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カスタマーイノベーションセンター ビジネスアプリケーション マネージャーの松村浩史氏
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SAPジャパン株式会社は3月6日、SAP ERP 6.0の機能を拡張するエンハンスメントパッケージ第三弾を発表した。第2四半期より提供を開始する。
エンハンスメントパッケージは、エンタープライズSOAにより、本番稼働中のERPシステムの中断を最小限に抑えながら新機能を導入できる拡張パッケージ。業種共通の機能拡張、業種特化型の機能拡張、業務プロセスおよびユーザーインターフェイスの簡素化、新たなエンタープライズサービス機能などが用意されており、ビジネス要件に応じて必要な機能のみを選択して適用できる。
従来提供されていたアップグレードでは、拡張範囲を指定することはできず、アプリケーションすべての範囲を更新することになるため、大規模かつ重い作業が発生するのが一般的だ。そのため、いったん稼働したシステムを大幅に変更することは困難となっている。これに対して、エンハンスメントパッケージでは、必要な機能だけを選択して利用できるため、アプリケーションすべてを更新する必要がないのが最大の特長。そのため、導入作業も小規模になり、テスト範囲も限定的となる。
同社カスタマーイノベーションセンター ビジネスアプリケーション マネージャーの松村浩史氏は、「ぱっと見た感じでは地味なリリースにおもわれるが、利用者にとってのメリットは大きい」と述べ、アップグレードの派手さはないものの、エンハンスメントパッケージの実用性をアピールした。
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アップグレードではなくエンハンスメントパッケージの提供により機能拡張を実現。最新のエンハンスメントパッケージには既存リリース分の機能も含まれる
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エンハンスメントパッケージの特長。必要な機能を必要なだけ追加でき、必要な時期に有効化できる
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アップグレードとエンハンスメントパッケージの違い
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今回提供されるのは、コアとなるERPモジュールの機能強化と、小売・卸売・公共サービス向けといった業界向けの機能。公共サービス向けでは、科学研究助成金管理、税収管理、税金還付処理、ショッピングカート、項目階層化の機能を追加。小売・卸売業向けでは、グローバル・データ同期、販促や品揃え計画、小売向け会計、お客さまの発注を管理する際の製品検索機能、食品の店内製造、外部倉庫管理システムへのクロスドッキング・インターフェースや予測・補充プロセス改善、モバイル在庫管理、SAP Credit Managementアプリケーションとの統合モジュールが提供される。
そのほか、SAP ERPの各種モジュールやSAP ERPがカバーする業務領域全体を横断したサービスインターフェイスをグループ化した「エンタープライズ・サービス・バンドル」を用意。業界に特化した機能や、従来型の受注処理を改良したものなど、50種類以上が用意されている。
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業界共通の新機能
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業界別の新機能
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エンハンスメントパッケージ方式を採用したことにより、保守期間も長期化している
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「エンハンスメントパッケージとサポートパッケージを混同される方もいるが、サポートパッケージは製品のバグを修正するもの。エンハンスメントパッケージは、新機能を必要な分だけ追加するためのパッケージ」(松村氏)と説明。「エンハンスメントパッケージという方式を採用することで、新バージョンを開発する必要性が少なくなっている。実際、現時点ではSAP ERP 6.0の後継バージョンの予定はない」と、バージョンアップでの機能拡張ではなく、エンハンスメントパッケージによる機能拡張が主流になると説明。「CRMやSRM、PLM、SCMといったアプリケーションにもこの方式を採用する」と、同社製品の基本的な機能リリース方式になるとした。
■ URL
SAPジャパン株式会社
http://www.sap.com/japan/
プレスリリース
http://www.sap.com/japan/about/press/press.epx?pressid=9137
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・ SAPジャパン、SAP ERPの機能拡張パッケージ第二弾(2007/08/08)
( 福浦 一広 )
2008/03/06 14:00
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