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SAPジャパン、エンタープライズSOAを実現するNetWeaverの新機能

ビジネスプロセスプラットフォーム構築を支援

シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括本部長の安田誠氏

SAPジャパンのエンタープライズSOAのアプローチ

パートナー&マーケティング統括本部ソリューションマーケティング SAP NetWeaver担当部長の上野陽示氏
 SAPジャパン株式会社は12月19日、統合アプリケーションプラットフォーム「SAP NetWeaver」の新機能を本日より提供開始すると発表した。今回提供開始するのは、社内システムにおけるすべてのWebサービスの定義を格納し一元管理するデータベース「Enterprise Services Repository」、最新の標準規格に基づいたエンタープライズSOAベースのアプリケーション開発環境「SAP NetWeaver Composition Environment(CE) 7.1」、エンタープライズSOAベースのビジネスプロセス統合管理を実現する「SAP NetWeaver Process Integration(PI) 7.1」の3つ。

 今回の新機能について、シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括本部長の安田誠氏は、「現在のエンタープライズSOAのアプローチは、手組みによってミドルウェアや開発環境をそろえていき、再利用可能な業務サービス群を構築する手法が中心だが、当社では、すでに標準化された再利用性の高い業務アプリケーションやERPをベースに、標準的な開発環境やミドルウェア機能を提供することで、ビジネス上での利用を考慮したエンタープライズSOAの実現を目指している。今回提供する新機能は、こうした当社のエンタープライズSOA戦略を加速する開発環境のツール群となり、それぞれ単独で利用するものではなく、組み合わせることでビジネスプロセスに対応したエンタープライズSOAの構築を可能とする」と述べている。

 また、パートナー&マーケティング統括本部ソリューションマーケティング SAP NetWeaver担当部長の上野陽示氏は、「今回の新機能は、ビジネスプロセス・プラットフォームを実現する主要な構成要素であるインテグレーションプラットフォーム、プロセスコンポーネントおよびエンタープライズサービス定義、コンポジション環境をカバーするもので、これらによってビジネスプロセス・プラットフォームの構築を支援していく」と、その位置付けを説明した。

 新機能の具体的な特徴として、Enterprise Services Repositoryは、顧客、パートナーおよびSAPジャパンがそれぞれ作成したWebサービスを一元管理し、エンタープライズSOAをベースとしたビジネスプロセス管理やコンポジットアプリケーションの構築を容易にするデータベース。プログラムのインターフェイスに必要となるWebサービスの管理情報だけでなく、プロセスの設計に必要となるビジネスプロセスモデルとビジネスオブジェクトモデルを管理することも可能となっている。

 同機能は、Webサービス仕様であるUDDI 3.0レジストリに準拠しており、SAP Business Suiteによって提供され、SAPジャパンやパートナー、顧客によって共同で定義された数千種類の製品化されたエンタープライズサービスの定義を格納。各サービスインターフェイスには、国際基準に基づいた企業で必要となるさまざまなデータタイプを定義したGlobal Data Type(GDT)を定義し、標準化を行っている。これにより、パートナーや顧客は、SAPジャパン独自のベストプラクティスやプロセスをエンタープライズサービスの作成・管理に使用して共通の規則を設定することで、組み立てや再利用を容易に行えるようになる。


SAP NetWeaver新製品の位置付け Enterprise Services Repositoryの概要

SAP NetWeaver CE 7.1の概要

SAP NetWeaver PI 7.1の概要
 SAP NetWeaver CE 7.1は、最新の標準規格であるJava EE5をサポートし、エンタープライズSOAの原則と業界標準に基づいたコンポジットアプリケーションの構築と実装を簡素化するプラットフォーム。Enterprise Services Repositoryとエンタープライズワークプレイスを通じて、豊富なビジネス部品(エンタープライズサービス)にアクセスすることが可能となっている。

 ドラッグ&ドロップを中心としたモデリングベースでのユーザーインターフェイス開発を実現する最新版ツールを含み、対象ユーザーや業務用途に応じて多彩なユーザーインターフェイス技術を使い分けるなど、開発生産性を大幅に向上。また、複数ユーザー間での共同プロセスを実行するためのガイドプロシージャ機能の最新版も備えており、エンタープライズサービスの再利用により高度な柔軟性を実現する。

 SAP NetWeaver PI 7.1は、エンドツーエンドのプロセス統合を行い、既存システム環境のSOA化とプロセスの自動化を実現する標準基盤で、SAP NetWeaver Exchange Infrastructure(SAP NetWeaver XI、旧称:SAP Exchange Infrastructure)の後継となるもの。Enterprise Services Repositoryと直接連携することで、サービスレベルでの連携を可能とし、サービスベースのビジネスプロセスの構築を支援する。

 また、Web Services Reliable Messaging(WS-RM)、BPEL 2.0などの最新のWebサービスやBPM標準規格に対応し、業務モデリングからBPELによる実行レベルまでの一元的な設計をサポート。さらに、パフォーマンスの大幅な強化に加え、プロセスの実行状況を監視してルールや指標に基づいてアラートを発生するBusiness Activity Monitoring(BAM)機能をサポートする基盤も備えている。発生したアラートの内容は、SAP NetWeaver Business Intelligenceの機能と連携して分析することも可能となっている。

 なお、SAP NetWeaver CE 7.1は2007年5月からRamp-Upプログラムを実施しており、12月19日より一般出荷が開始される。SAP NetWeaver PI 7.1は、同日より限定的にRamp-Upプログラムを出荷開始する。Enterprise Services Repositoryも同日より提供され、SAP NetWeaver CE 7.1および同 PI 7.1から利用することができる。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.sap.com/japan/about/press/press.epx?pressid=8708


( 唐沢 正和 )
2007/12/19 16:13

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