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BSMシニアアーキテクトの松本浩彰氏
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BMCソフトウェア株式会社(以下、BMCソフト)は4月23日、企業内のITIL導入を促進する新教育プログラム「BSM Activation」を発表した。ワールドワイドの教育コンテンツプロバイダである株式会社ITプレナーズとの協力の下、BMCソフトが体系化し、同日から提供を開始する。
ITIL(IT Infrastructure Library)とは、イギリス政府が策定したコンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン。数冊の書籍の形でまとめられており、4月からは最新の「ITIL Ver.3」日本語版の出版も順次開始されている。
BMCソフトでは以前よりこの分野の事業を手がけており、その実績も「予定通りに推移。国内のITIL Foundation資格保有者も4万人となり、ITILへのユーザー視点は広まってきている」とBMCソフト、BSMシニアアーキテクトの松本浩彰氏は語る。
しかし一方で、ITILを使いこなせるマネージャレベルの人材(ITIL V3 Expert資格保有者)は、2007年末時点でたったの167人。他国と比べても、特異なまでに日本ではリーダーが育っていないという。「リーダーが育たないため、ITILプロジェクトについて経営的な理解が得られず、本来手段であるはずのITIL導入が目的化してしまっている。結果、導入が終わった時点で社内の推進力が失われ、PDCAサイクルの運用が進まない例がたくさんある」(同氏)のが現状なのだ。
こうした課題を解決すべく、真に現場のリーダーになりうる人材を迅速に養成するのが、BSM Activationの狙いという。
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トレーニング内容
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内容は、ITILに対する経営的視点を養う「ITILリーダー養成」と、ITIL FoundationやITIL V3 Expertに主眼を置いた「ITIL実務者養成」の大きく2本立て。個人を対象にしたものではなく、企業のITIL導入プロジェクトメンバー全員を対象としているのが特徴で、ITILリーダー養成コースで、個々の企業の特性を踏まえつつ受講者全員のベクトルを合わせ、ITIL実務者養成コースで、現場で必要となるスキルの教育を行う。
各コースを詳細に見ると、ITILリーダー養成は、SWOT分析やリスク分析、戦略マップ構築などの知識を学ぶ「BSM実践コースI」と、実践ワークショップを通じてじかに体感する「BSM実践コースII」の2つから構成。ITIL実務者養成は、「ITIL V3 Foundationエッセンス」、ゲーム感覚でITILの必要性を体感する「Airport Simulation」、「ITIL V3 Expertエッセンス」の3つから構成されており、この3つに関してはITプレナーズが提供する。
「全5つのコースが1つのシナリオで結ばれている」(松本氏)のが特徴で、受講者は一貫してすべてを受講する形。定員はいずれも20名。日程はITIL V3 Expertエッセンスのみ2日、それ以外は1日と、比較的短期間である。
日数が少なめなのは、「同プログラムが資格取得を目的としたものではないため。一般的に、資格取得まで含む教育プログラムではより多くの日数を要するが、資格よりも、いち早くリーダーとなる人材を育てることに着眼しているため、受講内容のレベルは維持したまま日数を短く凝縮した」(松本氏)とのこと。
また定員が20名と多めなのは、企業内でのスキル共有を推進するためだ。「ITIL導入は企業にとって1つの変革だが、変化するときには何のための変化なのか、組織レベルで理解することが重要。またITILは組織自体の戦略に基づいて応用していかなければならない。そこでリーダーを1人育てるのではなく、リーダー候補者も含めて、ITILプロジェクトに関わる全メンバーに同じスキルを共有してもらうために、定員数を多くとった」(同氏)とした。
価格は、BSM実践コースI/IIが10名までで35万円(税別)、20名までの追加料金は1名当たり2万円(同)。ITIL V3 Foundationエッセンスが10名までで45万円(同)、追加料金は1名当たり2万5000円(同)。Airport Simulationが16名までで40万円(同)、追加料金は1名当たり2万5000円(同)。ITIL V3 Expertエッセンスが10名までで80万円(同)、追加料金は1名当たり5万円(同)。
松本氏は、「戦略構築のスキルを日常的に手の届く内容、価格で提供していく。戦略は重要だが、そのために必要な基礎的なアイデアは複雑なものではない。また、米国ではマネジメントはテクニックで学問であるように、管理スキルは経験ではなく理論として把握しうる。日本のITIL V3 Expert試験の合格率が低いのも、知識や論理的思考の手段が不足しているのが原因なので、BSM Activationプログラムを通して得た知識を、ITIL運用の問題を打破するエンジンにしてほしい」と語った。
■ URL
BMCソフトウェア株式会社
http://www.bmc.com/ja_JP/
株式会社ITプレナーズ
http://www.itpreneurs.co.jp/
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( 川島 弘之 )
2008/04/23 15:24
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