらに、即時に複数の通貨単位に変換するダッシュボードにより、すべての分析データやレポートを役職に応じてパーソナライズ化することもできる。

 NetSuite Global CRMは本日より提供開始。価格は、月額基本料金が18万円、1ユーザーあたり月額1万5000円から。


ネットスイートの松島努社長
 なお、今回の戦略的な新製品発表を受け、ネットスイートの松島努社長が日本市場向けの事業戦略を説明。「昨年4月に日本法人を設立して以来、日本市場に最適なシステムを追求するとともに、パートナー体制を構築して、品質の向上に力を注いできた。現在、パートナー企業は、ビジネスパートナーシップが6社、ソリューションパートナーシップが5社まで拡大しており、来年度は、このパートナー体制をさらに強化・拡充し、パートナー経由で日本市場のさらなる開拓を目指していく」と述べた。年内に7社のビジネスパートナー体制を構築し、来年度にはさらに7社を追加する計画。

 また、マーケティング戦略としては、「シナリオ別ターゲットプロモーションを展開する。SuiteBundlerを活用して、パートナーとの協業を推進し、Eコマース、ERP、CRMの分野別に、それぞれの顧客の環境に最適なソリューションを提供していく」考えである。


国内市場におけるパートナー戦略 国内市場における2008年度の重点施策


URL
  ネットスイート株式会社
  http://www.netsuite.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2007/11/27 16:46

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