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SAPジャパン、“iGoogle並みの使い勝手”を実現した「SAP CRM 2007」

エンタープライズSOAにも対応、柔軟性を強化

SAP CRM 2007の主要強化点

ユーザーインターフェイスに柔軟性を与えることで、高い使い勝手を実現したという

ソリューション本部 CRM担当部長、桃木継之助氏
 SAPジャパン株式会社は12月11日、CRM(顧客関係管理)アプリケーションの新版「SAP Customer Relationship Management 2007」(以下、SAP CRM 2007)を発表した。ユーザーインターフェイスを刷新したほか、エンタープライズSOAに基づく柔軟性の強化などが特徴。12月14日より提供を開始する。

 近年、CRM分野にはさまざまなプレイヤーが参入しており、SaaS形式でCRMアプリケーションのみを提供し、大きくシェアを伸ばしているベンダーもある。しかしSAPジャパンでは、「業務プロセスの中で、見積もりの作業1つとっても、在庫確認から出荷、与信確認、はては社内の承認プロセスとの連携など、多くの要素がある」(バイスプレジデント CRM事業開発の岡村崇氏)と指摘。ERPなどのバックオフィス業務を含めて、マーケティングからアフターサービスまでのプロセスを一気通貫で提供できることが同社ならではの強みだと説明した。

 2年ぶりの新版となるSAP CRM 2007では、このような特徴を受け継ぎつつ、アーキテクチャを一新。「数百に及ぶ画面を作り直し、ユーザーインターフェイスを一新した。使い勝手を優先するコンシューマ向けと異なり、ビジネスアプリケーションは機能優先になりがちだが、今回はiGoogleやMy Yahoo!などと同様の使い勝手を実現した」(ソリューション本部 CRM担当部長、桃木継之助氏)という。具体的には、SAPジャパンが提供する標準画面においても、ユーザー自身が表示項目や項目ごとの表示幅、表示順などを、ドラッグ&ドロップで容易に変更可能。また、管理者向けの画面変更ツールを提供し、コーディングを行うことなく、おおもとの画面を変更することもできる。

 さらに、企業自身が一から画面を作成できる開発ツール「SAP NetWeaver Visual Composer」にも対応し、こちらもコーディングすることなく、複数のシステム情報と組み合わせた画面を開発できる。加えて、「SAP Interactive Forms by Adobe」「Duet for Microsoft Office and SAP」を用いれば、日常使い慣れたPDFやOutlookをSAP CRM 2007のフロントエンドツールに利用でき、さらに生産性を高められるとのこと。「修理作業報告などでは紙を利用するケースが多いが、紙に近いイメージのPDFを利用して、作業内容を入力できる。また、Outlookのアドインを利用し、営業担当などが使い慣れたOutlook上で、CRMとの連携が可能になる」(桃木氏)。


バイスプレジデント CRM事業開発の岡村崇氏
 また柔軟性の面では、エンタープライズSOAの概念に基づき、製品内の機能をコンポーネント化。「ビジネスパートナー」「見積」「修理依頼」などの5つに対してWebサービスが提供されるほか、これで足りない場合にも「ウィザードで4つの質問に答えるだけで、ほぼすべての機能をWebサービスにすることができる」(桃木氏)。

 あわせて今回は、業種別ソリューションに対する機能拡充も行われている。「SAP CRM 2005の段階でも機能を網羅的に提供していたが、『限られた業界でしか使われないものの、エンドトゥエンドのプロセスを考えるとどうしても欲しい』という部分を盛り込んだ」(桃木氏)とのことで、消費財・耐久消費財業界向けの販売促進費管理、産業機械・自動車業界向けのサービスパーツ管理など、業種に特化した多数の機能が盛り込まれている。加えて、コンタクトセンター向けの最適化機能を提供。これによって、例えば、顧客情報とチャーン(離反)モデルを組み合わせ、離反率の高い顧客を察知して離反防止のためのアクションをオペレータに指示するようなことが可能になっている。

 SAPジャパンでは、このような特徴を持つSAP CRM 2007を日本市場に訴求し、「他社の市場へ食い込むとともに、“手作り”市場にも食い込みを図る」(岡村氏)考え。岡村氏は、「顧客は何らかのCRMを既に持っているケースがほとんどだが、エンタープライズSOAに対応し他システムとの連携が容易になったため、顧客の負担は最小限に、機能を拡張できるだろう」とした。また、パートナーとの連携も強化する。既存の200社に及ぶパートナーを活用するとともに、現在はスクラッチ開発や他社アプリケーションを手がけているパートナーについても、働きかけを強める意向である。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/jp/
  ニュースリリース
  http://www.sap.com/japan/about/press/press.epx?pressid=8678

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( 石井 一志 )
2007/12/11 17:23

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