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富士通、ログ管理のPDCAサイクル確立に向けミドルウェアの機能を強化


ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部の堀江隆一プロジェクト課長

今回説明されたログ管理の強化点

Citrix Presentation Serverだけでは実現できない操作監視機能を富士通が補っているという
 富士通株式会社は12月19日、「Systemwalkerシリーズ」をはじめとする運用管理製品についての記者向け説明会を開催。ソフトウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部の新田将人事業部長と、ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部の堀江隆一プロジェクト課長が、同社製品の機能強化などについて解説を行った。

 現在のITシステムにおける運用管理では、ログの収集・保管自体は広く普及している。しかし堀江氏は、「PDCAサイクルのうち、これまではDoにあたるログ取得が主で、問題が起こったときに検索するスタンスでしかなかった」と指摘。本来は、「運用ルールの策定から対策状況のチェックまでの、サイクル全体の実施が必要だった」と話す。そこで富士通でもこの思想を実現するために、ただログを集めて保管するのではなく、異なる形式のログを統一フォーマットに直す正規化から、各システムの横断検索、また「問題がないことを定常的に確認するためのレポート」(堀江氏)までの、ライフサイクル全体をカバーするソリューションを用意してきたという。

 今回堀江氏が説明した強化点も、その考え方に沿ったものだ。まず、ログを記録・収集する上では、網羅性を向上させるため、「Systemwalker Desktop Keeper for Citrix Presentation Server V13」を10月から提供し、シンクライアント環境におけるファイル操作や印刷、またコマンドプロンプト内の操作についてもログを取得できるようにした。これによって、企業内での利用が急激に増えているシンクライアントのログも、PCからのログとあわせて管理できるようになっている。

 また、点検レポートの出力範囲を拡大したことも大きな強化点。従来、OS寄りの領域に限られていた情報活用ソフト「Interstage Navigator」のレポート機能が8月に拡張され、ジョブスケジュール運用における定義情報変更や操作分析についての点検レポート出力ができるようになった。業務アプリケーションの自動起動・停止やバックアップといった動作をスケジュール管理で行う場合に、それらの動作状況について点検レポートを出力できる。さらに今後は、アプリケーションサーバーなどのミドルウェアやデータベース、ホスト、ネットワーク機器といった領域に対しても、レポート機能を拡張していく予定。


自社アーカイブストレージとの連携により、効率的なログの長期保存を実現する

ソフトウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部の新田将人事業部長
 加えて、増え続けるログを有効に運用していけるように、ストレージとの連携も強化している。これは、富士通のアーカイブストレージ「ETERNUS AS500」との連携で実現されるもの。ストレージの機能を利用して、改ざん防止や原本保証を実現する一方、専用APIを用いてストレージと運用管理サーバー「Systemwalker Centric Manager」との間でデータをやりとりさせ、機密性を確保できるようにしている。

 また、長期保存に利用されるアーカイブストレージならではの機能として、システム内で新規メディアへ自律的にデータを移行する「新陳代謝」機能を搭載しており、メディアの寿命に伴うデータの移行や、次世代ストレージへの乗り換えなども自動で行えるという。さらに、重複するコンテンツのデータを共有して保存スペースの効率化を実現する「シングルインスタンス」機能、アプリケーションからテープ、ディスクの区別なくシームレスに扱えるようにする「階層制御」機能などによって、効率的なログの保管を支援するとのこと。

 富士通がこうした機能強化を進める背景には、ITの全般統制で必要となる運用管理やログ監査のソリューションについてのニーズが引き続き高い水準を保っていることがある。Systemwalkerシリーズはすでに累計560万本弱が出荷されており、高いシェアを持っているが、機能強化によって差別化を進め、さらに販売を推進したい考えで、今後2年間で200万本以上のライセンス販売を見込んでいる。なお、今回の強化を含めた富士通製品の優位性として、新田氏は「競合各社はまだレポートをきちんと出すところまでには至っていないし、また一番の優位点として、統合運用管理のCentric Managerの中に一体化していることが挙げられる。監視から監査までを一連のものとして、1つの製品ですべてを解決可能だ」とアピールしている。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/

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( 石井 一志 )
2007/12/19 14:59

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