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米Coverity、マルチスレッドアプリ向けの動的解析ツール

並列処理の欠陥を予測して検出

Coverity日本支社 日本アジア担当マネージングディレクターのリッチ・セルート氏
 米Coverityは5月12日、動的解析ツール「Coverity Thread Analyzer for Java」を日本国内で販売開始したことを発表した。マルチスレッドアプリケーション向けの初めての動的解析ツールで、データ破壊やアプリケーション不具合の原因となる並列処理欠陥を自動的に検出し、マルチコア環境への移行を促進する。

 新製品の発売にあたりCoverity日本支社 日本アジア担当マネージングディレクターのリッチ・セルート氏は、「当社では、2002年に業界最高レベルの静的解析ツールCoverity Preventを提供し、現在、全世界で400社以上の顧客に導入実績をもつ。日本市場での導入実績は40社を超えており、顧客からも高い評価を得ている。今回、新たに投入する動的解析ツールでは、開発プロセスのQA段階で解析を行い、ソフトウェアの品質向上をさらに促進させることができる。今後、静的解析ツールと動的解析ツールを両輪として、ますます複雑化するソフトウェアの品質向上とソフトウェア開発の効率化向上に大きく貢献していきたい」と述べている。

 「Coverity Thread Analyzer for Java」は、マルチスレッドアプリケーション開発のQA段階で実行時のコードを観察し、独自のスレッド解析によって、競合状態やデッドロックといった並列処理における欠陥を自動的に予想して特定する。限定されたテスト環境で発生する問題だけでなく、実行環境でこれから発生する可能性がある問題も事前に検出できるのが特徴で、デッドロックでは、テスト環境では発見できない、運用環境でシステムハングとサービス停止の原因となる欠陥を検出する。競合状態については、ソースコードを変更することなく自動的にバイトコードを解析し、データ破壊の原因となる致命的なバグを高精度で検出することができる。

 開発者は、同製品からレポートされるスレッド共有データにより、ロックのメカニズムを使用する場所をチェックすることで、既存および潜在的な並列処理の問題を事前に見つけ、実行時に不具合を引き起こす前に排除できる。


ソフトウェア開発プロセスにおける解析ツールの役割 デッドロックを事前に検出 競合状態を検出

米Coverity CTOのベン・シェルフ氏
 もう一つの大きな特徴は、動的解析に関連するオーバーヘッドの大幅短縮を実現した点。米Coverity CTOのベン・シェルフ氏は、「他社の動的解析ツールでは、解析するソフトウェアシステムのメモリや実行時オーバーヘッドが10~100倍になるのに対して、当社の新製品では、大部分のプログラムで2倍程度と、業界で最も低いオーバーヘッドを実現している」と説明した。

 さらに、静的解析ツール「Coverity Prevent」と連携することで、製品間での情報共有機能による複合解析が可能となる。一方の技術の強みが他方の技術を補完して強化する独自の方法で、静的解析と動的解析を統合し、Java開発者の包括的な解析ソリューションを実現。速度低下、不具合、およびクラッシュの原因となる並列処理や他の重要なコード欠陥を特定して排除する。

 このほか、Eclipse IDEの統合によって、並列処理における欠陥を素早く検出し、ユーザーが即座に修正対応できるため、ソフトウェアの開発時間全体を短縮することも可能となっている。



URL
  米Coverity(日本語)
  http://www.coverity.com/index_jp.html
  プレスリリース
  http://www.coverity.com/html_ja/press_story35_05_12_08.html


( 唐沢 正和 )
2008/05/12 16:55

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