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富士通、金融向けソリューションを発表-業務の現場を可視化する“3つの目”


金融ソリューション開発本部 金融ソリューション企画部 プロジェクト部長の藤田雅人氏
 富士通株式会社は2月20日、金融ソリューション体系「EVOLUO」の新ラインアップとして、金融業務の現場を可視化する3つのソリューションを発表した。同日から販売を、4月から順次出荷を開始する。

 新たに提供を開始するのは、音声可視化ソリューション「EVOLUO-ConversationEye(以下、ConversationEye)」、業務可視化ソリューション「同-ProcessEye(以下、ProcessEye)」、システム可視化ソリューション「同-TransactionEye(以下、TransactionEye)」の3種類。金融ソリューション開発本部 金融ソリューション企画部 プロジェクト部長の藤田雅人氏は「ユーザーに手間をかけないサービスとして提供し、迅速に導入できるのが特長。金融業務の現場を定量的・客観的に分析し、“見える化”することでリスクマネジメントの全体最適化が図れる」としている。

 ConversationEyeは、営業担当者の音声を認識し、顧客に対する説明内容に問題がないかを可視化するソリューション。2007年9月に施行された「金融商品取引法」により、金融窓口の対応にはより厳正さが求められている。勧誘を受ける意思なしに勧誘することを禁止する「不招請勧誘の規制」、断定的判断による情報提供を禁止する「説明義務の強化」などがその一例だ。同ソリューションでは、顧客に対する説明内容をリアルタイムに記録し画面に逐一表示することで、必要な説明を行ったか、“必ず儲かります”などのNGワードを使っていないかを、担当者自らが話ながらチェックすることが可能。また、記録された音声をあとで確認することも可能なので、どの担当者がどれだけNGワードを口にしたかといったマネジメントとしても利用できる。

 提供方式は音声録音案件数による従量制で、価格は最低1800万円から。5年間で100社への販売をめざす。


EVOLUO-ConversationEyeの概要 画面例 システム構成

 ProcessEyeは、業務システムのデータを解析し、プロセスの実態を可視化するソリューション。金融の現場では、「度重なる新規商品の投入、制度変更により想定と現状のプロセスがかい離し、プロセスに影響を与える要因の特定が非常に困難になっている」(藤田氏)。同ソリューションでは、既存システムのデータベース情報を富士通が分析。契約からおよそ1~2カ月で、さまざまな形式で分析結果をアウトプットする。

 業務プロセスには、本来の「典型プロセス」と何かしらの理由があって発生する「例外プロセス」が存在する。「これらを発見すると同時に、繰り返し・手戻りなど作業のボトルネックとなっている個所を特定することができる。さらに期間や部門ごとなど個別分析をすることでベストプラクティスを発見することも可能だ」(藤田氏)とのこと。

 提供方式は分析対象データ量による従量制で、価格は最低1000万から。5年間で500社への販売をめざす。


EVOLUO-ProcessEye システム構成図

 TransactionEyeは、ネットワークを流れるデータを解析し、業務取引ごとの処理状況・処理時間を可視化するソリューション。「金融業でもシステムの巨大化が進み、障害検知や問題個所の特定が難しくなっている。同ソリューションでは、マルチベンダの製品で組まれたシステムにおいて、ネットワークを流れるデータを観測し、注文処理や残高照会といった業務取引ごとの処理状況や負荷状態を可視化することができる」(藤田氏)という。

 分析の結果、サーバーごとの処理時間・オブジェクトマップ・処理シーケンスなどが出力できるため、「業務単位で問題を特定できるのが特長だ」(同氏)。また情報の吸い取り方としては、スイッチのポートミラーリングを利用するため、業務サーバーやアプリケーションの種類に依存せず、既存の環境にまったく影響を及ぼすことなく利用することができるという。

 提供方式は業務トランザクション数による従量制で、価格は最低1680万円から。5年間で500社への販売をめざす。

 なお、金融ソリューション開発本部長の吉田春男氏は、「金融向けということで提供を開始するが、音声認識などはさまざまな領域で適用可能だと思っている。特にConversationEyeについてはさまざまなシーンで会話を残す、そんなソリューションに発展させたい」と述べている。


EVOLUO-TransactionEyeのシステム構成図 システム可視化技術によって見えること 金融ソリューション開発本部長の吉田春男氏


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/02/20-1.html


( 川島 弘之 )
2008/02/20 15:34

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