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日本オラクル、アプリケーション障害分析機能などを強化した統合管理ツール新版


トップダウン型のアプローチであれば、原因究明を容易に行えるという

常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏
 日本オラクル株式会社は2月5日、エンタープライズ統合管理ツールの新版「Oracle Enterprise Manager 10g Release4」を発表した。トップダウン型の障害解析アプローチやJavaアプリケーションの分析機能が強化され、システム運用フェイズでの管理コスト削減に貢献できるという。価格は、管理対象となるサーバーのCPUごとに課金されるライセンス方式を採用しており、1CPUあたり37万5000円より。同日より、32ビット向けのWindows/Linux版を皮切りに、順次提供を開始する。

 新版での機能強化点は大きく3つ。まず1つ目はOracle Applicationsとの連携を強化したことで、これまでOracle EBS 11i/12iやSiebel CRM 7.8以降に限られていたトップダウンアプローチによる原因分析機能を、Oracle Business Intelligence Enterprise Edition(Oracle BI EE)にも対応させた。このトップダウンアプローチによる運用管理とは、業務アプリケーションのアーキテクチャに従って根本転記な原因分析を実施する仕組み。従来、システムトラブルの原因を調べるには、そのシステムを構成するハードウェアやソフトウェアのスタックごとに、各システム用の異なる管理ツールを使って行わなくてはいけなかったが、これは非常に煩雑であり、原因究明には多大な時間を要していたという。

 しかしOracle Enterprise Manager 10gでは、前バージョンのR3からこの仕組みを導入し、アプリケーションの視点から下位の層をふかんする統合的なアプローチにより、迅速な原因究明を実現している。これについて常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏は「データベースもミドルウェアも提供している当社だからこそできること。まったくばらばらなアーキテクチャのBI製品では、それぞれのツールで原因を調査しないといけない。これがどれだけ難しいことかはおわかりいただけるはず」と述べ、日本オラクルの優位性を強調した。


他ベンダーの環境も含めた、Javaアプリケーションの詳細分析に対応した
 またJavaアプリケーションの分析機能を強化し、「今まで困難だった詳細な障害分析について、専門のJava管理ツールと同等の機能を実装した」(三澤氏)のが2つ目の大きな強化点だ。具体的には、メモリリーク時の発生原因の特定、パフォーマンス低回原因の特定、ロック中のオブジェクト検出などが可能。さらに、この「Oracle Application Diagnostics for Java」機能は買収した企業の技術を取り込んだものであるため、Oracle Application ServerだけでなくWebLogicやWebSphere、Tomcatなど多数のアプリケーションサーバーをサポートできる点も特徴で、JSP/EJB/Servletなどで構成される、一般的なJ2EE/Webアプリケーションの詳細分析を行えるとしている。三澤氏はそのほかの優位点として、低負荷であることや、デプロイ時に再起動の必要がないことを挙げた。

 3つ目は、メンテナンスの自動化機能拡張で、すでにOracle DatabaseやOracle Application Serverなどについては、セキュリティパッチの集中管理機能を実装しているが、今回よりOracle Enterprise Linuxのパッチについても一括管理が可能になっている。またOracle Enterprise Linuxについては、構成管理、OSのノード拡張・縮小、定常監視、セキュリティポリシーの管理といった機能も使用可能になるとのこと。三澤氏はこのメリットについて「Web、アプリケーション、データベースなどの各サーバーに含まれるデータベースやOSの構成情報を一括管理できるほか、組み込まれているパッチ適用のプラクティスを利用すれば、自動的に複数のサーバーへ配信できる。データセンターの運用を想定すると、こうした機能がなければコスト削減には結びつかないだろう」と話している。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1835


( 石井 一志 )
2008/02/05 16:38

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