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アイログ、複雑なプロセス製造工程を管理する「ILOG PPO」新版

需要変化に対する対応力を強化

セールス&マーケティングマネージャーのゲイ・ジョエル氏
 アイログ株式会社は6月27日、製造業向けソリューションの新版「ILOG Plant PowerOps(ILOG PPO) 3.0」を発表した。SI・販売パートナーである新日鉄ソリューションズ株式会社とともに、同日より拡販に努める。

 ILOG PPOは、製造業における生産計画とスケジュール立案を支援するソフト。複雑な製造工程をもつプロセス製造業固有の制約条件を精密にモデル化できるのが特長。事例としては、ミルクを低温殺菌・発酵・貯蔵・洗浄・充てんして最終的にヨーグルトを製造する仏DANONEなどで導入利用されている。食品の製造は、厳密な温度・時間・衛生管理など製造上のさまざまな制約条件をもつ代表例といえる。

 セールス&マーケティングマネージャーのゲイ・ジョエル氏によれば、「単純な製造工程しか扱えない従来のERP(企業資産計画)・SCM(サプライチェーン管理)製品では、こうした複雑な工程を管理することは不可能。ILOG PPOは、ERPやSCMのこうした弱点を補完する製品」という。ERPなどからデータを受け取り、ILOG PPOでスケジューリングを行い、再度ERPにデータを戻す。このため、「ERPなどの既存資産を無駄にせずに活用できる」とジョエル氏はアピールしている。

 製造工程のモデル化は、既存システムから取得したCSVファイルを編集することで可能。ILOG PPO自体はオープンなアーキテクチャなため柔軟性は高く、「どんなに特有な工程でもほぼ100%モデル化することが可能」(ジョエル氏)とのこと。また、度重なる生産計画の見直しや複数工程からなる運用にも対応するため、需要の変化に伴う製品構成の変更や新製品の投入の必要性にも、品質を保ちながら迅速に応えることができるという。


 新版では、需要変化への対応力をさらに強化した。

 具体的には、生産を需要に適応させる「原材料リバランス機能」を搭載。一度算出されたスケジュールに対して需要の変化が会った場合に、最適化計算をやり直すことで、スケジュール全体のタスクやフローは変えずに、個々の製造工程における生産量やバッチサイズのみを調整することできる。これにより、突然の製品仕様変更の際も、中間製品と最終製品の同期が取れるほか、最終製品と在庫の調整なども柔軟に行えるとのこと。

 併せて、「スケジュール変更機能」が強化された。スケジュールを手動で変更する際に動的に「ペギング」することが可能。ペギングとは、部品や資材がどの製品オーダーに引き当てられているのかを関連づけること。部品から製品オーダーが特定できるようになるため、部品の納入が遅れた場合にどの製品の生産に影響があるのかを把握することが可能になる。

 また、最新の分析機能として「多次元分析機能」を搭載した。製品特性や出荷先といったさまざまな基準をベースに、多次元に分析することができる。例えば、製品を包装形態や風味で集約して、在庫状況を分析するなどが可能という。

 価格は、製品ライセンスが工場当たり1312万5000円(税別)から。そのほか、モデル化をはじめとしたSI費用が必要。

 代表取締役ジェネラルマネージャーの和多田茂氏は、「世界をリードする日本の製造業と、アジアに展開する日系企業の工場がターゲット。提案からSIと納品までに時間のかかる製品ではあるが、初年度の目標としては数プロジェクトでの導入をめざす」と述べた。


スケジュール画面。このなかに、例えば、最長貯蔵時間などの、さまざまな制約条件を盛り込むことができる 計画シートと在庫状況の確認画面 代表取締役ジェネラルマネージャーの和多田茂氏


URL
  アイログ株式会社
  http://www.ilog.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.ilog.co.jp/about/pressrelease/20080627.html


( 川島 弘之 )
2008/06/27 14:12

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