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マイクロソフト、「Visual Studio 2008」の日本語版が完成

国内で過去最大規模の開発製品ビジネスを目指す

デベロッパービジネス本部 業務執行役本部長の市橋暢哉氏

Visual Studioの変遷
 マイクロソフト株式会社は12月14日、統合開発環境の最新バージョン「Microsoft Visual Studio 2008 日本語版」の開発を本日完了し、完成版を順次提供開始すると発表した。2008年2月1日にボリュームライセンスを、2008年2月8日にパッケージ製品をそれぞれ発売する予定で、これに先駆け、本日よりMSDN会員向けにサブスクライバダウンロードによる提供を開始。12月18日には、評価、学習、ホビー向けの「Visual Studio 2008 Express Edition」の無償提供も開始する。

 今回の日本語版完成にあわせて開催された発表会で、デベロッパービジネス本部 業務執行役本部長の市橋暢哉氏は、まずVisual Studioの現状について触れ、「Visual Studioは、当社の開発製品において最大の成功を収めた製品であり、現バージョンのVisual Studio 2005は、2年連続2けた成長と好調に推移している。最新バージョンのVisual Studio 2008も、すでにベータ版およびCTP(カスタマーテクノロジープレビュー)版のダウンロード数が英語版で150万以上、日本語版で8万以上に達している。さらに、無償提供しているExpress Edition 英語版には11月30日までに約19万ものダウンロードがあり、Visual Studio 2008が市場から大きく期待されていることを肌で感じている」と述べた。

 Visual Studio 2008の大きな特徴は、1)開発生産性の向上、2)最新プラットフォームへの対応、3)アプリケーション・ライフマネジメント・サイクルの強化、の3点。開発生産性の向上では、コードエディタやウィザードなど統合開発環境としての操作性向上を図るとともに、フレームワークを大幅に強化。Visual BasicおよびVisual C#といった開発言語の仕様を拡張し、高度な処理をより明瞭に記述できるようにした。データ操作についても、さまざまなデータアクセステクノロジを強化し、一貫性のあるプログラミング方法を提供する。

 最新プラットフォームへの対応としては、Windows Vistaをはじめ、2007 Office system、Windows Server 2008、SQL Server 2008に対応した開発環境を提供。特に、これらの最新プラットフォームで強化された機能を最大限活用することで、顧客企業から求められるビジネス要件を達成するためのソリューション構築を支援する。

 アプリケーション・ライフサイクル・マネジメントの強化については、エンタープライズ開発向けの製品ラインとなる「Visual Studio Team System」の機能を大幅に拡充。開発機能はもちろん、アーキテクチャ設計やテスト、データベース開発、プロジェクト管理を含むアプリケーション・ライフサイクル全体にわたる機能を強化することによって、チーム開発における生産性向上とソフトウェアの品質向上を強力に支援する。


 市橋氏はVisual Studio 2008について、「今回の最新バージョンは、これまでの開発製品とは異なり、“最新プラットフォームの能力を最大限に活用した、優れたユーザーエクスペリエンスをもつアプリケーションを構築するための道具”という明確なコンセプトをもつ初めての開発製品となる。これによって、単なる見た目のユーザーインターフェイスだけでなく、操作性や安定性、セキュリティ面での安心感、導入にあたっての利便性など目に見えない部分まで含めた、高度なユーザーエクスペリエンスを実現するアプリケーションを開発することが可能となる」と、そのメリットを強調した。

 また、「今回の日本語版の開発完了は、同時に国内でのビジネスがスタートするタイミングでもある。特に日本市場は、ユーザーエクスペリエンスが最も重要視され、最も生かされる市場であると考えており、当社の開発製品として過去最大規模のビジネスを目指したい。そして、Visual Studio 2008の提供を機に、国内ユーザーの高レベルの要望を満たすエクスペリエンスを備えたアプリケーションが、1本でも多く開発されることに期待している」と意欲を見せた。


パートナー企業への取り組み

Visual Studio 2008の製品構成
 パートナー企業に向けた取り組みとしては、MSTEP(パートナー向け特別トレーニング)においてVisual Studio 2008対応コースを開催しているほか、全国5都市(名古屋、大阪、札幌、福岡、東京)で「.NET 3.5 Technical Briefing」を開催し、意思決定者および開発者向けに最新テクノロジと同社のプラットフォーム戦略を解説している。さらに、Visual Studio 2008の早期導入を支援する「タッチダウン プログラム」を実施。「現在、国内で62社82製品がこのプログラムに参加しており、すでに28社のパートナーがVisual Studio 2008に対応した製品またはソリューションを提供することを表明している。これは、Visual Studioシリーズでは過去最大のパートナー数となり、パートナーの企業規模、そしてカバーする業種エリアも大きく広がってきている」(市橋氏)という。

 Visual Studio 2008の製品ラインアップは、「Visual Studio Team System 2008 Team Suite」、「Visual Studio 2008 Professional Edition」、「Visual Studio 2008 Standard Edition」、「Visual Studio 2008 Express Edition」の大きく4製品で構成され、「Visual Studio Team System 2008 Team Suite」には、「Architecture Edition」、「Development Edition」、「Database Edition」、「Test Edition」、「Test Load Agent」、「Team Foundation Server」の各エディションを用意する。

 価格はオープンプライスだが、Visual Studio 2005と同価格帯となる見込みで、推定小売価格は、「Visual Studio Team System 2008 Team Suite」が150万円、各エディションが75万円、「Visual Studio 2008 Professional Edition」が12万8000円、「Visual Studio 2008 Standard Edition」が2万9800円。「Visual Studio 2008 Professional Edition」については、アカデミック版を1万2800円で提供する。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3300


( 唐沢 正和 )
2007/12/14 16:27

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