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“超大企業”対応の「サイボウズ ガルーン」新版、検索オプションや新着通知アプリも提供

海外展開も計画、2009年をめどに英語・日本語両対応版をリリース

サイボウズ ガルーン 2.5

代表取締役社長の青野慶久氏
 サイボウズ株式会社は4月14日、大規模向けグループウェアの新版「サイボウズ ガルーン 2.5」を発表した。新版では、スケーラビリティを向上させ、「3000名を超える“超大企業”でも利用できるようにした」(代表取締役社長の青野慶久氏)のが特徴という。

 サイボウズ ガルーンは、300名以上の中・大規模での利用を想定したグループウェア製品。これまでは、「平均500名の規模で利用されており、3000名を上限として販売してきた」(青野社長)が、今回のバージョンアップでスケーラビリティが強化され、1万名規模での利用にも対応できるようになった。具体的には、データベースをアプリケーション単位で分割できる機能を搭載し、「スケジューラに負荷がかかっていれば、それだけを分ける、といった柔軟な運用を行える」(プロダクト管理部の中野匡章氏)ようにした。なお、サイボウズ ガルーン 2以降で利用されているフレームワーク「CyDE 2」では、データベースにMySQLを採用している。

 また、大規模な組織では拠点が増え、システム管理者へかかる負担が増大するという問題があった。新版ではこれを踏まえて、新たに管理権限の委譲機能を用意し、拠点管理者に対しても一部機能を委譲できるようにしている。

 さらに、有償オプション機能「サイボウズ 全文検索サーバー for ガルーン」の販売も開始する。同オプションは、サイボウズ ガルーン 2.5内に蓄積されたデータの検索を可能にするもの。これを利用すると、掲示板、社内メール、Webメール、ファイル管理の各機能に蓄積されている情報を、横断的に検索し、必要な情報を瞬時に探し出せるという。情報はアクセス権を考慮して検索されるため、権限を持たない情報を誤って閲覧してしまうことはないという。また検索にあたっては、添付ファイルの中身についても探せるとのこと。中野氏はこの機能について、「新規ユーザーはもちろん、既存ユーザーでも手軽に導入可能。サイボウズ ガルーンのユーザー・アクセス権限を自動的に継承するため、構築後の運用コストは不要だ」とアピールした。


サイボウズ リマインダー for ガルーンの画面イメージ

英語・日本語両対応のグループウェアについても、2009年のリリースを計画しているという
 加えて今回は、保守契約「サービスライセンス」を締結中のユーザー向けに、更新通知ツール「サイボウズ リマインダー for ガルーン」も提供する。これは、クライアントPCに常駐するアプリケーションで、Webブラウザが起動していなくても、サイボウズ ガルーン 2.5の新着・更新情報などをポップアップしてユーザーへ通知する機能を備えている。

 価格は、サイボウズ ガルーン 2.5が50ユーザーで60万円(税別)からで、サービスライセンス契約中のユーザーは無償でバージョンアップ可能。またオプションのサイボウズ 全文検索サーバー for ガルーンは、50ユーザーで19万8000円(税別)から。サイボウズ リマインダー for ガルーンは、サービスライセンス契約中のユーザーが無償で利用できる。

 青野社長は今回のバージョンアップについて、「2.5ということでマイナーバージョンアップかと思われるかもしれないが、メジャーバージョンアップに相当するインパクトがある」という点をまず強調。その上で、「(従業員)3000名を超える超大企業が対象で、ここを開拓するのが一番大きなミッション。ライバルも強いが、サイボウズの使いやすさをアピールして拡大していきたい。3000名以上の大企業のうち100社と商談に入り、今期(2009年1月末)中に4億円を売り上げたい」との意気込みを示した。そのために同社では、営業やSEで構成される専門部隊を約10名の体制で設立。顧客へのアプローチを直接行い、カスタマイズや他システムとの連携、サブシステムとの作り込みといった作業をサイボウズ自身で担当していく。

 さらには、今後の展開として海外展開に積極的に乗り出すことも明らかにしている。青野社長は、「グループウェア市場は国内では横ばいであり、決して成長市場ではない」という点を指摘し、ビジネスの拡大のため、世界展開を図る意向を示す。すでに同社では、日本語と英語を切り替えて使える製品を開発中。「国際化は実は結構大変で、タイムゾーンへの対応が必要。インターフェイスも日本語と英語で違う。これをクリアして、2009年のなるべく早めに出したい」(青野社長)とした。

 「当社は一度米国に現地法人を作っているが、失敗して戻ってきたつらい過去がある。そのときはほとんど調査しなかったから痛い目にあったが、今回はきちんと世界中を調べている。自分たちの価値が伝わるかどうかを見てくるのが大事だと思っているので、今年は国際化のバージョンを作りながら調査を進めていく」(青野社長)。



URL
  サイボウズ株式会社
  http://cybozu.co.jp/
  プレスリリース
  http://group.cybozu.jp/news/08041401.html


( 石井 一志 )
2008/04/14 17:54

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