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ネットアップ、仮想化環境のデータ管理を効率化するソフト新製品

「サーバー仮想化とストレージ仮想化は両翼」

マーケティング部長の阿部恵史氏

新製品の特長
 日本ネットワーク・アプライアンス株式会社(以下、ネットアップ)は2月14日、仮想化環境のデータ管理を効率化するソフトの新製品「SnapManager for Virtual Infrastructure(以下、SMVI)」と「Provisioning Manager」を発表した。発売時期は、第2四半期(4月~6月)となる見込み。価格は未定。

 SMVIは、VMware ESX環境下で動作するすべてのOS・アプリケーション・データのバックアップ/リカバリ、複製、災害復旧(DR)を一括して自動実行するソフト。従来複雑な仮想化環境におけるこうした作業は、各サーバーの利用状況に応じて複雑なスクリプトを駆使しなければ実現できなかったが、同ソフトを導入することでポリシーに基づいたデータ管理の自動化が可能になるという。

 一方のProvisioning Managerは、ストレージのプロビジョニング(容量割り当て)用のGUIソフト。サーバーとストレージの利用率を可視化し、ボリューム単位でのストレージ容量割り当てを自動化することが可能になる。マーケティング部長の阿部恵史氏は、「特に仮想化環境においては、業務の状況、環境に応じて物理サーバーと仮想サーバーの組み合わせが複雑に変化するため、GUIを使って変化を予測したデータ容量の確保や割り当てが行えることは非常に効果的」とアピールしている。

 これらはいずれも「ストレージの仮想化」を推進するための製品だ。ではそもそも、なぜストレージの仮想化が必要なのか。阿部氏は「仮想化技術は、ITインフラの複雑性を隠ぺいするためでなく、ITインフラ活用の効率化が本来の目的。サーバーの仮想化に注目が集まっているが、これとITインフラの効率化はイコールではなく、半分に過ぎない。例えばサーバーの仮想化によってCPUやメモリの共有が実現し柔軟性が生まれても、同時にストレージの仮想化を行わなければ、この柔軟性を100%生かすことはできないのだ」と話す。

 より具体的にいえば、「ストレージ仮想化が行われていなければ、各アプリケーションに対してRAIDグループ単位でしかストレージを割り当てることができない。それではデータ量の少ないアプリケーションではストレージ容量があまってしまうし、スループットを必要としないアプリケーションではI/Oの能力をフル活用することもできない」(同氏)というわけだ。

 同氏は「今後データセンターで仮想化が進めば、ストレージプールという考え方が重要になっていくだろう」としている。このストレージプールを効率的に実現するのがProvisioning Managerであり、仮想化環境においてもOS・アプリケーション・データのバックアップや複製を自動的に実現するのがSMVIとなる。


サーバー仮想化で、ストレージにかかるリスクは増加する ストレージの仮想化を行わなければ、サーバー仮想化によって利用可能になる柔軟性を生かせない サーバーの仮想化とストレージの仮想化は、ITインフラ活用の効率化に向けた両翼としてとらえるべき

 これら新製品以外にネットアップは今回、既存ソフトの機能強化も3点発表している。1点目がOracle Database/SQL Server/SharePoint Server/Exchange Serverを対象としたデータベースバックアップ/リカバリ製品「SnapManager」のVMware連携機能追加。2点目が大規模で複雑なデータ保護環境の一元管理を実現する「Protection Manager」の仮想化対応。

 そして3点目が同社の製品に共通して採用されているストレージ専用OS「Data ONTAP」の重複排除機能強化だ。従来この機能は、ファイルのバックアップを想定したセカンダリストレージのみを対象に実行することができたのだが、仮想化環境ではOSやアプリケーションデータそのものが重複する可能性も高いことをかんがみて、プライマリストレージに対しても実行できるようにした。


機能拡張の概要 Data ONTAPの特長

 こうしたネットアップ製品を活用することで、「VMware ESX環境におけるTCOを最大38%、総ストレージコストを50%まで削減し、ストレージのリソース活用効率としては65%にまで向上させることが可能」(同氏)という。ただし「ネットアップがめざすITインフラ活用の効率化は、ネットアップだけで実現できるものではない」とし、Microsoft、XenSource、Virtual Iron、VMwareなどとの提携も引き続き強力に推進していく意向をみせた。



URL
  日本ネットワーク・アプライアンス株式会社
  http://www-jp.netapp.com/
  プレスリリース
  http://www-jp.netapp.com/news/press/news_rel_20080214


( 川島 弘之 )
2008/02/14 17:17

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