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ソフトウェア事業部 ロータス事業部長の澤田千尋氏
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ビジネスにおけるマッシュアップの活用事例
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IBM Mashup Centerの構成
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日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は7月2日、企業向けマッシュアップ製品「IBM Mashup Center V1.0」、およびポータル構築ソフトウェア「IBM WebSphere Portal 6.1」の日本語対応版を同日より出荷開始したと発表した。
ソフトウェア事業部 ロータス事業部長の澤田千尋氏は、今回発表した2製品の位置付けについて、「両製品とも、当社のSOA戦略の一環として企業のフロントエンド統合を推進するものだが、その中で、ユーザー主導の柔軟なシチュエーショナル開発ニーズに対応するのがマッシュアップ製品、従来型のIT部門主導による開発に対応するのがポータル製品と位置付けている。特に、マッシュアップはビジネス用途での活用が急速に進んでおり、今回の新製品によって、企業向けに新たなマッシュアップ環境を提案し、市場開拓を進めていく」と説明している。
IBM Mashup Center V1.0は、企業内のエンドユーザーが社内で利用するアプリケーションを自分自身で簡単に作成できるソフトウェア。情報システム開発者が企業内外のあらゆるデータをマッシュアップし、エンドユーザーが使いやすいように部品化する「IBM InfoSphere MashupHub V1.0」と、さまざまなマッシュアップ部品を使って、エンドユーザーが簡単な操作でWebアプリケーションを作成できる「IBM Lotus Mashups V1.0」の2製品で構成される。この新製品と、6月12日に発表した動的言語環境「WebSphere sMash V1.0」をあわせて、日本で初めて開発者向けからエンドユーザー向けまでの企業向けマッシュアップ製品群がそろったことになる。
各製品の特徴としては、IBM InfoSphere MashupHub V1.0は、社内外のあらゆるデータを再利用できる形式(XML形式のフィード)に変換することが可能で、企業の基幹システムで利用するリレーショナルデータベースのデータや、部門サーバーに格納されている部門情報、個人のPCに保存されているExcel/Access形式の情報なども部品化することができる。企業の情報システム担当者やITリテラシーの高いエンドユーザーは、作成した部品をカタログ化してエンドユーザーに提供する。
また、マッシュアップ部品同士を組み合わせて新しいサービスを作成したり、作成したサービスと別の部品を組み合わせて別の新たなサービスを作ったりすることもできる。これらのサービスは、短期間の開発が可能で動作確認も容易なWebサービスのメッセージ送受信形式「REST形式」で提供可能となっている。
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WebSphere PortalとMashup Centerの役割分担
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IBM Lotus Mashups V1.0では、マッシュアップ部品が集約されたカタログから希望の部品を選び、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で部品を重ねることで情報を連携し、エンドユーザーが使いやすいWebアプリケーションを自ら作成することができる。組み合わせ方は柔軟に変更できるため、元データが頻繁に更新される、必要な情報が得られるまで繰り返し分析を進める、といったような作業にも適用できる。
一方、同時に発表されたIBM WebSphere Portal 6.1は、ポータル構築ソフトウェアの最新バージョン。従来製品に比べて、Web 2.0機能を強化し、ユーザーの生産性向上を図った。WebコンテンツにXMLを使用してタグを埋め込み、関連する情報に導く技術により、メニュー・ハイライト・注釈など、必要な情報がワンクリックで得られるようになった。また、Ajaxを導入し、Webページ全体を更新することなく、任意の部分だけ即時更新することで、待ち時間の短縮を実現している。
ユーザー管理のセキュリティも強化しており、アクセスするページの重要度に応じてユーザーIDを毎回入力する手間を省いたり、安全が求められるページには再度ユーザーIDを要求したり、といった機能を追加した。このほか、操作性を向上したGUIや、デザインテンプレート、開発環境から本番環境への移行を素早く行える機能を提供し、より簡単にポータルが構築できるようになっている。
両製品の販売戦略について澤田氏は、「今後の市場拡大が期待できるマッシュアップ製品については、Lotus、WebSphere、Information Managementの3ブランドが総力を挙げて、技術者コミュニティを中心に市場開拓を図る。これにより、企業内におけるローカルPCでのアプリケーション利用からサーバー上でのシチュエーショナル・アプリケーション利用への移行を促進していく。ポータル製品では、社内外のコンサルティング会社との協業を進めるとともに、今後は従来のLotusビジネスパートナーではなくWeb系ビジネスパートナーを重視して拡販・展開していく」との考えを示した。
価格は、IBM Mashup Center V1.0が100VU単位で629万2000円(税別)、20ユーザー単位で37万1800円(同)。IBM Lotus Mashups V1.0単体は、100VU単位で317万5000円(同)、20ユーザー単位で18万7400円(同)。IBM InfoSphere MashupHub V1.0単体は、100VU単位で311万8000円(同)、20ユーザー単位で18万4500円(同)。IBM WebSphere Portal 6.1は、100VU単位で757万9000円(同)。
■ URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/jp/
プレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/07/0201.html
http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/07/0202.html
( 唐沢 正和 )
2008/07/02 17:07
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