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日本IBM、2008年度のソフト事業戦略を発表-IOD戦略を推進する新製品も


専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏

2008年度 日本IBMソフトウェア事業の施策
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は3月6日、プレス向け説明会を開催し、2008年度のソフトウェア事業戦略について発表した。あわせて、同日に「Information on Demand Conference 2008」が開催されていることを受け、2008年度のインフォメーション・オンデマンド(IOD)戦略についても説明が行われ、IOD戦略を推進する新製品として「Information Server V8.1」を日本市場に初投入することを発表した。

 説明会では、まず専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏が、2007年度のソフトウェア事業を振り返り、「グローバル、日本市場ともにソフトウェア事業は好調に推移し、2007年度の売上高は対前年度比10%増の20億ドルに達した。特に日本市場では、SOAの実装段階に入る企業が増えており、当社では三菱東京UFJ銀行、セガ、三井倉庫に対して、SOA導入の取り組みをサポートした。また、Cognos、FileNetなどの買収・統合によって、SOAソリューションのポートフォリオが完成したことも大きなトピックだ」と述べた。

 そして、2008年度のソフトウェア事業の施策として、「お客様のイノベーション実現を一層支援するため、高付加価値ソリューションを提供していく」ことを明らかにするとともに、その重点領域として、1)SOAのさらなる推進、2)業界ごとにソリューションを提供、3)イノベーションを加速する5分野のソリューションを推進、の3点に注力していく方針を掲げた。

 SOAのさらなる推進については、2004年9月にSOAの取り組みを開始してから現在までの豊富な経験に基づき、一連のガイドやロードマップを体系化した「smartSOA」を提供する。これにより、どこからどのように始めても、ニーズにあったSOAを提供できるとともに、規模を問わず失敗なくSOAを実施することが可能になるという。

 業界ごとのソリューション提供では、「製造」「流通」「保険」「銀行」「医療」「通信」の6業種のフレームワークを用意し、業界ごとに実績のあるプロセス/データ/サービスモデルに基づくソリューションを展開。SOAデザインにより柔軟性、迅速性を、オープン技術により接続性、協調性を提供するという。

 イノベーションを加速する5分野のソリューションとしては、顧客の課題に対応し、「業務生産性向上」「IOD」「サービス管理運用」「ビジネスプロセスの柔軟性」「ソフトウェア・ライフサイクル・マネジメント」の5分野を設定。各分野において、オープンなITアーキテクチャ基盤上でのソリューション構築を推進し、ITとビジネスプロセスの融合を図っていく考え。


理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏

IODの実現を支援する新しいソリューション体系

IBM Information Serverの特徴
 三浦氏によるソフトウェア事業戦略の発表後は、同戦略の重点ソリューション分野にも挙げられているIODの戦略について、理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の下垣典弘氏から説明が行われた。

 下垣氏は、「IODは、IBMが2006年2月から提唱しているもので、企業における情報の戦略的活用を最大化することによって、ビジネスの最適化と競争力の強化を支援し、必要なアプリケーションが必要に応じて必要なデータにアクセスできるIT基盤を構築していくビジョン。IODの実現に向けたステップとしては、情報の管理、情報の統合、情報の分析という3つのエリアに分けられるが、2008年度は各エリアに対して新しい施策を展開していく」方針を示した。

 具体的には、「情報の管理」については、エンタープライズ・コンテンツ管理(ECM)市場への取り組みを本格化し、ECM事業の中核製品として「FileNet」を提供する。また、「情報の統合」では、IOD戦略を推進するための新製品として、5月に出荷予定のマスターデータ管理ソリューション「InfoSphere Master Data Management(MDM) Server V8.0」に加え、次世代情報統合基盤ソリューション「Information Server V8.1」を日本市場向けに初投入し、製品ラインアップのさらなる拡充を図る。「情報の分析」については、Cognosのソリューションを統合することにより、エンド・ツー・エンドでのIOD戦略をサポートしていく計画。

 この施策の中で、新たに発表された「Information Server V8.1」は、異種混合データベース環境のデータにアクセスし、各種のデータを統合、正規化し、ビジネス上の要求に応じて供給できるように、情報の統合を支援するソフトウェア。企業内のデータ統合を通じてIOD環境を実現する基幹となる製品で、従来まで英語版のみ出荷されていたが、「V8.1」で初めて日本語での処理を実現し、日本市場向けに本格投入する。

 同製品の主な特徴は、データ量に応じて並列処理の活用が可能で、大規模データ処理にも対応。また、ビジネスユーザー、データベース管理者、アプリケーション開発者が共通のメタデータ情報を活用できるほか、異種混合データベース間でリアルタイムでのデータ転送を実現。これにより、データベースを並列処理することで、大規模データでもリアルタイムに情報を統合することが可能となり、コールセンターや店舗窓口における応答の迅速化などを図ることができる。出荷開始は6月30日で、最小構成でのIBMダイレクト価格は1105万4000円から。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース
  http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/03/0601.html


( 唐沢 正和 )
2008/03/06 16:34

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