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シトリックス、サーバー仮想化ソフト「XenServer 4.0」とプロビジョニング製品

「全層の仮想化」に向け製品ポートフォリオを拡充

XenServerの特徴
 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は1月25日、サーバー仮想化ソフト「Citrix XenServer 4.0」(以下、XenServer)と、仮想化プロビジョニングソフト「Citrix Provisioning Server for DataCenters 4.5」(以下、Provisioning Server)を発表した。

 XenServerは、米Citrixが買収したXenSourceの主力製品、「XenEnterprise」の後継として提供されるサーバー仮想化ソフト。オープンソースのXenハイパーバイザーをエンジンとして用い、Windows/Linuxの仮想マシン環境を構築することができる。ラインアップには、シングルサーバー向けの無償版「Express Edition」と、複数サーバーでの展開に適した「Standard Edition」、リソースプール機能までの全機能を利用できる最上位版「Enterprise Edition」の3つが用意されており、企業のニーズに応じて利用できる。

 全エディションに搭載される管理コンソールのXenCenterでは、GUIを用いて、任意のPCから大規模で複雑な仮想環境の管理が可能。またマイクロソフトが提供を予定しているHyper-Vとの相互互換性を備えているのも特徴で、両環境の統合管理に加えて、XenServerとHyper-Vの両環境間で、仮想マシンの移行が容易に行えるようになるという。

 最上位のEnterprise Editionではさらに、仮想リソースの再配置を動的に、しかもシステムダウンなしに行えるXenMotion、Hyper-V環境を含めた複数の仮想サーバーを論理的に統合管理できるリソースプールの両機能が提供される。なおXenServerでは各エディションが同一バイナリとして提供されるため、ライセンスキーの購入・入力によって、簡単に上位エディションへ移行できるとのことだ。


Provisioning Serverの利用イメージ

代表取締役社長の大古俊輔氏
 一方、Provisioning Serverは、ネットワークストレージからOSやワークロードを仮想環境にも配信できる製品。OSイメージはオンデマンドで一括配布可能なため、個々のOSイメージを仮想マシンの数だけ用意する必要がなくなり、バックアップ用サーバーや消費電力の削減、管理性の向上といったメリットを提供できるという。この製品も、2007年にCitrixが買収した企業、ArdenceのOSストリーミング技術を利用している。

 XenServerの価格は、エディションとサーバー1台あたりのCPUソケット数によって異なる。2Wayサーバーの場合、Standard Editionは15万3000円(税別)、Enterprise Editionは51万円(同)。また4Wayサーバーの場合は、それぞれ30万6000円(同)、102万円(同)。Provisioning Serverは同時配布する対象サーバーあたり、17万円(同)となっている。

 シトリックスでは長年にわたって、デスクトップアプリケーションを配信するCitrix Presentation Server(旧MetaFrame)を柱にビジネスを進めてきた。しかし、「ビジネスのグローバル化やオフショア開発の浸透、テレワークの普及などの社会変化を受け、エンドユーザーとアプリケーションの距離が離れてしまっている。その結果、より高い統合性やセキュリティ、コンプライアンスなどが求められるようになっており、アプリケーションの仮想化だけではもう不十分になった」(代表取締役社長の大古俊輔氏)という。

 そこで同社では、Citrix Presentation Serverによるアプリケーションの仮想化に加えて、サーバー/デスクトップの仮想化とプロビジョニングサービス、そしてそれらを支えるアプリケーションネットワーク基盤をトータルにそろえ、「アプリケーションデリバリー」のリーディングベンダーになるべく、取り組みを進めてきた。今回発表された2製品も、その流れにそったもので、これまでに提供できていなかった部分を補完することにより、デスクトップ・アプリケーション・サーバーという「全層の仮想化」を実現。ユーザーへの訴求を図るとした。

 具体的には、顧客に対するサポートやサービスを強化するほか、これまでパートナーに任せてきた研修体制を一新し、直接同社が提供するようにあらためた。また、新規販売パートナーの開拓や、パートナートレーニング強化などを積極的に行うとともに、マイクロソフト、ISV/IHVとのアライアンスも進める考えで、統合ソリューション提供に向け体制を整えていく。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080125_01.html
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080125_02.html


( 石井 一志 )
2008/01/25 17:38

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