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日本オラクル、SOAシステム構築を支援する汎用フレームワークを提供


AIAの全体像

常務執行役員 製品戦略統轄本部長の三澤智光氏
 日本オラクル株式会社は3月26日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)構築フレームワーク「ファウンデーション・パック」を提供開始すると発表した。同社が推進するアプリケーション統合コンセプト「Application Integration Architecture(AIA)」の重要な基盤の1つに位置付けられる。

 SOAを本気で実装しようとした場合、企業はデータモデルを決め、サービスの粒度・切り出しをゼロから作る必要があるほか、システム間連携に必要なロジックや、複数システムをまたがるビジネスプロセスなどについても作り上げなくてはならない。そのため日本オラクルではこれまでも、「SOAの実装をユーザーサイドにゆだねてしまうと大きな壁が存在するが、これはプロダクトで解決できることではない」(常務執行役員 製品戦略統轄本部長の三澤智光氏)とし、導入の指針ともいうべきフレームワークが重要な鍵を握ると主張。2007年7月にAIAの提供を開始することで、同社こそがユーザーにメリットを提供できるとしてきた。

 AIAの第1弾としては、すでに日本オラクルの特定製品同士をつなぐためのビジネスプロセス群「プロセス統合パック(PIP)」をリリースしていたが、企業内に存在するのは、もちろん同社のアプリケーションだけではない。またPIPはビジネスプロセスまでを内包しているがゆえに、特定のケースでしか利用できず、汎用性という意味では十分な対応ができない。そこで、「ヘテロジニアスな環境でも対応できるように」(三澤氏)、ファウンデーション・パックをリリースするという。

 同パックでは、アプリケーションが固有で持つメッセージと共通メッセージモデルの変換の仕組みや、共通のサービスインターフェイス、共通データモデルなどを部品として提供。また、統合テストツールやリポジトリ、エラーハンドリングツールといった共通機能を合わせて提供することで、「開発工数の削減、品質の均一化、メンテナンス性の向上といったメリットを提供できる」(製品戦略統括本部 Fusion Middlewareビジネス推進本部 シニアマネジャーの吉田光伸氏)。


EBOを利用すれば、アプリケーション連携時の工数などを削減できるという
 このうち、共通データモデルを定義するための「エンタープライズ・ビジネス・オブジェクト(EBO)」では、業界標準にのっとった、あらゆるアプリケーションで活用できる標準データモデルを、まず26種類用意した。通常、アプリケーションを連携させる場合はその数だけ連携ポイントが発生し、連携プログラムの開発やアプリケーション間のデータマッピングなどに多大な工数がかかる。しかし、共通データモデルを用いる場合は、それさえマッピングしてあげれば、アプリケーションが増えても容易にデータ連携が可能になるメリットがあるという。

 またSOA導入においては、「サービスの粒度を決めることが難しい」(三澤氏)が、EBOに対する操作の粒度を定義した「エンタープライズ・ビジネス・サービス(EBS)」もあわせて提供され、ユーザーの負担を軽減するとした。

 ファウンデーション・パックの価格は2000万円からで、Windows Server、Linuxの両プラットフォームに対応する。三澤氏はファウンデーション・パック投入によるビジネスへの影響について、「これの導入によって多くのSOA案件が前進し、競合ERP製品との差別化に大きくつながってくる。間接的な売り上げ増に大きく貢献するだろう」と話した。

 なお日本オラクルでは、製品やフレームワークを充実させるだけでなく、人材面も拡充する考え。三澤氏は、「エンタープライズでのSOA導入をどうやったらいい、という声をお客様よりたくさんいただいている。そうした、ハイレベルなSOA導入を支援するためのハイレベルなプロフェッショナル集団をプリセールスの中に新設した」と話し、「SOA Architect」部門を紹介した。同部門は、まず10名規模でスタートする。

 さらに、「今、まさにお客様が必要としている情報を提供する」(三澤氏)との姿勢で、「SOA Boot Camp」無償セミナーも提供する。すでに第1弾はスタートしており、今後はSOA Architectのメンバーを講師としたセミナーも開催を予定している。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1844


( 石井 一志 )
2008/03/26 16:47

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