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シマンテック、買収したAltirisのITライフサイクル管理新製品を一斉発表


Altirisのソリューションで実現するITライフサイクル管理

Altirisの3つの構成要素

Altirisビジネスユニット 営業部長の諸橋隆也氏
 株式会社シマンテックは5月21日、米Symantecが2007年に買収した米AltirisのITライフサイクル管理事業を強化すると発表した。構成管理データベース(CMDB)「Altiris CMDB Solution(以下、CMDB Solution)」や、同社のエンドポイント製品と連携させるための「Symantec Endpoint Protection Integration Component(以下、SEPIC)」などを、6月30日より一斉発売する。

 Altirisは、1998年設立の主にシステム管理製品を提供してきた企業。Symantecとは2007年1月に統合を果たしている。「クライアント管理」「サーバー管理」「資産とサービス管理」の3つの要素から構成される主力のAltirisソリューションでは、複雑化する企業内のIT資産をCMDBを中心にまとめ上げることで、PCやサーバーをライフサイクルに沿って一元管理することが可能になる。

 具体的には、PC・サーバーのハードウェア種類の把握、インストールされたアプリケーションとそのバージョンの把握、不足したソフトの把握および配信、特定アプリケーションの使用制限、アプリケーション購入情報・契約形態の把握など、コンプライアンスの順守とセキュリティ対策の強化を実現する、さまざまな機能が提供される。各機能はモジュール化されており、Webコンソールにプラグインすることで、例えばハードウェアとソフトウェアのインベントリ、アプリケーション配布、といったように必要な機能だけを利用できるのが特徴だ。

 新製品としては、クライアント管理における「オンラインバックアップ・リカバリ」、サーバー管理における「リカバリ」「リアルタイムシステムマネージャー」「Webベースの修復」「スナップショットの自動取得」、資産とサービス管理における「CMDB Solution」などの多彩なモジュールが提供される。

 その中でも中核となるのが、CMDB Solutionである。Altiris製品では、社内のリソースをCI(Configuration Item:構成アイテム)と呼ぶ。すでに一部提供済みのAltris製品でも、このCIを新規作成する機能、CIの関連性をグラフィカルに表示する機能などが、ビルトイン形式のCMDBとして提供されていたが、今回のCMDB Solutionでさらに柔軟な管理が可能になる。

 例えば、CIの自動検出およびメンテナンス、外部データの調整、ユーザー・タイプ別にデータをフィルタリングする変更履歴、強化されたレポーティングなどが可能。これらにより、さらに低コストで柔軟なITライフサイクル管理が実現するとしている。

 Altirisビジネスユニット 営業部長の諸橋隆也氏によれば、「このCMDB Solutionを中核に、ほかの分野のソフトウェア製品も連携させていく予定」とのことで、「今後、シマンテックにとって重要な製品となっていく」という。

 すでに「Symantec Endpoint Protection(SEP)」との連携が決まっており、今回、Altiris管理プラットフォームにSEPを統合する無償ツール「SEPIC」の提供も発表。連携させることで、SEPクライアントのインストール、レポート機能、統合タスクの実行、SEPクライアントへのヘルスチェック機能などが、Altiris管理プラットフォームから行えるようになる。


 Altirisのソリューションには、このほか「Software Virtualization Solution(以下、SVS)」「Realtime System Manager(以下、RSM)」など、豊富な機能が搭載されている。

 SVSは、アプリケーション単位で仮想化を行い、クライアントへ簡単に配布できるようにする機能。クライアントPC上に「FS Filter Driver」というレイヤを作り、その上で仮想アプリケーションを動かすことで、ほかのアプリケーションとの競合を回避。同一アプリケーションの複数バージョンを同居可能にするほか、再起動を伴わないアプリケーションのインストール・アンインストールなどが可能になる。

 一方のRSMでは、「インテル vProテクノロジー」と連携して、クライアントPCをスケジュールに従ってリモートで電源オン・オフすることが可能になる。諸橋氏は「IT機器の中ではPCによるCO2排出量がもっとも多い。夜間など利用していないときに電源を一括オフすることで、グリーンITにも貢献できる」とアピールした。そのほかSOL(Serial-Over-LAN)を介して、遠隔地からクライアントPCのBIOS設定を変更する機能も搭載している。


アプリケーション仮想化を実現するSVS デスクトップPCの電力を削減するArtiris製品 vProと連携して、リモートPCの電源をオン・オフ可能

 価格例としては、CMDB Solutionが112万7700円/同時接続ユーザー。

 なお諸橋氏は、「ITライフサイクル管理製品としては後発となるが、これ以外のシマンテック製品との連携を強みとして、他社にはできないことを実現していく」と、他社製品との優位点を語った。



URL
  株式会社シマンテック
  http://www.symantec.com/ja/jp/
  ニュースリリース
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20080521_02
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20080521_01

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( 川島 弘之 )
2008/05/21 18:39

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