|
執行役員兼事業推進本部長の森蔭政幸氏
|
|
代表取締役社長兼CEOの矢野広一氏
|
ターボリナックス株式会社は6月10日、新クライアントOS「Turbolinux Client 2008」を発表した。同日よりオンラインで先行予約を受け付け、8月8日より全国の量販店およびオンラインショップにて販売を開始する。
同製品はクライアント向けのLinux OS新版。「デスクトップだけでなく、ノートPC・組み込み機器・モバイル製品など幅広い端末での利用を想定したのが特長」(執行役員兼事業推進本部長の森蔭政幸氏)という。
その広範さや手軽さを実現するために、1枚のCD-ROMからシステムを起動する仕組みを採用した。起動用の「LiveCD」がWebサイト上で無償提供されており、これを使えば誰でも、OS自体をHDDにインストールせずに、ネットワークや周辺機器の動作確認が行え、かつWebやメール、オフィススイートなどの一連のアプリケーションを試すことができる。HDDにインストールすることも可能だが、USBメモリなどの可搬性記録デバイスへのインストールも可能にするなど、手軽さをより強調している。LiveCDはあくまで試用版で、開発環境などのフル機能は提供されないが、「Linuxを気軽に試す環境として最適だ」(森蔭部長)としている。
代表取締役社長兼CEOの矢野広一氏は、新製品を「インターネットOS」と表現する。その言葉で思い浮かぶキーワードは、インテルが4月に発表した小型のモバイルインターネット端末(以下、MID)向けCPU「インテル Atomプロセッサー」だ。Turbolinux Client 2008では、同技術に対応。さらにMIDの操作性を高めるため、小型画面やタッチパネル式のインターフェイス「Mobiln」なども標準搭載している。
昨今、ASP/SaaSの台頭により、企業におけるPCの利用形態において変化が表れ始めている。アプリケーションは次第にHDDにインストールして利用するものでなくなってきているのだ。そうした時代に向けて、ターボリナックスでは、クライアントOSを“Desktop”のみの用途から解き放とうとしているようだ。
それは前述の新機能・新技術対応からくみ取れる。また、矢野社長の「旧バージョンにTurbolinux 10 Desktopという名称のものがあるが、今回はこの“Desktop”という単語を“Client”に変えている。“Desktop”は文字通り、机上のPCを指すが、“Client”という言葉からはさまざまな可能性が感じられる」という言葉からもうかがえる。
こうした思いを同社では「ユーザビリティだけでなく、エコロジー・エコノミー・セキュリティ・メンテナンス・カスタマイズなど、あらゆる面で“Fit”するOS」というコンセプトで示している。「推奨スペックもずいぶん低いものになっている」(森蔭部長)。さらにFit感をさらに高めるために、特定業務向け専用端末や組み込み機器向けには、カスタマイズおよびサポートサービスも包括的に提供していく方針も見せている。
|
|
|
軽量・軽快1CD Linux
|
モバイル端末への最適化
|
推奨動作環境
|
|
ユーザーフレンドリーなデスクトップ環境
|
|
主要コンポーネントも一新
|
とはいえ、従来通りユーザビリティの強化も怠っていない。複数のデスクトップ画面を立体表示できる、感覚的な操作が可能な「3Dデスクトップ」を採用するなど、「ユーザーフレンドリーなデスクトップ環境を実現」(森蔭部長)している。
基本システムとなるコア部分には、仏Mandrivaと共同開発した「Manbo Core」を採用し安定性を高めた。GPLとして公開されるManbo Coreは、その安定性のほか、オープンソースならではのバージョンアップやセキュリティホール対応の迅速性が売りだ。
加えて、OSそのもののセキュリティを高めるため、NTTデータがオープンソースとして公開している「TOMOYO Linux」も採用した。Linuxカーネルにセキュリティ強化機能を付与するためのパッチおよびツール群のことで、“学習モード”で試験運用するだけでプログラムの起動履歴、ファイルへのアクセス履歴を収集し、自動的に最適なセキュリティポリシーを定義してくれるのが特長。先だってサーバー向けOSの最新版「Turbolinux 11 Server」に実装されていたが、クライアントOSに採用されるのはこれが初となる。
アプリケーションとしては、日本語環境のサポートとして「ATOK X3 for Linux」「IPAフォント」「リコーTrueTypeフォント」、Microsoft OfficeやOpenOffice.orgと互換性を持つオフィススイート「StarSuite」、Windows Mediaコンテンツを再生する「Turboメディアプレーヤー」や「wizpyコンテンツダウンローダー」など多数収録している。
ラインアップは、ダウンロード版の「Online Product Package」と、パッケージ版の「Net User Package」および「Full Disk Package」の3種類。Full Disk Packageにはフル機能を収録したオプショナルCDが付いてくる。Net User Packageでは、これらの機能をネットワーク経由でダウンロードすることで利用できる。価格はそれぞれ、7800円、9800円、1万2800円。
■ URL
ターボリナックス株式会社
http://www.turbolinux.co.jp/
Turbolinux
http://www.turbolinux.co.jp/products/tlc2008/
■ 関連記事
・ エッジ環境向け最新サーバーOS「Turbolinux 11 Server」(2007/10/31)
( 川島 弘之 )
2008/06/10 16:45
|