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NTTデータとマイクロソフト、RFIDを用いた次世代手荷物管理システムを構築

複数の航空会社・宅配会社の組み合わせが可能に

今回発表された次世代手荷物管理システム

ASTREC ITシステムWG主査の小菅佳克氏
 株式会社NTTデータとマイクロソフト株式会社は4月23日、次世代空港システム技術研究組合(以下、ASTREC)が研究を行っている次世代手荷物管理システム研究モデルにおいて、NTTデータのIDコマース基盤とマイクロソフトのBizTalk Server 2006 R2およびBizTalk RFIDを使ったRFID管理システムを適用したプロトタイプシステムを構築したと発表した。

 今回発表されたのは、航空会社および空港宅配会社を自由に選択できる手荷物管理システム。従来の手荷物管理システムでは、航空会社と空港宅配会社との組み合わせが限定されている場合がほとんどで、利用者が自由に選択できないのが現状。また、サービス提供者にとっても、新たなサービスを構築する際のコスト・開発時間などが課題となっている。今回発表された次世代手荷物管理システムでは、既存システムを拡張してシステム連携を簡易に実現できるのが最大の特長。手荷物の管理にはRFIDをキーとして利用している。

 ASTREC ITシステムWG主査の小菅佳克氏は、「ASTERICは、移動体識別情報を応用することで、次世代空港システムの基盤確立と空港の利便性・安全性の向上の実現などを目的に設立された非営利法人。RFID要素技術の研究をコアとし、空港・航空会社などとシステム連携、国際標準化、運用面・制度面など多面的な調査活動に取り組んでいる。今回の次世代手荷物管理システムでは、ロストバゲッジの削減や空港内の作業効率の向上などを目的として研究しているもの」と説明する。


システムフロー。ユーザーには一元化した操作性を提供。システム側では、RFIDトークンをキーとした情報共有を実現
 次世代手荷物管理システムの基本的な仕組みは次のようになっている。

 RFIDトークンをキーとして利用することで、各社のシステムを連携。これにより、航空会社はRFIDトークンと航空券予約情報を関連づけて管理し、空港宅配会社もこのRFIDトークンで航空券予約情報を取得可能となっている。

 空港宅配会社から宅配会社への集荷依頼に関しては、共通APIで実施。RFIDトークンと手荷物履歴情報を関連づけて管理することで、空港宅配会社が各社の手荷物履歴情報を一括取得できるようになっている。この際、宅配会社に対しては、集荷依頼には不必要な航空券の予約情報などを削除して情報を提供することで、個人情報への配慮も行われるとのこと。

 このうち、RFIDトークンを利用した情報流通の部分で、NTTデータのIDコマース基盤を利用。既存ホストとの連携部分において、マイクロソフトのBizTalk Server 2006 R2およびBizTalk RFIDが利用されている。


利用イメージ。ユーザーはまず航空会社のサイトで航空券を予約 予約が完了するとRFIDトークンが提示される。以後、このRFIDトークンをキーに作業が進められる 航空券予約画面内には、宅配会社へのリンクも用意。利用者は複数の宅配会社から自由に選択できる

宅配会社のログイン画面。RFIDトークンがキーとして使われているのがわかる 集荷日などの情報を入力して手荷物の配送を予約 手荷物には宅配会社の伝票とともにRFIDタグが添付される

宅配会社の集荷情報 預かった荷物をRFIDリーダーで読み取ることで、登録が完了する 利用者は手荷物の配送履歴をRFIDトークンをキーに確認することも可能

航空会社が預かった荷物をRFIDリーダーで登録 これで手荷物のチェックインが完了する 利用者は航空会社でのチェックインが完了したことまで確認可能

NTTデータ技術開発本部 部長の村上明彦
 NTTデータ技術開発本部 部長の村上明彦氏は、「従来のRFID管理システムは、ID管理が複雑になることから、同一企業および特定企業間のシステム内で利用されていた。そのため、ユーザーの趣向に応じたベンダーの組み合わせが自由に選べないのが欠点だった。また、既存の他システムとの連携が難しく、システム構築に費用がかかるのも問題。NTTデータのIDコマース基盤は、モノや人に付されたIDをキーとすることで、さまざまなITシステムや機器をシームレスに連携できるサービス基盤。異種プラットフォーム間連携を実現する仕組みや、ベンダー間の互換性を確保する仕組み、高セキュリティを実現する仕組みを採用しているのが特長。EPCglobalといった標準化団体で規定済みの規約をそのまま利用している」と紹介する。


マイクロソフト業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏
 マイクロソフト業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の五十嵐光喜氏は、「BizTalk Server 2006は、SOAとビジネスプロセスの統合を担う製品として使われている。主に自社内での利用が中心だったが、今後は企業間での利用も進んでいくだろう」と紹介。今回のプロトタイプシステムでは、RFIDデバイス向けに開発キットを用意することで、開発を容易にしている。また、.NET Frameworkのサービス連携技術であるWCF(Windows Communication Foudation)を利用することで、あらゆるアプリケーションとの連携も実現している。


 今後の展開について村上氏は、「研究を重ねていき、商用サービスへの展開を目指す」としている。




URL
  株式会社NTTデータ
  http://www.nttdata.co.jp/
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  ニュースリリース
  http://www.nttdata.co.jp/release/2008/042300.html


( 福浦 一広 )
2008/04/23 14:44

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