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ILOGのピエール・ハーレンCEO
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サプライチェーンの管理プロセス
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アイログ株式会社は4月11日、各種製造、流通・小売業を対象にサプライチェーン・アプリケーション事業を開始することを発表した。これに伴い、日本市場向けにサプライチェーン・アプリケーション製品群を6月から順次出荷開始する。初年度の案件受注目標は10件、3億円を見込む。
新たに出荷開始するサプライチェーン・アプリケーション製品群は、ILOGが昨年買収したLogicToolsの製品、およびアイログの製造業特化型ソリューションなどで構成される。ラインアップは、戦略的ネットワーク計画立案およびマルチサイト生産ソーシングツール「ILOG LogicNet Plus XE」、在庫の最適化ツール「ILOG Inventory Analyst」、工場の生産計画およびスケジューリングツール「ILOG Plant PowerOps(ILOG PPO)」の3製品。
これらのツールによって、サプライチェーン市場において、従来のコンポーネント・ソフトウェアにとどまらず、より顧客のニーズにマッチしたソリューションを、使いやすいアプリケーションの形態として提供していく。
ILOGのピエール・ハーレンCEOは、ワールドワイドのビジネス展開について、「当社では、サプライチェーン・アナリストやプランナー、生産計画およびスケジューリング責任者、サプライチェーン・コンサルタントといったビジネス・プロフェッショナルユーザー向けにサプライチェーン・アプリケーション事業を展開している。大手企業をターゲットに直販中心で拡販展開しており、現在、1000万ドル規模の事業に成長している。業界別では、食品・飲料、製造、化学関連に多くの販売実績がある」と述べた。2007年度における売上高構成は、ライセンス47%、ポストセールス41%、保守21%、ライセンス売上高構成は、新規顧客62%、既存顧客38%、チャネル別構成は、エンドユーザー88%、コンサルタント12%となっている。
日本市場に向けた事業戦略としては、1)世界をリードする日本の製造業とアジアに展開する日系企業の工場、2)日系企業によるアジア・グローバルSCMの再構築、3)日本国政府によるCO2排出削減規制、の3点をビジネスチャンスとしてとらえ、金属(主に鉄鋼)、自動車、飲食、化学、製薬、流通・小売業の各業種を主なターゲットに拡販展開していく計画。
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アイログ 代表取締役ゼネラルマネージャーの和多田茂氏
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アイログ 代表取締役ゼネラルマネージャーの和多田茂氏は、「日本市場におけるサプライチェーン・アプリケーション事業により、アジア地域でグローバルSCMを展開している日系グローバル企業を開拓できると期待している。また、各企業に課される二酸化炭素削減目標の達成を支援し、グリーンITへの貢献も目指す。そして、これに向けて、パートナー企業との協業も積極的に行い、信頼性の高いトータルSCMソリューションを提供していく」方針を述べた。
各ツールの特徴としては、ILOG LogicNet Plus XEは、戦略的サプライチェーン・ネットワークの計画立案向けに開発されたもので、サプライチェーンの物理的規模を判断、倉庫・工場・ラインの数、場所、規模の最適化を判断、マルチサイトの生産ソーシング戦略を立案、生産調達計画の実施、緊急時対策の実施などに関わる機能を備えている。主に、企業買収、設備集約、コスト節減、工場の合理化、輸送コスト問題、生産ソーシング、二酸化炭素排出量削減などの領域で活用される。
ILOG Inventory Analystは、在庫・輸送・生産のバランスを考慮し最適なフローを判断する在庫最適化ツール。戦略的な用途としては、プッシュ/プル型の拠点配置、安全在庫の配置拠点、遅延事象の管理、ポリシー分析など、戦術的な用途としては、現状に基づく適正な在庫水準の管理運用などで活用される。
ILOG PPOは、プロセス生産工場向けにプランニングとスケジューリングを統合したソリューション。貯槽の管理、洗浄の作業規定、貯蔵寿命と熟成期間、中間製品と最終製品のスケジューリングなどのモデルによって効果的な管理を可能にする。また、計画の再作成と再スケジューリング、プランニングとスケジューリングのプロセスマッピングなどの機能で生産計画担当者の判断を支援する。
これらのツールは、現在稼働しているERPやSCMを置き換えることなく、補完するかたちで導入することができるため、企業は、これまでのIT投資を無駄にすることなく、継続的かつコスト効率の良いシステム強化を行うことが可能となる。
販売スケジュールは、ILOG PPOが最新版の3.0を6月に出荷開始、ILOG LogicNet Plus XEとILOG Inventory Analystについては2008年夏の出荷開始を予定している。さらに、今秋をめどに、戦略的な輸送経路を判断するツール「ILOG Transportation Analyst」を出荷開始する予定。
■ URL
アイログ株式会社
http://www.ilog.co.jp/
( 唐沢 正和 )
2008/04/11 15:39
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