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SSUサービスで提供される機能
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コンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 第2部の内田恵部長
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月20日、仮想化技術を利用した開発環境向けインフラソリューション「HP Shared Service Utilityサービス」(以下、SSUサービス)を発表した。自動化を進め、極力人手を介さずに運用できる点が特徴で、開発フェーズはもちろん、機能試験や、開発工程の最後となるトラブルシューティングといった段階での省力化・効率化に力を発揮できるという。
SSUサービスは、開発環境を統合して仮想化することにより、必要なリソースを柔軟に配布できるようにするソリューション。ハードウェアと、その上で動作するOSやミドルウェアなどのリソースを大きなプールとして備蓄し、開発者からの申請に応じてリソースを振り分ける仕組みを採用している。具体的には、ハードウェアインフラとして日本HPのブレード製品やストレージなどをベースとする、すでに実証された構成を利用。その上にVMware(Windows/Linux)、HP Virtual System Environment(HP-UX)の両仮想化ソフトをのせ、サービスという形でユーザーへ配布される。
インフラ部分だけでなく、管理機能が充実している点も売りの1つで、仮想環境を利用するための申請や承認といった作業については、すべてセルフサービスのポータルから実行可能。ユーザーが行う開発環境の利用申請は、OSやあらかじめ設定された環境パターンの中から利用したいものを選択し、利用期間を入力するだけで終了する。一方で管理者側の作業となる申請の承認もほとんど手間がかからず、その後に必要な、仮想環境のプロビジョニング作業はすべて自動化されているため、従来は、ハードウェアの手配から環境の構築まで、全段階で人間が介在していた作業を簡単に済ませられるという。
コンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 第2部の内田恵部長は、「過去の実績から運用パターンを割り出し、負担のかかるところを自動化したため、運用コストと人的ミスの削減を実現できる。また、プロジェクトの利用開始・終了時期の管理や、途中で性能拡張を容易に行える点も特徴だ」と述べ、このソリューションの特徴を説明。さらに、同じ環境を複数構築できること、環境を返却した後、トラブルシュートなどで再度同じ環境が必要になっても、容易に過去の環境を再現できることなどもメリットとした。
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利用申請から利用開始までの一連の流れ。人手が介在する部分を最小限に抑えているため、管理負荷を削減できるという
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取締役 副社長執行役員 サービス事業統括の石積尚幸氏
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ユーザーの管理・認証についても、Active Directoryを使用することで一貫した管理性を提供。各仮想環境の管理権限をユーザーへ付与することにより、自分が利用していない別の環境を誤って削除してしまうようなことを防ぐ。また、HP System Insight Managerを用いたハードウェアの統合監視、HP Data Protectorを用いた統合バックアップをサポートしており、管理者の負担を軽減しているとのこと。SSUサービスでは、こうしたコンポーネントを構築サービスとのパッケージで提供するため、顧客は迅速な導入が可能になるとしている。
価格は、仮想環境を80以上構築可能な、HP-UXブレード4枚、x86ブレード8枚を含めたハイエンド構成の場合で、6000万円前後を想定する。またお試し構成として、数百万円(ハードウェア費用別途)での提供も検討しているという。販売対象としては、アプリケーション開発を日常行っているSIerを第一のターゲットとするほか、サービスの提供サイクルが早く、開発のプロジェクトが常にまわっている金融・テレコムといった業種に対しても、メリットをアピールする考え。内田部長は、2008年中に20件の販売を目指すとした。
なお、SSUサービスのベースとなった環境が、HP自身が中国・大連に持っているオフショアサイトへすでに導入されており、効果は実証済み。内田部長は、「大連では、増大する要求にタイムリーに応えられなかった点が最大の課題だったが、これを導入後、従来1~2週間はかかっていた環境構築依頼から提供までが、最小70分で実現できた」と紹介している。
日本HPでは今後、開発環境だけでなく本番環境のサービス化も見据えてソリューション開発を進める意向で、SSUサービスはあくまでもその第一歩という位置付けとする。サービスの発表会では、取締役 副社長執行役員 サービス事業統括の石積尚幸氏も登壇。「従来のITは、リクエストを受けて基盤をその都度構築していたが、ITをサービスとして提供する『ITシェアード・サービス』では、IT部門は『社内のサービスプロバイダ』へ立ち位置を変えられる。これによって、スピードや効率・品質が上がるほか、計画的にお金を使うことが可能になる」と述べ、サービス化のメリットをアピールしていた。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
ニュースリリース
http://www1.jpn.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-058.html
( 石井 一志 )
2008/02/20 14:32
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