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アドビ、日本語に完全対応した「AIR 1.1」-LiveCycleなどとの連携も強化


アドビ Webグループ ディベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏
 アドビシステムズ株式会社は6月19日、6月17日に公開されたリッチインターネットアプリケーション(RIA)プラットフォーム「Adobe AIR」の日本語環境対応版「Adobe AIR 1.1」に関する記者説明会を開催。新機能のほか、国内での利用動向、今後のロードマップなどが発表された。

 AIRは、Webブラウザを使うことなく、HTMLやFlash、PDFアプリケーションを1つの環境で実行できる製品。WindowsやMacなどさまざまなOS上で単独のアプリケーションとして動作するため、キーアサインやウィンドウ形状といったWebブラウザの制約を受けることなく、Webアプリケーションを動作させることが可能。また、Webブラウザと異なり、オフラインの状態でもWebアプリケーションを利用できるのも特長となっている。同社Webグループ ディベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏は、「AIRは新技術でありながらも、既存のWebアプリケーションの技術で開発可能」と、開発者にとって使い勝手のよいプラットフォームであると紹介した。

 最新版のAIR 1.1は、日本語のほか、仏語・独語・中国語などマルチ言語に対応したのが最大の特長。「日本語版ではなく、マルチ言語対応版。そのため、ロケールにあわせてインストーラなどをマルチ言語で表示することが可能」(轟氏)と説明。「また、これまでは日本語HTMLの入力欄で日本語がうまく使えなかったが、AIR 1.1では日本語入力に対応した」と、不十分だった日本語対応がAIR 1.1より正式にサポートできている点を強調した。

 エンタープライズ分野では、LiveCycle Data Services ESやBlazeDSとのデータ連携を強化。また、LiveCycle ES Update 1との連携強化も行われている。そのほか、Flash Media Rights Management Serverとの連携強化により、AIRに対してFlashビデオをDRM配信することも可能になった。

 「日本語を正式にサポートしていないながらも、2月のリリース以来、毎月数百万規模でのダウンロードが行われている。また、AIRのアプリケーションも数多く作られている」(轟氏)と、国内での関心の高さを紹介。これまでに、スクウェア・エニックスやTK-Lab、日興アセットマネジメントなど各社でAIRを用いた商用サービスも公開されているとした。


最新版では日本語を含むマルチ言語対応に 多言語対応への設定も容易 エンタープライズ分野との機能連携も強化

今後のロードマップ
 次期AIRについては、現在ベータ公開されている「Flash Player 10」を搭載した“next AIR”を2009年にリリース予定。「表現力が非常に豊かになっているのがFlash Player 10の最大の特長。Flash Player 10以外にも機能強化が図られる予定だが、バージョン番号が2になるのか、マイナーバーバージョンアップになるのかは未定」(轟氏)と説明した。

 説明会では、5月に発表された「Open Screen Project」についても説明。Open Screen Projectは、Flash PlayerおよびAIRを用いて、PCや携帯電話、TVなどさまざまなデバイス上でRIAを体験できるようにする取り組み。「現在、RIAを作成する場合、PC用、モバイル用など、デバイスごとに開発する必要があるが、これを1つのアプリケーションがさまざまなデバイスで実行できるようにするのが、Open Screen Projectの狙い。どのような形態になるか現時点では明確ではないが、2010年にはなんらかの形で実現できるように取り組んでいる」(轟氏)と述べた。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.adobe.com/jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200806/20080617_air.html
  Adobe AIR
  http://www.adobe.com/jp/products/air/

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( 福浦 一広 )
2008/06/19 17:28

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