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日本HP、「Adaptive Infrastructure」の根幹となる新たな管理ソフト

物理・仮想・マルチプラットフォームを一元管理

HP ID-VSEのトップ画面
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6月5日、同社製サーバー・ストレージの統合管理を実現する次世代管理ソフト「HP Insight Dynamics-VSE(以下、HP ID-VSE)」を発表した。同日より順次出荷を開始する。

 HP ID-VSEは、「HP Integrity」「HP ProLiant」「HP BladeSystem」「HP StorageWorks」などのマルチプラットフォーム環境を1つのビューで管理できるソフト。物理環境だけでなく、仮想化環境を前提とした、柔軟なシステム配備やシステムを横断したキャパシティプラニングの支援など先進的な管理機能を備えている。

 日本HPでは、「HP Adaptive Infrastructure」というコンセプトを打ち出し、24時間365日自動化され、プール化されたリソースを必要に応じて再構築できる次世代データセンターの実現を目指している。6月2日には、そうした次世代データセンターへの移行を支援する「HP DCTポートフォリオ」を発表し、事業部横断での取り組みを開始したところだ。今回の新製品もこのHP DCTポートフォリオに含まれるもので、「今後発売されるサーバーやストレージは、このHP ID-VSEの利用を前提として開発する」(日本HP)とアナウンスするほど、戦略的に重要な製品として位置づけている。

 最大の特長は、仮想環境も含め異種プラットフォーム環境を一元管理できることだが、「プール化されたリソースを必要に応じて再構築する」という構想にも現実味を与える製品内容となっている。


仮想環境も含め異種プラットフォームを一元管理

物理・仮想・マルチプラットフォーム環境を1つのビューで管理
 ます最初に挙げられる特長は、単一画面上から異種プラットフォーム環境の管理を行えること。例えば、「HP-UX」が稼働するHP Integrityサーバーと、WindowsやLinuxが稼働するHP ProLiantサーバーを同じ画面で確認できる。さらにVMwareや「HP VSE(Virtual Server Environment)」による仮想サーバーも同様に管理が行える。

 従来よりハードウェアコンポーネントのヘルスチェックを基本機能とする「HP Systems Insight Manager(HP SIM)」という管理ソフトが提供されているが、これを機能拡張し、さらに広範なターゲットを一元管理できるようにするのが、HP ID-VSEということになる。

 2台のHP BladeSystemエンクロージャを管理したとすると、その中に格納された個々のブレードサーバー、その上で動く仮想マシンなどが階層化されて表示される。それぞれのシステム情報などは、マウスをポイントするだけで即座に確認できる。管理者は複雑な環境もシンプルに管理することが可能になる。


2台のHP BladeSystemエンクロージャを管理。中に搭載された各種ブレード製品、その上の仮想マシンが一元表示されている 各リソースのシステム情報や使用率の情報などを確認 仮想マシンのみを表示するなどソート機能も備える

仮想化の柔軟性を物理サーバーにも適用

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト・マーケティング部長の赤井誠氏
 統合管理できるだけでなく、物理・仮想サーバーの配置・移動の管理を効率化できるのも大きな特長である。それを可能にするのが仮想サーバーと物理サーバーを切り離して管理し、自在にマッピングさせることができる「Logical Server Manager(以下、LSM)」という機能。物理・仮想サーバーの固有情報をプロファイル化として管理することで、サーバーの柔軟なプロビジョニングが可能になる。

 「VMware VMotion」に代表されるように、仮想マシンの移行技術は、仮想化を行うこと自体の主要なメリットの1つだ。LSMでは、「その柔軟性を物理サーバーにも適用できる」(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト・マーケティング部長の赤井誠氏)のが特長となる。

 例えば、あるブレードサーバー上で動く仮想マシンを別のブレードサーバーに移行しようとした場合、HP ID-VSEでは、ドラッグ&ドロップのみで行うことができる。それと同じことが物理サーバーでも可能。あるブレードサーバーから取得したプロファイルを別の物理サーバーに移行したり、あるいは利用していないWebサーバーを一時的に非アクティブ化して別の用途で用いるといったことも可能だ。


LCMの概要 ドラッグ&ドロップの操作のみで仮想・物理サーバーのプロファイルを移行できる

移行に伴うキャパシティプランニングも容易

キャパシティプランニングの結果を5つ星で評価
 前述のようにサーバーを移行する際、もしくは管理者が新規に仮想サーバーを立ち上げたり、システム統合を検討する際に、ターゲットのシステムが必要なキャパシティを備えているか、移行してパフォーマンスなどに問題が出たりしないか、管理下のサーバーすべてに対してキャパシティプランニングを行う「Capacity Advisor」という機能も搭載している。長期的な運用履歴情報が収集できるため、「これまで数カ月もかかる上に信頼性のなかったキャパシティプランニングを、高精度に、日単位で行うことが可能になる」(赤井氏)という。また分析に当たっては、「CPUやメモリの性能だけでなく、電源、ネットワークやストレージの帯域の余裕度も加味して重み付けを調整できるため、システムポリシーに合わせた判断が可能」(同氏)としている。

 こうして行われたキャパシティプランニングの結果は、5段階で評価され、5つ星のグラフィックにより一目で判断できるようになっている。仮想マシンの移行などをドラッグ&ドロップで行う際、どの物理サーバーに移行すればよいかは、管理画面上に表示された星の数を見れば容易に判断できるというわけだ。


長期的な運用履歴情報を収集。そこから将来の運用状況を予測することもできる レガシーシステム10台を統合する際のキャパシティプランニング例。何台のサーバーで統合できるか、その場合の電力消費量削減率はどれくらいか、などが測定できる

さまざまな管理機能もHP ID-VSEへ統合

 上記の機能以外にも、HP SIMおよび各プラットフォーム用に提供されるさまざまな管理機能を、HP ID-VSEへ統合し、将来的に開発される新たな管理機能も、同製品への統合を前提として設計するとしている。ソフトウェア事業にも力を入れる日本HPでは、さまざまな管理ソフトを提供しているが、次世代データセンター実現という方向性においては、やがてHP ID-VSEへ完全に統合される日が来るのかもしれない。

 ライセンスはProLiant・Integrity環境向けの2種類。ProLiant環境向けとしては、タワー型・ラックマウント型サーバー向けのライセンスと、ブレードサーバー向けのライセンスが提供され、価格はいずれも18万円(税別)/サーバーから。Integrity環境向けとしては、仮想化環境導入に必要なコンポーネントをパッケージした「VSE 4.0」に対応したライセンスが提供され、価格は10万5000円(同)/プロセッサコアから。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2008/fy08-118.html

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( 川島 弘之 )
2008/06/05 17:39

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