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SAS、セキュリティや分析機能を強化したBI基盤の最新版「SAS 9.2」


SAS 9.2の強化点
 SAS Institute Japan株式会社は5月26日、BI(Business Intelligence)基盤の最新版「SAS 9.2」を発表した。2008年第3四半期の出荷を予定している。

 SAS 9.2は、企業内に散在するデータの統合・蓄積、予測的分析、可視化、共有化といったプロセスに対応したインテリジェンス基盤製品。統合メタデータアーキテクチャの採用により、企業内の各種データをメタデータ化して一元的に管理できるのが特長。これにより、すべての変更をメタデータを介してプロセス横断的に反映できるので情報活用のスピード化を実現。また、すべての変更をメタデータを介して一元的に参照できるため、一貫性を維持できるとしている。

 ベースとなるEIA(Enterprise Intelligence Architecture)では、ロールベースの権限管理の強化や、シングルサインオン対応などセキュリティ関連機能を強化。また、企業のコンプライアンスを意識し、システム管理者側で稼働状況のモニタリングやログ管理といった機能も強化されている。そのほか、x64系のプロセッサをネイティブサポートしたり、VMware ESX Serverやターミナルサービスなど仮想化技術への対応も強化されている。

 ETL(Extract/Transform/Load:データの抽出/加工/ロード)関連では、DataFLux社のETLツールの日本語版を統合することで、データ統合機能を強化。また、ユーザーインターフェイスおよびデバッグ機能の強化により、使い勝手の向上も図られている。

 ストレージ関連では、OLAPキューブへの差分更新を採用。バッチ処理時間の大幅な削減を実現したとしている。また、多様なデータソースを意識することなく利用可能にする統合ハブ機能「SAS Table Server」を用意している。

 分析機能では、将来予測モデルや最適化のためのアルゴリズムを強化。また、グラフィック出力機能の強化も行われている。

 BI機能では、タイルグラフなどグラフの種類を増やすことで、表現力を強化。また、レポーティング時の条件指定機能の拡張やドラッグアンドドロップによるレポート作成機能など、操作性の向上も行われている。

 最小構成時の価格は650万円から。標準構成時で3000万円程度。


代表取締役社長の吉田仁志氏
 BI市場の現状について、同社代表取締役社長の吉田仁志氏は、「多くの企業は、株主から企業価値の最大化を求められたり、製品の出荷サイクルの短期化・他品種化といった複雑な課題に対応することが求められている。また、コンプライアンス対応、環境保護への対応など、投資効果が見えにくい面での対応も求められている」と、経営者にとって非常に大変な時代になっていると指摘。「こうした課題に対応するためには、全社最適化や情報の戦略的活用などが不可欠」と、ITをいかに戦略的に利用できるかが重要と述べた。

 同社では、今回発表されたSAS 9.2を基盤とし、業種別のソリューション、業界別のソリューションを用意。これらにより、単純なBIツールではなく、経営や業務の課題解決を行えるインテリジェンス機能まで提供できるとしている。「多くのBIツールは情報の“見える化”だけを実現しているが、弊社の製品は見える化だけでなく、なぜそうなっているのかを“分析”し、この先どうなっていくかを“予測”し、最適な選択肢を知る“最適化”までを実現できるのが最大の特長。企業経営に“予見力”を提供できるのが、弊社の製品だ」(吉田氏)と、他社のBIツールとの違いを強調した。



URL
  SAS Institute Japan株式会社
  http://www.sas.com/jp/


( 福浦 一広 )
2008/05/26 16:51

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