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シトリックス、物理マシンのデスクトップ仮想化も可能な「XenDesktop」

XenAppのパフォーマンスを向上したXenServer最新版も

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は6月23日、デスクトップ仮想化製品「Citrix XenDesktop」、およびサーバー仮想化製品「Citrix XenServer 4.1」を発表した。XenDesktopは同日より、XenServerは7月末より販売を開始する。


物理デスクトップの配信にも対応する「XenDesktop」

さまざまな利用シーンに対応したXenDesktop

共通のデスクトップ環境を割り当てるほか、個別のデスクトップを割り当てることも可能

シンクライアント端末の電源を仮想デスクトップ上からオフにするフルスクリーンオンリーモード
 XenDesktopは、Windows XP/Vistaのデスクトップの仮想化を実現するデリバリーソリューション。XenServer上で稼働する仮想デスクトップのほか、ブレードPCなど物理マシン上で稼働するデスクトップも配信できるのが特長。仮想デスクトップを利用する場合、シングルイメージから利用ユーザーのデスクトップを作成することができるため、クライアント管理を簡素化することが可能。また、ユーザーにとっては、常に最新の自分専用のデスクトップを利用できるのがメリットになる。これにより、コールセンターなど定型的な業務を行うユーザーだけでなく、個々のデスクトップ環境が求められるナレッジワーカーのほか、ワークステーションを利用するパワーユーザーまで対応できるとしている。

 同社マーケティング本部 本部長の山中理恵氏は、「シンクライアントというと、コールセンターなど決めうちのソリューションというイメージが強い。シトリックスでも、Citrix XenApp(旧称:Citrix Presentation Server)によるアプリケーションの仮想化を提供しているが、すべてのニーズに応えられないのが現状だ。今回発表したXenDesktopは、パワーユーザーやモバイルワーカーといった、これまでシンクライアントでカバーできないとおもわれていた層もサポートできる製品」と、シンクライアントのイメージを一新する製品であると強調する。

 XenDesktopで用意される機能のうち、ユニークな機能がフルスクリーンオンリーモード。従来のシンクライアントでは、端末側から仮想デスクトップにアクセスした際、仮想デスクトップ側で電源をオフにしても端末の電源まではオフにできなかったが、このフルスクリーンオンリーモードでは、仮想デスクトップ側の電源をオフにすると端末側の電源もオフにすることが可能。これにより、仮想デスクトップをよりシームレスに利用することができる。なお、フルスクリーンオンリーモードは、Windows CEを含むWindows系のOSを用いている端末のみで対応するとのこと。

 XenDesktopは、1)最大10ユーザーまで無償で利用可能な「Express Edition」、2)複数サーバーのサポートとセキュアなリモートアクセス機能が用意された「Standard Edition」、3)Standard Editionにリソースプール機能、ライブマイグレーション機能、仮想デスクトップのプロビジョニング機能を追加した「Advanced Edition」、4)Advanced EditionにXenAppの機能を追加した「Enterprise Edition」、の4つのエディションを用意。各エディションの最小構成価格(5同時接続デスクトップ、メディアキット)は、Standard Editionが7万2250円(税別)、Advanced Editionが17万4250円、Enterprise Editionが25万9250円。


XenAppのパフォーマンスを向上させた「XenServer」

XenAppのパフォーマンス向上により、物理マシンとの差が減少
 XenServerは、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」を仮想化エンジンとしたサーバー仮想化製品。今回発表されたXenServer 4.1では、仮想環境でのXenAppのパフォーマンスを最適化。従来、50%前後あったオーバーヘッドを8%まで減少することで、物理マシンとの性能差を大きく縮めている。これにより、XenAppをXenServer上で稼働させることで、物理マシン数を削減したり、柔軟なアプリケーション構成などが可能になるとしている。また、XenServerの管理コンソール「XenCenter」から、直接ストレージアレイを管理できるなど、ストレージ製品との連携も強化されている。

 製品ラインアップでは、あらたにPlatinum Editionを追加。Platinum Editionでは、仮想マシンと物理マシンの両方に対するワークロードのプロビジョニング機能を搭載。これにより、仮想・物理を区別することなく、データセンター内のすべてのサーバーの展開・運用・管理を効率的に行えるとしている。

 価格は、Standard Editionが15万3000円(税別)、Enterprise Editionが51万円(税別)、Platinum Editionが85万円(税別)。


代表取締役の大古俊輔氏
 同社代表取締役の大古俊輔氏は、「パッチの適用やウイルス対策の実施など、クライアントPCの管理は複雑化している。ユーザーにとっては、自分が使いたいアプリケーションが使えればいいわけで、物理的なデスクトップ環境をユーザーの手元に置く理由は減っている。今回発表したXenDesktopにより、仮想化分野の中でデスクトップの仮想化を一歩進めるものになる」と、サーバー仮想化、アプリケーションの仮想化に続き、デスクトップそのものの仮想化が今後注目されると述べた。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080623_01.html
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080623_02.html

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( 福浦 一広 )
2008/06/23 17:37

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