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マイクロソフト、“PCと変わらない管理性”を備えた「Windows Mobile 6.1」

管理性をてこに法人導入を促進

モバイル&エンベデッドデバイス本部長の梅田成二氏

Windows Mobile 6.1の強化ポイント
 マイクロソフト株式会社は6月18日、携帯端末向けプラットフォームの最新版「Windows Mobile 6.1 日本語版」を発表した。同時に、Windows Mobile端末のセキュリティや管理を強化する「Microsoft System Center Mobile Device Manager 2008 日本語版(以下、SCMDM 2008)」の提供も開始し、企業導入をさらに推進していく。

 Windows Mobile 6.1では、「企業ユーザーからのニーズに完全対応し、操作性の向上、生産性の向上、管理機能の向上を3本柱に機能強化を図った」(モバイル&エンベデッドデバイス本部長の梅田成二氏)のが特長。

 具体的には、初期設定を容易化するウィザードやBluetoothのペアリングを自動化する機能を搭載。Webブラウザでは、ズームやスクロールといった操作を可能にし、操作性向上を図った。ホームスクリーンも改善されており、スライドパネル式の操作で、予定表やボイスメール・不在着信・新着メールの有無、各種Windows Live機能の把握・活用が可能になっている。

 メッセージング機能でも、閲覧性を向上するため、SMSのスレッド化を実現するとともに、受信名の自動コンプリート機能も搭載した。また、メモリやCPUの使用率が参照できるタスクマネージャの実装で、生産性を高めている。

 こうした機能強化の中でも目玉となるのが、SCMDM 2008による管理性の向上だ。SCMDM 2008は、簡単にいえば「Windows Mobile 6.1搭載端末においてPCレベルの管理およびセキュリティを実現するもの」(同氏)。社外の端末とやり取りするゲートウェイとデバイスの登録・管理を行うサーバーを構築することで、効率的な端末・セキュリティ管理とモバイルVPNを実現する。

 これにより、Windows Mobile端末のロールベース管理を実現。アプリケーションの配布、インベントリ管理、SQL Server 2005を利用したレポーティングなどが行えるようになる。Active Directoryドメインへ参加させることもできるため、グループポリシーを適用することも可能だ。セキュリティ機能としては、カメラやBluetoothなど特定機能の利用を制御したり、特定アプリケーションの使用を禁止したりすることが可能。さらに端末・ファイルの暗号化も行えるほか、端末紛失時などに遠隔操作で端末を初期化する「リモートワイプ」といった機能も利用できるようになる。


PCレベルの管理性を実現するSCMDM 2008 SCMDM 2008のデバイス管理画面 デバイス登録画面

特定機能の制御を行う画面 左のデバイスでは、Bluetoothの利用が制御されている

執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏
 マイクロソフトではSCMDM 2008をてこに、法人導入をさらに進めていく方針。執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は、「世界のモバイルワーカー人口はもうすぐ10億に達する。中でも日本の伸び率は高く、2011年には世界一のモバイルワーカー国になると予測されている」と国内の市場動向に期待を寄せた上で、「法人導入を進めるためには、紛失時の対応も含め、正確に端末管理が行えなければならない」と述べ、SCMDM 2008のメリットを訴求した。

 さらに、富士通製スマートフォン「F1100」による法人事例をいくつか紹介した佐分利氏は、「すでに法人事例も増えてきている。金融業では、携帯電話とハンディ2台を手に集金の外回りなどを行っていたのを、Windows Mobile端末にすることで1台に集約することができた。この事例のようにWindows Mobile端末の多様性が好まれるケースは多い。個人・法人ともにニーズは多様化しているので、これからも多様性を追求し、エコシステムとの連携を進めていきたい」と、今後のプラットフォーム戦略を語った。

 なお、Windows Mobile 6.1では前版と同様、音声通話中心の端末向け「Standard」、データ通信中心でタッチスクリーンを有する端末向け「Professional」、非接続型の端末向け「Classic」の3つのエディションが提供される。一方のSCMDM 2008は、サーバーライセンスとCALライセンスによる提供方式。参考価格は、サーバーライセンスが26万1600円から、CALライセンスはユーザーまたはデバイス当たり7000円から。


発表会に展示されたWindows Mobile 6.1搭載端末 富士通のF1100を活用したソリューションも展示 基幹業務をスマートフォン上で実現するアクシスソフトのソリューションも展示されていた


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3470

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( 川島 弘之 )
2008/06/18 15:32

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