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日本ユニシス、次世代IDC基盤をベースにしたSaaS事業を展開

自社、パートナーのSaaSを集約して統合サービスを提供

常務執行役員 ICTサービス本部長の角泰志氏

日本ユニシスグループのICTサービス

次世代IDC基盤によるSaaS事業の全体図
 日本ユニシス株式会社は6月4日、同社グループが構築する次世代IDC基盤をベースに、自社およびパートナー企業のSaaSを統合し、顧客にワンストップでサービス提供するSaaS事業を展開すると発表した。

 常務執行役員 ICTサービス本部長の角泰志氏は、同社がSaaS事業を展開する背景と狙いについて、「日本市場でもSaaSに取り組むメーカーが増え、市場規模もさらに拡大していくことが期待されている。しかし、現時点では、まだSaaSの市場は本格的に立ち上がっていないのが実状。こうした背景の中、SaaSの開発や運用に十分な次世代IDC基盤を実現することで、当社がSaaS市場立ち上げのけん引役を担っていく。次世代IDC基盤の構築を機に、当社グループのもつサービス提供型のICTサービス、さらにはパートナー企業のSaaSを組み合わせたトータルソリューションを提供し、他社に先駆けてシステムインテグレータからサービスインテグレータへの変革を目指す」と述べている。

 SaaS事業の展開にあたっては、積極的に業界各社と協業を進め、SaaSやホスティングサービスを提供する基盤として、最新鋭の技術を採用した「次世代IDC基盤」の構築を進めていく。具体的には、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、シスコシステムズ、ネットアップと協業し、サーバー/ネットワーク/ストレージの仮想化技術や、RBA(Runbook Automation)技術を駆使した運用インフラの自動化といった最新技術を取り入れ、省電力で高品質の基盤を迅速に提供し、信頼性の高いデータセンター運用を目指す。

 次世代IDC基盤における協業で、日本HPは第3世代ブレードサーバー「HP BladeSystem c-Class」、IT運用管理ソリューション「HP software」をはじめとした仮想化、自動化、省電力などの最先端ソリューションを提供。シスコシステムズはビジネス変化に柔軟に対応できる統合化および仮想化ネットワークソリューションを提供。ネットアップは拡張性・柔軟性に優れた高信頼の最新ストレージソリューションを提供する。

 また、日本ユニシスのデータセンターを補完するバーチャルデータセンター環境として、米Amazon.comが提供する「Amazon Web Services(AWS)」などのインフラリソース・サービスを積極活用していく。AWSのインフラリソース・サービスは、Amazon.comが所有する堅牢かつ膨大なコンピュータ資源をオンラインで提供する、サーバー「EC2(Elastic Compute Cloud)」、ストレージ「S3(Simple Storage Service)」、データベース「SimpleDB」などで構成され、全世界で37万ユーザー(ID)の実績をもつ。「AWS」をバーチャルデータセンターとして活用することで、中堅・中小企業向けのストレージサービスやサービスプロバイダのSaaS事業用ホスティングなどのニーズに対し、即座に対応可能となる。


次世代IDC基盤の概要 バーチャルデータセンターの概要

PaaSの概要

サービス連携ソリューションの例
 さらに、この次世代IDC基盤をベースに、SaaSの開発・実行環境をオンラインで提供する「PaaS(Platform as a Service)」を展開する。PaaSは、ビジネスプラットフォームとITプラットフォームで構成され、日本ユニシスのSaaSだけでなく、パートナー企業のソリューションをSaaS化して、次世代IDC基盤に搭載していく。これに向け、きっとエイエスピーと協業し、同社のSaaS化プラットフォーム「Kit Application Service Platform」を活用して共同でPaaS事業を進めていく方針。具体的には、PaaS事業のビジネススキーム確立、PaaSの共同開発と評価、PaaSの運営体制の整備などを予定している。

 そして、2009年春をめどに、次世代IDC基盤上に搭載された自社およびパートナーのSaaSと、ネットスイートやオラクル、マイクロソフトなどパートナー企業のデータセンターで提供されるSaaSを集約するワンストップポータルとして、「ビジネスパーク」を公開する計画。「ビジネスパーク」では、顧客ニーズにあわせてSaaSをカスタマイズ、マッシュアップしてサービス統合し、最適な組み合わせで提供していく。

 サービス連携の例としては、「NetCommons」で構築したコミュニティサイトと教育ソリューション「RENANDI」、ネットマークスの「OfficePlanetメール」をシステム連携し、統合教育ソリューション「RENANDI SaaS Edition」として提供できるという。



URL
  日本ユニシス株式会社
  http://www.unisys.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.unisys.co.jp/news/NR_080604_idc.html


( 唐沢 正和 )
2008/06/04 16:23

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