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日本オラクル、Web 2.0対応のSaaS型CRM「Oracle CRM On Demand R15」


 日本オラクル株式会社は5月20日、SaaS型CRM(顧客関係管理)アプリケーションの新版「Oracle CRM On Demand Release 15」を発表した。価格は1ユーザーあたり月額8750円(税別)で、同日より提供を開始する。

 Oracle CRM On Demandは、月額課金形態で提供されるSaaS型CRMアプリケーションで、以前は「Oracle Siebel CRM On Demand」の名称で提供されていた。特徴は、業種別のプロセスやデータモデルなどを内包し、カスタマイズ性に優れる点。またSaaS型での提供のため、最小の初期投資で利用できることもメリットという。


セールスコンサルティング統括本部 CRM SC部 シニアセールスコンサルタントの山瀬浩明氏

Web 2.0対応により、Oracle CRM On Demandを起動させなくとも、ビジネス情報が利用可能になるという
 今回の新版では、こうした特徴はそのままに、コラボレーション機能と分析機能の強化、Web 2.0対応などが行われている。まずコラボレーション機能では、ユーザー間でメッセージをやりとりできる機能を搭載。「やりとりをすべて(Oracle CRM On Demandの)ログに残せため、関連する情報の検索を一回で行うことができる」(セールスコンサルティング統括本部 CRM SC部 シニアセールスコンサルタントの山瀬浩明氏)ようになった。これにより、メールはメール、CRMはCRMというように、情報が分散するのを防げるという。

 またWeb 2.0対応では、Oracle CRM On Demandのコンポーネントを外部のポータルサイトや、デスクトップガジェットとして取り出せるようになった。逆に、インターネット上のコンテンツをOracle CRM On Demandのコンポーネントとして表示することもできる。こうしたことのメリットについて、製品戦略統括本部 アプリケーションビジネス推進部 ディレクターの塚越秀吉氏は「例えば、詳細な地図情報とのマッチングにより、エリアマーケティングに効果的に利用できる」と説明。また山瀬氏も、「ガジェットを利用すれば、自分から見に行かなくても、PCを立ち上げると、自動的にデスクトップへ情報が表示される。例えば、この中に、一定期間放置している顧客をアラート表示するように設定することも可能で、そうした気づきをユーザーに与えられる点がメリット」と、具体的な例を挙げて説明した。

 さらにWeb 2.0対応の一環として、モバイルデバイスのサポートも進めている。この特徴は、「オンラインとオフラインのハイブリッド型」(山瀬氏)である点で、よくアクセスする情報(ペアレントオブジェクト)については、事前にサーバーと同期させたコンテンツをオフラインで利用し、そうでないものについてはオンデマンドでのアクセスを行う、といった方式を採用する。これによって、外出時の通信量を削減し、ユーザビリティを向上させるとした。キャリアは、NTTドコモのiモードから対応をはじめ、ほかのキャリアへの対応も順次進めていく計画という。


KPIに対する達成率に応じて、動的に表示するコンテンツを変更できる
 最後の分析機能の強化については、ガイドナビゲーション機能を新たに搭載した。これは、「あらかじめ設定したKPI(主要な業績の評価指標)に対して、最適な業務を推奨する」(山瀬氏)機能。Oracle CRM On Demandはもともと、多次元チャートでの分析機能など、高い分析能力を持つというが、新機能では事前に定義されたKPIに対する達成率をモニタリングし、その結果に応じて、最適なレポートや入力画面を動的に表示できる。これによって、例えば、「達成率が高い営業には確度の高い案件リストのみを表示したり、達成率が低い営業には、より刈り取りを促すために案件をすべて表示したり、といった動的な画面表示が可能になる」(山瀬氏)。

 なお塚越氏は、Oracle CRM On Demandにおける機能以外の特長も紹介した。SaaSでは、同一環境でサービスを複数の顧客へ提供する「マルチテナント」を採用する場合が多く、それが特色とされている。しかしOracle CRM On Demandでは、ほかの顧客と切り離された「プライベート・ポッド」環境でサービス提供したり、顧客のデータセンターやサーバーを利用しつつ、管理は米Oracleが請け負う「@Customer」といった形態を提供したりできることをアピール。セキュリティに敏感な企業や、コンプライアンス上、環境を共有する一般のSaaSが利用しにくい企業であっても利用可能とした。@Customerは、まだ国内では提供されていないが、今後、ニーズに応じて提供を検討していく予定である。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1861


( 石井 一志 )
2008/05/20 17:11

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